エリザベス・チャンのシマノフスキ:神話、ドホナーニ、バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ/他、新譜5タイトル

BRIDGEレーベル(アメリカ)

エリザベス・チャンのシマノフスキ、ドホナーニ、バルトーク
BCD 9590
①シマノフスキ(1882-1937):「神話」
 ~ヴァイオリンとピアノのための3つの詩曲
②ドホナーニ(1877-1960):ヴァイオリン・ソナタ 嬰ハ短調Op.21
③バルトーク(1881-1945):ヴァイオリン・ソナタ第1番

エリザベス・チャン(Vn)
スティーヴン・ベック(Pf)
録音:2023年5月30-6月1日オクターヴェン・オーディオ、マウント・ヴァーノン、ニューヨーク [66:00]
※19世紀末から20世紀半ばまで活躍した3人の作曲家によるヴァイオリンとピアノのための作品集。ヴァイオリンのエリザベス・チャンはジュリアード音楽院で教鞭を執る傍ら、ソロ、室内楽を中心に演奏を続けている中堅。シマノフスキの官能性とバルトークの荒々しくも生命力に溢れた音楽を見事にリアリゼーションしている。

その他BRIDGEレーベル新譜
BCD 9579
「マーティン・ボイカン(1931-2021)の音楽Vol.3」
①ピアノ三重奏曲第1番(1975)
②「ロマンツァ」(1999)~フルートとピアノのための
③「不眠症の人の独白」(2008)~メゾ・ソプラノとピアノのための
④「ノクターン」~チェロ、打楽器とピアノのための(1991)
⑤ピアノ・ソナタ第4番(2016)
⑥ピアノ三重奏曲第4番(2014)

①ヤナ・ズール(Vn)
①ニコール・カーグリア(Vc)
①⑤萩野陽子(Pf)
②スー=エレン・ハーシュマン=チェレプニン(Fl)
②④スティーヴン・ウェイト(Pf)
③パメラ・デラル(MS)
③ドナルド・バーマン(Pf)
④ジョシュア・ゴードン(Vc)
④ロベルト・シュルツ(Perc)
⑥ジェニファー・チョイ(Vn)
⑥セス・ウッズ(Vc)
⑥ジュリア・デン・ベーア(Pf)
[70:45]
※マーティン・ボイカン作品集第3弾。ボイカンはニューヨーク出身。ハーヴァード大学でウォルター・ピストンに作曲を師事した後、渡欧してヒンデミットに、またタングルウッドではコープランドにそれぞれ作曲を学んでいる。彼の作風は基本的に12音技法と自由な無調に基づいた激しい表現主義のスタイルである。そんななか、フルートとピアノのための「ロマンツァ」は現代的なリリシズムとでも言うべき美しい旋律が奏でられる佳品。チェロ、打楽器とピアノのための「ノクターン」はチェロの呻き悲しむような旋律に打楽器とピアノが絡む力作。

BCD 9593
パトリック・ストヤノヴィッチ:室内楽作品集
①「ロマンス」(2010)~ヴァイオリンとピアノのための
②ヴァイオリン・ソナタ第1番(2016)
③ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲「フィールズ・オブ・ブラック・バード」(2014)
④ヴァイオリン・ソナタ第2番「ロマンティック・ウォリアーズ」(2020)

ソフィア・ストヤノヴィッチ(Vn)
アーロン・ウォルフ(Vc)
デレック・ワン(Pf)
録音:2023年5月、6月オクターヴェン・オーディオ、マウント・ヴァーノン、ニューヨーク [67:50]
※パトリック・ストヤノヴィッチの生年は公表されていないが、ブックレットの写真から中堅世代以上と思われる。ミシガン大学音楽学部で学んだ後、ニューヨークで著名なジャズ・ピアニスト、作曲家のリッチー・バイラークにジャズを学び、その後ジャズ・ピアニストとしても活動している。とは言え、ここに収められた彼の作品にはジャズの直接的な影響は少なく、モードと自由な無調、時に調性を折衷した新ロマン主義的なものが主流である。ジャズ和声も時折り聴こえてきて、さながらジャズとバルトーク、シマノフスキ、ベルクを折衷したような内容となっている。ヴァイオリンを弾いている作曲者の妻のソフィア・ストヤノヴィッチは破格の腕前を持っており、他の作曲家の作品もぜひ聴いてみたいと思わせる。

BCD 9600
「ヴィルトゥオージ」
~デイヴィッド・スタロビン、ギター・リサイタル
マウロ・ジュリアーニ(1781-1829):大序曲Op.61
W.T.マティエガ(1773-1830):メヌエット、シシリエンヌ、ロンド
アントワーヌ・ロワイエ(1768-1852):練習曲Op.27,#2 (ジュリアーニの前奏曲Op.83,#5の編曲版)
ナポレオン・コステ(1805-1883):「ラ・カチュチャ」による奇想曲Op.13
ジュリオ・レゴンディ(1822-1872):練習曲第5番
フェルナンド・ソル(1778-1839):第7のファンタジーと華麗なる変奏曲Op.30
アンドレ・セゴビア(1893-1987):5つの逸話

デイヴィッド・スタロビン(Gtr)
録音:1995-2019年 [58:01]
※デイヴィッド・スタロビンがこれまでリリースしたCDの中から18~19世紀の作曲家の作品を中心にセレクトしたオムニバス盤。マティエガとセゴビアの作品のみが今回の初録音となる。スタロビンは1951年アメリカ出身のギタリスト。17~19世紀の作品を得意としているが、エリオット・カーター、ジョージ・クラム、ガンサー・シュラーら現代音楽の演奏、初演にも意欲を燃やしている。収録された演奏はいずれも美しい音色と超絶的な技巧で聴き手を圧倒する。ギター学習者は必携のディスク。

BCD 9603
ディートリヒ・ブクスデフーデ(1637-1707):トリオ・ソナタ集Op.1
 第3番イ短調、第1番ヘ長調、第6番ニ短調、
 第4番変ロ長調、第5番ハ長調、
 第2番ト長調、第7番ホ短調

フィラメント:
【エヴァン・フュー(Vn)
 エレーナ・カウフマン(Gamba)
 ジョン・ワルトハウゼン(Cemb)】
[59:14]
※バロック中期の大作曲家ブクステフーデのトリオ・ソナタを収録。彼は北ドイツを中心に活躍し後のJ.S.バッハに大きな影響を与えたことでも知られている。収録された作品は全7曲から構成されるヴァイオリンとチェンバロ、通奏低音のヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタでブクステフーデ特有の即興性溢れる音楽が楽しい。演奏のアンサンブル、フィラメントはアメリカ、フィラデルフィアを拠点に活動するグループ。

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