①総作品数500曲を越える多作家ホヴァネスの山に因んだ珍しいピアノ作品集!②ベンジャミン・ウィットコムの20世紀の無伴奏チェロ作品集第2弾!/他、新譜8タイトル

MSRレーベル(アメリカ)

総作品数500曲を越える多作家ホヴァネスの
山に因んだ珍しいピアノ作品集!
MS 1796
「マウンテン・ファンタジー」
 ~アラン・ホヴァネス(1911-2000):ピアノ作品集
ブルー・ジョブ・マウンテン・ソナタ(1979)
プロスペクト・ヒル・ソナタ(1980)
カターディン山ソナタ(1987)
パストラル第1番(1952)
チョコルア山への賛歌(1982)
12のアルメニア民謡(1943)
山への別れ(1946)

ハスケル・スモール(ピアノ)
録音:2013年7月14、16日、2014年7月7日ウェストモアランド・キリスト連合教会メリーランド州ベセスダ [59:12]
※アラン・ホヴァネスはアルメニア系の父親とスコットランド系の母親のものマサチューセッツに生まれ、その後、自身の精神的ルーツをアルメニアに求め、アルメニア民謡やアジア音楽の要素を取り入れた夥しい作品を発表した。速筆で多作家だったホヴァネスの個々の作品のクオリティが玉石混交だったことは否定できないが、後に日本女性と結婚し、西海岸に居を構えた(シアトル)ことから彼の作風はより東洋的なものに傾斜する。今日、冷静に彼の音楽を聴いてみると、同世代のルー・ハリソンや少し前のアルメニア出身の神秘家・超能力者グルジェフの書いた音楽を思わせ甚だ興味深い。この機会にエスニック・モダン・ミュージックの先駆者ホヴァネスの音楽に耳を傾けてみてはいかがだろうか。

ベンジャミン・ウィットコムの20世紀の無伴奏チェロ作品集第2弾!
MS 1798
「20世紀の無伴奏チェロ作品集Vol.2」
ブロッホ(1880-1959):無伴奏チェロ組曲第1番(1956)
ガスパール・カサド(1897-1966):無伴奏チェロ組曲(1926)
ヒンデミット(1895-1963):チェロ・ソナタOp.25-3(1922)
ブリテン(1913-76):無伴奏チェロ組曲第2番Op.80(1967)

ベンジャミン・ウィットコム(チェロ)
録音:2021年1月ウィスコンシン州タナー・モネイグル・スタジオ [53:18]
※ベンジャミン・ウィットコムの20世紀無伴奏チェロ作品集第2弾(第1集はレーガー:組曲第2番、ブロッホ:組曲第2番、ムチンスキ:「ギャラリー」を収録、品番:MS1587)。ブロッホの組曲は彼の代表作「シェロモ」を思わせる骨太な力作。カサドは20世紀前半を代表するチェリストだが、自ら作曲を行い、この組曲は彼の代表作。故郷バルセロナの民族音楽の影響が色濃い快活な秀作。自ら優れたヴィオラ奏者だったヒンデミットは協奏曲を含む優れたチェロ作品も作曲しており、この無伴奏チェロ・ソナタもそのひとつ。ブリテンのチェロ組曲は名手ロストロポーヴィチのために書かれた傑作。
ウィットコムはアンコラ弦楽四重奏団のメンバーを務めるなど室内楽を中心に活躍するアメリカのチェリスト。演奏者としてだけではなく、演奏理論や音楽理論に関する著作や論文も多数発表しており、ウィスコンシン大学ホワイトウォーター校で教授も務めている。

※その他MSRレーベル新譜
MS 1742
「バーバラ・ハーバック作品集VOL.16」
 ~ハーバック(b.1946):管弦楽曲集Vol.7
①神聖なる太陽を追って(2021)~管弦楽のための組曲
②スピリチュアリス(2022)~管弦楽のための組曲
③選択と思い出(2022)~1楽章の組曲

