バッハとアフリカ系作曲家のピアノ曲アルバム第3弾!今回はフランス組曲を中心に!/他、新譜7タイトル

ALBANYレーベル(アメリカ)

バッハとアフリカ系作曲家のピアノ曲アルバム第3弾!
今回はフランス組曲を中心に
TROY 1965-68(3CD, 2枚価格)
「バッハ・トゥ・ブラック(Bach to Black)Vol.3」
 ~バッハ:フランス組曲+アフリカ系アメリカ人のピアノ作品集
CD1)
J.S.バッハ(1685-1750):フランス組曲第6番ホ長調BWV817
アドルファス・ヘイルストーク(b.1941):「5人の友」(1977)
J.S.バッハ:フランス様式による序曲BWV831
ジェームズ・リーIII(b.1975):「永遠の入り口への窓」(2018)
CD2)
J.S.バッハ:フランス組曲第1番ニ短調BWV812
モンターュー・リング(1866-1956):「4つのムーアの絵」(1927)
J.S.バッハ:フランス組曲第2番ハ短調BWV813
ンケイル・オコエ(b.1972):「アフリカのスケッチ」(2003-2004)
J.S.バッハ:フランス組曲第5番ト長調BWV816
ベティ・ジャクソン・キング(1928-1994):「四季のスケッチ」(1973)
CD3)
J.S.バッハ:フランス組曲第4番変ホ長調BWV815
ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978):「7つの痕跡」(1939)
J.S.バッハ:フランス組曲第3番ロ短調BWV814
マーガレット・ボンズ(1913-1972):スピリチュアル組曲(1962頃)

ロシェル・セネット(Pf)
録音:2023年6月イリノイ大学フォーリンジャー・グレート・ホール [75:22]/[71:57]/[59:18]
※バッハの鍵盤作品とアフリカ系の作曲家によるピアノ曲を組み合わせたユニークなアルバムの第3弾。第1集はイギリス組曲(TROY 1869/71)、第2集はパルティータ(1910/12)。
今回はJ.S.バッハのフランス組曲を中心に挟んで19、20~21世紀のアフリカ系の作曲家のピアノ曲を収録している。ピアノのロシェル・セネットはサンフランシスコ音楽院、イリノイ大学で学んだ後、多くのコンクールで上位入賞、現在はイリノイ大学で教鞭を執っている。彼女はJ.S.バッハと彼女と同じ出自のアフリカ系の作曲家の作品を演奏することをライフワークとしている。彼女のテクニックと音楽性は驚異的であり、そのしなやかさと澄み切った音色は21世紀のバッハのあるべき姿と言っても決して言い過ぎではない。一聴に値するディスクの登場である。

※その他ALBANYレーベル新譜
TROY 1964
スティーヴン・ホロックウォスト(b.1978):管弦楽曲集
①「ディアローグ」~チャールズ・ウォリネンの追憶に捧ぐ(金管アンサンブルのための)
②「シェナンドー狂詩曲」~ヴァイオリンと弦楽のための
③3楽章の交響曲
④「ロマネスカの主題と変奏」~弦楽のための
⑤「メディテーションズ/ウクライナの人々に捧ぐ」~チェロと管弦楽のための

アンドルー・コーラー(指揮)
キーウ交響楽団
②ヴィクトール・グリボチャヌ(Vn)
⑤イホール・チェカイロ(Vc)
[41:16]
※ホロックウォストはイェール大学で作曲を学んだ後、チャールズ・ウォリネンに師事、同時に心理学でも学位を取得しているアメリカの若手作曲家。金管アンサンブルのための「ディアローグ」は2020年に亡くなった師チャールズ・ウォリネンに捧げられた追悼の曲。チェロとオーケストラのための「メディテーションズ」は戦渦のウクライナの人々に捧げられた作品で沈痛な面持ちの作品。ホロクヴォストの作風は基本的に新ロマン主義的もしくは新古典主義的なもので聴きやすく、訴求力のある力強い音楽である。

TROY 1969
「ハーモニー・イン・ブラック」
①パトリース・ラッシェン(b.1954):「私の眼は栄光を見た」
②ウィリアム・バンフィールド(b.1961):「音色、音律、そして時間の証言」
③ウィリアム・バンフィールド:交響曲第8番

アンドルー・セウェル(指揮)
ウィスコンシン室内管弦楽団
②ポール・ヒギンボサム(語り)
②マシュー・シンチャック(Sax)
[73:23]
※二人のアフリカ系アメリカ人の作曲家による作品を収録。パトリース・ラッシェン女史は著名なソウル、R&B歌手にしてピアニスト、作曲家。作曲家としては多くの映画音楽の他、デイヴ・グルーシン、ジャネット・ジャクソンとも共演している。「私の眼は栄光を見た」は彼女の珍しい演奏会用の作品でマーティン・ルーサー・キングのスピーチの録音を伴うジャズ、R&Bのテイストが織り交ぜられた佳品。Dr.ウィリアム・バンフィールドはニューイングランド音楽院で学んだ後、セント・トーマス大学でジャズ、ポピュラー、ワールド・ミュージックなどあらゆる音楽を学び、それらを融合する作風を採る作品を発表し続けている。彼の交響曲第8番は3楽章30分弱の大作で各楽章に「勝利」「試み」「解決:私はここに立つ」というタイトルがあり、アフロ・アメリカン音楽の要素が盛り込まれた親しみ易い音楽。

