MARSTONレーベル(アメリカ)
19世紀末~20世紀初頭に活躍した名テノール、デ・ルチア
54004-2(4CD,3枚価格)
「フェルナンド・デ・ルチア Gramophone Company全録音集」
トスティ:理想の女/マスネ:「ウェルテル」-私を目覚めさせないでくれ(イタリア語)/
ヴェルディ:「リゴレット」-女心の歌/ロッシーニ:「セビリアの理髪師」-もし私の名前を/
ジョルダーノ:「フェドーラ」-愛はあなたに禁ずる/トスティ:マレキアーレ/
コスタ:ナプリタナータ/プッチーニ:「トスカ」-妙なる調和/コットラウ:光差す窓
マスネ:「マノン」-目を閉じて
1902年11月30日
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」-ああ、ローラよ/バルデッリ:口づけの音に/
ビゼー:「カルメン」-花の歌(イタリア語)/コスタ:君は僕の人生において死んだ/
ワーグナー:「ローエングリン」-ありがとう、親切な白鳥よ(イタリア語)
1902年12月3日
ジョルダーノ:「フェドーラ」-年老いた母が,ご覧ください、私は泣いています/ダンツァ:妖精の目/
ヴェルディ:「トラヴィアータ」-ある幸せな日/ドニゼッティ:「ファヴォリータ」-神の乙女、天使が/
トスティ:セレナータ/チレーア:遠く離れ/チレーア:「アドリアーナ・ルクヴルール」-心は疲れ果て/
グノー:「ファウスト」-もう遅いわ(イタリア語)/ロッシーニ:「セビリアの理髪師」-空は微笑み
共演(グノーのみ):チェレスティーナ・ボニンセーニャ(ソプラノ)
1904年10月6日
ワーグナー:「ローエングリン」-香りが感じられないのですか?,あの方は戻ってきますが(イタリア語)/
ビゼー:「真珠採り」-私の友の(イタリア語)/
トマ:「ミニョン」-さようなら、ミニョン!,彼女は信じなかった,ああ!あなたの心は(イタリア語)
1905年9-10月
①グノー:「ファウスト」-この清らかな住まい(イタリア語)/
②ビゼー:「真珠採り」-まだ聞こえるように思われる,あなたの心は私の心を理解していない(イタリア語)/
③ロッシーニ:「セビリアの理髪師」-この金属を思うと,ああ、何という衝撃
④ヴェルディ:「トラヴィアータ」-燃える心に,パリを離れて
⑤ヴェルディ:「リゴレット」-愛は心の太陽
共演:②-⑤ジョゼフィーナ・ウゲット(ソプラノ)、③アントーニオ・ピーニ=コルシ(バリトン)
1906年5月1日
①フェティス(伝ストラデッラ):主よ、憐れみを/
②ドニゼッティ:「愛の妙薬」-これが魔法の液体さ/
③マスネ:「マノン」-目を閉じれば(イタリア語)/
④ワーグナー:「ローエングリン」-ありがとう、愛する白鳥よ,決して問うてはならない,甘美な歌も止み(イタリア語)
⑤ビゼー:「カルメン」-母にまた会える,お前の投げたこの花は(イタリア語)
⑥グノー:「ファウスト-「遅すぎるわ」
共演:②エルネスト・バディーニ(バリトン)、④-⑥共演:ジョゼフィーナ・ウゲット(ソプラノ)
1907年7‐9月
①モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」-彼女の安らぎは,私の宝のあの方を/
②ロッシーニ:「セビリアの理髪師」-空は微笑み,もし私の名前を,ああ!何という衝撃
③グノー:「ロメオとジュリエット」-ああ、太陽よ、昇れ(イタリア語)
④ベッリーニ:「夢遊病の女」-取っておくれ、君に贈るこの指環は,微風に嫉妬する,ああ、どうして君を憎めないのか,
⑤ヴェルディ:「ルイーザ・ミラー」-穏やかな晩に
共演:②マリア・ガルヴァニ(ソプラノ)④マリア・ガルヴァニ(ソプラノ)
1908年5月
バルテレミ:恋慕う口に,悲しい帰還,晴れ晴れと/コスタ:それは五月の,オイリ・オイラ/
ディ・カプア:オ・ソーレ・ミオ/デ・クルティス:カルメラ/ガンバルデッラ:もう僕を見ないで/
E.デ・クルティス:帰れソレントへ/リッチャルディ:ルーナ、ル!