デイヴィッド・アンガス(指揮)
ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
録音:2022年7月17-18日ロンドン・キルバーン、セント・オーガスティン教会 [69:30]
※MSRレーベルが力を入れているアメリカの作曲家ハーバックの作品集第7弾。ハーバックはオルガニスト、チェンバロ奏者としても活動している(ソレールのチェンバロ・ソナタ全集・全120曲の録音もあり、品番:MS1300)。
彼女の音楽は明確な調性と明朗な形式で書かれたもので現代音楽というよりは新ロマン主義あるいは新古典主義に近く、コープランドやモートン・グールドにつながる親しみ易い作風。「神聖なる太陽を追って」はアメリカ先住民の神話に、「スピリチュアリス」は黒人霊歌にインスパイアされて作曲された。いずれも素朴で心温まる旋律が魅力的。

MS 1750
「音楽が伝えてくれること」
 ~ブラス・バンドとオルガンによる名曲集
ベートーヴェン(1770-1827):「エグモント」序曲
ワーグナー(1813-83):「エルザの聖堂への行列」~ローエングリン
オリヴィエ・メシアン(1908-1992):永遠の教会の幻影
ヒアリー・ウィラン(1880-1968):どのようにしてそっと休んでいるのか
ウィリアム・C・ホワイト(b.1983):水の糧
ブラームス(1833-1897):ハイドンの主題による変奏曲
マーラー(1860-1911):原光とフィナーレ~交響曲第2番より

スティーヴン・スクワイアーズ(指揮)
シカゴ・ガーゴイル・ブラス&オルガン・アンサンブル
録音:2014年5月21-22日、2019年5月12日、11月15日 [73:21]
※管弦楽の名曲を金管楽器のみによるブラス・バンドと打楽器、オルガンによるアンサンブルの為の編曲で聴く一枚。オルガンの多彩な音色が金管の煌びやかな音と融合してオリジナルとはまた一味違った荘厳、壮麗な音楽を聴かせてくれる。なかでもベートーヴェンの「エグモント」序曲とブラームスのハイドンの主題による変奏曲は聴きもの。特にブラス関係者はアレンジの参考の為に持っておいて損のない一枚。

MS 1771
「ナラティヴ(物語)」~女性作曲家によるフルートとピアノのための作品集
ヴァレリー・コールマン(b.1970):人間の家族
エイミー・ビーチ(1867-1944):3つの褐色の歌Op.44(ブロフィット・カンザー&ウォーカー編曲)
リリー・ブーランジェ(1893-1918):春の朝
ソフィア・グバイドゥーリナ(b.1931):アレグロ・ルスティコ、森の音
デルフィーネ・フォン・シャウロート(1814-1887):6つの無言歌(ブロフィット・クンザー&ウォルカー編曲)
シュラミット・ラン(b.1949):楽園の鳥

ヴァージニア・ブロフィット・カンザー(Fl)
タミー・ウォーカー(Pf)
録音:2022年1月10-14日アイオワ大学コンサート・ホール [60:17]
※20世紀と21世紀の女性作曲家によるフルートとピアノのための作品を収録。エイミー・ビーチ、リリー・ブーランジェはよく知られた作曲家で20世紀前半のフランス的な趣味の良さが表れた佳品。1970年生まれのコールマンの「人間の家族」もフランス的な和声とメロディを感じさせながらその単なる模倣に終わらないセンスのよい小品。オフェルトリウムなど深刻で激しい作風で知られるグバイドゥーリナの2つの作品は意外にもリリカルでユーモアのあふれた名品。日本のフルーティストはもっとこの作品を取り上げるべきと思わせる。フルートのヴァージニア・ブロフィット・カンザーはアメリカの交響楽団の首席を歴任しながらソリストとしても活動する俊英。

MS 1819
「ルミナス」
 ~アフリカ系作曲家のピアノ作品+バッハ=ブラームス
コールリッジ=テイラー・パーキンソン(1932-2004):トッカータ
サミュエル・コールリッジ=テイラー(1875-1912):24の黒人の旋律Op.59
ユリシーズ・ケイ(1917-1995):8つのインヴェンション
ニーナ・オグウォ(b.1970):祝祷
ブラームス:シャコンヌ(J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータBWV1004左手のための編曲版)