TROY 1970
「アフリカ系アメリカ人の遺産」
①ジュリアス・P.ウィリアムズ:バリトンと管弦楽のためのソング・サイクル
②ウィリアム・グラント・スティル:アメリカのための聖歌
③ジュリアス・P.ウィリアムズ:幻想曲「ゴスペル・トレイン」ト長調~ヴァイオリンと室内管弦楽のための
④エドムンド・ソートン・ジェンキンズ:ラプソディック序曲(テュフス・ジンバブエ編)
⑤ウィリアム・グラント・スティル:栄光の道
⑥オーガストゥス・O.ヒル:汝とともにあり

ジュリアス・P.ウィリアムズ(指揮)
プラハ放送交響楽団
①②⑤⑥ダニエル・ワシントン(Br)
③ペトル・ズドヴィハル(Vn)
録音:2023年6月1日プラハ [59:10]
※このディスクもアフリカ系アメリカ人のオーケストラ作品を集めたアルバム。自ら指揮棒を執る作曲家ジュリウス・P・ウィリアムズはニューヨーク・フィルを含む多くのオーケストラを指揮し、作曲家としてはアフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティを追求した作品を多数発表している。アフリカ系アメリカ人作曲家のパイオニア、ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978)の作品から今日までのアフリカン・アメリカン作曲家の軌跡をたどる一枚。

TROY 1971
「アローン/トゥギャザー」
 ~アメリカ人作曲家の夢と多様性
エドムンド・ソーントン・ジェンキンズ:「チャールストニア~フォーク・ラプソディ」
ジョン・ワインブラス:アローン・トゥギャザー
エレーナ・ルーサノヴァ:伝説
ベス・デニッシュ:ヤンバルー
エレーナ・ルーサノヴァ:偉大なるチャップリン

ジュリアス・P・ウィリアムズ(指揮)
プラハ放送交響楽団
録音:2023年6月1日プラハ [73:24]
※アメリカの様々な有色人種の作曲家による作品を収録することでその多様性を知る一枚。いずれも民族的で親しみやすい内容の音楽。黒人音楽、先住民の民謡の要素が取り入れられており、時にドヴォルザークの「新世界」を思わせたり、西部劇映画のサウンド・トラックやコープランドの「ビリー・ザ・キッド」を思わせたりするアメリカらしさが横溢している楽しいアルバム

TROY 1972
「SUR」~アルゼンチンのピアノ音楽
リリアン・サバ(b.1961):飛行開始/3人のマリア
ホセ・レスタ(1880-1962):3つの舞曲
フアン・ホセ・ラモス(1930-1995):ミラフローレスのワルツ
マヌエル・ゴメス・カリージョ(1883-1968):フィエスタ・クリオージャ
ミゲル・フランセーセ(1913-1970):トリステ
リア・シマグリア(1906-1998):故郷の思い出
アルトゥーロ・ルツァッティ(1875-1959):ミロンガのアリア
レオナルド・ブルネッリ(1929-1964):ミロンガ
カルロス・アギーレ(b.1965):灰色のミロンガ
アドルフォ・シプリオタ(1879-1944):海岸のスケッチ
オスバルド・ゴリホフ(b.1960):レヴァンテ

アグスティン・モリアーゴ(Pf)
録音:2023年6月5日 [64:27]
※20~21世紀のアルゼンチンの作曲家によるピアノ作品を収録した珍しいアルバム。アルゼンチンといえばピアソラが有名だが、ここではいわゆるクラシック系の作曲家のピアノ曲が選ばれている。しかしクラシック系とはいえ、アルゼンチンの民族音楽の影響を受けた作品が多く、いずれもピアソラに通じる音楽であることも事実。アルゼンチン音楽の父ヒナステラの作品がないのは残念だが、ジョージ・クラムの高弟オスバルド・ゴリホフの作品があるのは貴重。近現代のアルゼンチン音楽の歴史をピアノでたどる素敵な一枚。BGMとして最高。ラテンの雰囲気あふれるご機嫌なアルバム。

TROY 1973(2CD)
J.S.バッハ(1685-1750):無伴奏チェロ組曲(全6曲)
CD1)
第1番ト長調BWV1007/第3番ハ長調BWV1009/第5番ハ短調BWV1011
CD2)
第2番ニ短調BWV1008/第4番変ホ長調bWV1010/第6番ニ長調BWV1012

エリック・カッツ(Vc)
録音:2022年5月3,5,7日メリーランド大学デケルボム・コンサート・ホール
CD1[68:07]CD2[79:01]
※エリック・カッツはスタイルを超えた多彩なコラボレーションを行い、共演者はヨーヨー・マからジャズの巨匠オーネット・コールマンまで多岐にわたるチェリスト。ソリスト、室内楽奏者として活動し、新作の初演も数多く行っている。このアルバムではチェロの基本に立ち返り、バッハの無伴奏チェロ組曲を繊細な音楽性をもって演奏している。