1909年5月21日
ドニゼッティ:「愛の妙薬」-人知れぬ涙
1917年6月24日
ドニゼッティ:「愛の妙薬」-一言、ああ、アディーナ
共演:アンヘラ・デ・アンヘリス(ソプラノ)
1919年11月23日
ドニゼッティ:「ルチア」-祖先の墓/マイヤベーア:「ユグノ」-白テンより白く(イタリア語)/
ヴェルディ:「エルナーニ」-ありがとう、愛する友たちよ
1917年9月2日
ドニゼッティ:「ファヴォリータ」-やさしい魂よ/マスネ:「マノン」-ああ!消え去れ、甘美な面影よ
1917年8月5日
ボーイト:「メフィストーフェレ」-野から、牧場から 1917年5月24日
ボーイト:「メフィストーフェレ」-あなたの心を鼓動で満たしてください,純粋な理想的な姿
1920年4月18日
ボーイト:「メフィストーフェレ」-地の果てに近づいた
1917年5月31日
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」-母さん、この酒は強いね
1917年7月1日
マスカーニ:「友人フリッツ」-スゼル、こんにちは(サクランボの二重唱)
共演:アンヘラ・デ・アンヘリス(ソプラノ)
1919年10月5日
マスカーニ:「友人フリッツ」-ベッペも恋をしている/レオンカヴァッロ:「道化師」-そのような冗談は
1917年11月11日
レオンカヴァッロ:「道化師」-衣装を着けろ,ああ、コロンビーナ
1921年4月17日
レオンカヴァッロ:「道化師」-いや!もうパリアッチョではない
1917年8月19日
プッチーニ:「マノン・レスコー」-かつて見たことのない美女,あなたがた美女たちの中で/「ボエーム」-冷たい手
1920年1月18日
プッチーニ:「ボエーム」-こちらがミミ
1920年8月15日
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」-ある日、青い空を眺めて
1921年2月6日
マスカーニ:「イリス」-窓を開けてごらん
1920年11月7日
プッチーニ:「トスカ」-星は光ぬ
1920年1月18日
ジョルダーノ:「フェドーラ」-愛はあなたに禁ずる
1917年7月29日
ジョルダーノ:「フェドーラ」-年老いた母が
1917年11月11日
トスティ:マレキアーレ
1922年9月24日
フェルナンド・デ・ルチア(テノール)
サルヴァトーレ・カットーネ(ピアノ)、カルロ・サヴァイーノ(ピアノ)、フランチェスコ・チレーア(ピアノ)、
カルロ・サヴァイーノ(指揮)管弦楽団、サルヴァトーレ・サッサーノ(指揮)管弦楽団、ほか
録音:1902-1909年(グラモフォン・カンパニー録音)、1917-22年(フォノタイプ録音)、ADD、316’50
※フェルナンド・デ・ルチア(1860-1925)は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した大テノール。マスカーニの「友人フリッツ」初演のタイトルロールとして知られる。デ・ルチアは19世紀半ばの様式を色濃く残したテノールで、ことにソットヴォーチェで優美に陶酔的に歌う技は、野太い声のテノールが主流のこの時代にあって天下一品だった。しかも情熱と力強さにも不足はなく、歌い口の巧さは一世を風靡した大歌手だけのものがある。この4CDには、Gramophone Companyへの全録音と、Phonotype社への録音の多くが収録されている。40歳を超えたデ・ルチアは、まだまだ立派な声を誇っているにもかかわらず、アリアの多くで音を下げるなどして最高音を避けているが、その分、感情を音楽としっかりと絡めて歌っており、実に聞き応えがある。今日の耳にはかなり自由過ぎる歌い回しはなくもないが、100年前の録音からもそのカリスマはしっかり伝わってくる。また「アドリアーナ・ルクヴルール」で知られるフランチェスコ・チレーアが自作「フェドーラ」のアリアの伴奏ピアノを受け持っているのも貴重だ。時系列で収録されていることで、1902年11月30日の初録音では「最新技術」を前にして緊張が見られたデ・ルチアが、3日後には固さが抜けて本領を発揮していることまで分かる。貴重な資料にして素晴らしい芸術の集大成である。