ニーナ・オグウォ(Pf)
録音:2002年9月10、17、23日ニューヨーク、レザボワー・スタジオ [56:02]
※最後のブラームスを除いて全てアフリカ系の作曲家による作品を収録。ピアノを弾いているヌナナ・オグウォもアフリカ系であり、アフリカ系のクラシック作曲家の作品の歴史を辿る内容となっている。サミュエル・コールリッジ=テイラーがこの中では最も有名でアフリカ系クラシック作曲家の先駆的存在だが、アフリカ音楽の影響はそれほどなく、むしろ19世紀後半のヨーロッパ音楽の諸傾向(ショパンからグリーグまで)の影響が感じられる。コールリッジ=テイラー・パーキンソンはサミュエル・コールリッジ・テイラーとは何の関係もなく、主にジャズ、映画音楽の分野で活躍した。彼のトッカータはジャズ、ロックのテイストが感じられる。

MS 1840
「ウィリアム・ホワイト:コンソート全集+1」
ウィリアム・ホワイト(1571-1634):6声のパヴァーヌ第2番
トマス・トムキンズ(1572-1656):6声のガリアール第92番
ウィリアム・ホワイト:
 6声の幻想曲第1番/5声の幻想曲第2番/
 3声の幻想曲第14番/6声の幻想曲第3番/
 2声の幻想曲第1番/6声のパヴァーヌ第1番/
 6声の幻想曲第5番/5声の幻想曲第3番/
 2声の幻想曲第2番/6声の幻想曲第2番/
 6声の幻想曲第6番/5声の幻想曲第1番「ディアペンテ」/
 6声の幻想曲第4番

アーベント・ムジーク:
【ジャドソン・グリフィン(Vn)
 マウゴルザタ・ジエムニツカ(Vn)
 ローレンス・リプニク(テノールViol)
 ロザムンド・モーリー(テノールviol)
 サラ・カニングハム(バスviol)
 パトリシア・アン・ニーリー(バスviol)
 カーリーン・ストーバー(バスviol)】
録音:2017年12月19-20日、ニューヨーク、スターテン島、聖パウロ・メモリアル教会 [46:22]
※ウィリアム・ホワイトはルネサンス時代のイギリスの作曲家。多くの室内楽、宗教音楽を作曲したが、今日ではほとんどその作品は忘れられてしまった。このアルバムは彼のコンソート曲(ヴィオールを含む室内アンサンブル作品)の全てが収められている。テューダー王朝時代の典雅な雰囲気が味わえる一枚。トマス・トムキンズはホワイトと同時代の作曲家でこちらの方が比較的よく知られている。

MS 1841
ハリー・オレ(1885-1972、ラトヴィア):ピアノ作品集
【東洋の民謡に基づく作品集】
南中国の幻想曲-淑女と花売りOp.17,No.1
5つの南中国の民謡Op.17,No.2
2つの南中国の旋律Op.18
マカオの子守歌Op.19
東洋音楽に基づく演奏会用組曲Op.23
【ラトヴィアの民謡に基づく作品集】
ラプソディ第1番Op.6
ラプソディ第2番Op.7
2つのラトヴィアのバガテルOp.21

ジャオイー・ロン(Pf)
録音:2022年12月7日、2023年3月1日オハイオ州シンシナティ大学ロバート・J・ワーナー・リサイタル・ホール [65:18]
※ハリー・オレはユダヤ系ラトヴィア人の作曲家、ピアニスト、教師。R.コルサコフに師事し、ピアニストとしてハルビン、上海ほか中国各地を演奏旅行し、その際耳にした中国の音楽に影響を受けて多くの中国風のピアノ曲を作曲した。いかにも西欧人が書きそうな典型的なシノワズリ(中国風)の音楽だが、ドビュッシーの影響が強く感じられる。ラトヴィア民謡に基づく作品の方が母国の音楽だけあって彼の個性がより反映され、演奏効果の高い技巧が凝らされた秀作。今までほとんど知られてこなかった近代ラトヴィアの作曲家のおそらく初めての作品集。