ALBANYレーベル(アメリカ)
ベト7やマラ5も聞こえる!?
ロックバーグのユニークな無伴奏ヴァイオリン作品!
TROY 1883
ジョージ・ロックバーグ(1918-2005):
カプリース変奏曲~無伴奏ヴァイオリンのための
レオ・マリリエ(ヴァイオリン)
録音:2021年8月1日フランス、フランボアン教会 [72:58]
※アメリカの新ロマン主義の作曲家ジョージ・ロックバーグの無伴奏ヴァイオリンのための作品。ロックバーグは1960年代にそれまでのセリエリズムによる作曲から一転して調性に基づくロマン的な作風に転向したことで知られる。この作品は明らかにパガニーニの24のカプリースを意識して書かれた超絶技巧を要する作品で全51曲からなる大作。調性の曲あり、無調の曲あり、特殊奏法の曲ありと様式は様々。ベートーヴェンの第7交響曲の終楽章やマーラーの第5交響曲のスケルツォの素材で書かれた曲もありヴァラエティに富んだ内容。
フランスのヴァイオリン奏者レオ・マリリエ(b.1995)はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の手稿譜に基づいた録音(CASCAVELLEレーベル、VEL1529)で話題になった。
バーバーやグアルニエリのソナタも収録!
アメリカとブラジルのチェロ作品集!
TROY 1885
「南北アメリカのチェロ作品集」
①アンドレ・メーマリ:大きな湾II (2020)
②ジョージ・ウォーカー(1922-2018):チェロ・ソナタ(1957)
③ダニエル・クロジャー:ノクチュルヌ(1997)
④カマルゴ・グアルニエリ(1907-93):チェロ・ソナタ第2番(1955)
⑤サミュエル・バーバー(1910-81):チェロ・ソナタOp.6(1932)
⑥セサル・グエラ=ペイシェ(1914-93):3つの小品(1957)
グレゴリー・ソーアー(Vc)
ハイディ・ルイーズ・ウィリアムス(Pf)
録音:2021年5月24-27年フロリダ州立大学ルビー・ダイアモンド・コンサート・ホール [75:01]
①③:世界初録音
※20~21世紀の南北アメリカの作曲家によるチェロとピアノのための二重奏曲集。メーマリはブラジル出身。「大きな湾II」はモダン・ジャズとロックの要素をクラシックに取り入れた歯切れのよい快作。ウォーカーはアフリカ系アメリカ人としては先駆的なクラシックの作曲家。彼のチェロ・ソナタは20世紀前半の音楽の諸要素を取り入れつつ独自のリリシズムを展開する。バーバーのソナタはアダージョの作曲家らしく抒情的な旋律が横溢する秀作。グアルニエリはブラジルの作曲家で近年注目されている。ゲラ=ペイシェもブラジル出身。彼の3つの小品はブラジルの民族音楽やポピュラー音楽の要素を取り入れた親しみ易い音楽。
※その他ALBANYレーベル新譜
TROY 1881
ブラームス(1833-97):ヴァイオリン・ソナタ全集
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調「雨の歌」Op.78
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.10
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108
スケルツォ楽章ハ短調Wo02
リモール・トレン=インマーマン(Vn)
ハテム・ナディム(Pf)
録音:2017年12月アレグロ・レコーディング・スタジオ [78:28]
※リモール・トレン=インマーマンはロシア出身の若手ヴァイオリニスト。モスクワのグネーシン国立音楽院で学んだ後、イスラエルのエルサレム音楽アカデミーに留学、現在はアメリカで活動、メータやデュトワなど巨匠たちと度々共演している。しっとりした柔らかい音色が魅力的で、このブラームスもたっぷりと歌い込んだ秀演。将来有望なヴァイオリニトの登場である。
TROY 1884
「作曲家の声~ボーリンググリーンの新しい音楽集Vol.8」
①アーロン・ジェイ・カーニス:光の翼
②マリリン・シュルード:時の帳
③ダリット・ウォーショウ:レスポンセズ
④リチャード・コーネット:シンフォニア
⑤マーティン・ケネディ:トロンボーンと管弦楽のための主題と変奏
⑥デイヴィッド・リプタク:ノーザン・ライト
※各作品の前に作曲者自身の語りによる解説を収録
エミリー・フリーマン(指揮)
ボーリング・グリーン・フィルハーモニア
②イオアナ・ガル(Vn)
⑤ブリタニー・ラッシュ(Trb)
[69:22]
※アメリカの中堅からベテラン世代の作曲家による管弦楽作品集。作品の前に作曲者自身のナレーションによる解説が収録されている。ピューリッツァ賞作曲家アーロン・J・カーニスの「光の翼」は映画音楽を思わせるエンターテイメント性の高い佳作。シュルードの「時の帳」はベルクを思わせる表現主義的な秀作。ケネディのトロンボーン協奏曲「主題と変奏」は現代音楽とジャズが融合した楽しい作品。リプタクの「ノーザン・ライツ」は管弦楽の機能を存分に生かしたドラマティックな作品。アメリカ現代音楽におけるオーケストラの今を知る上で最適の一枚。
TROY 1886
アレック・ワイルダー(1907-80):ピアノ作品集Vol.2
①一人ではない
②ピアノのための組曲V (No.19,24,13,26,16,23,14)
③ピアノ・シリーズ(全4曲)
④ピアノのための組曲V (No.22,15,17,25,20,21)
⑤城への散歩道
⑥こどものためのオーケストラへの招待
⑦ピアノのための組曲VI(No.34,28,29,27,33,32)
⑧小品集(淑女のための子守歌、宿題、ブラックベリーの冬、ほか全7曲)
ジョン・ノエル・ロバーツ(Pf)
録音:2021年6月28-29日サン・アントニオ [61:35]
※アレック・ワイルダーはフランク・シナトラ、ペギー・リー、トニー・ベネットらアメリカを代表するジャズ、ポピュラー歌手たちに多数の歌を提供し、その旋律はジャズ・ミュージシャンも好んでセッションに取り上げる作曲家だが、オペラ、管弦楽曲、室内楽曲など多くの作品を残している。ピアノ作品も数多く作曲しており、ここに収められた曲はジャズの影響を感じさせるものから無調、バッハを思わせるもの、サティ、フォーレを彷彿とさせるものまで実に多様。聴くと秋から冬にかけての街路樹の中をゆっくりと歩いている気持ちにさせる、全体に静かな曲が多く、程よくモダンでセンスのよいピアノ音楽が集められている。
TROY 1887
「聴くところによると」~リビー・メイヤー作品集
①ジョニーBのために(2017)~Chor ,2Vn, Vc, T.Sax, Trb
②バロック・ダンス(2018)~T.sax, Perc, Vn
③私たちはこの空(詞:バートレイ・セイゲル) (2014)~Chor, Perc
④乱気流(2017/2021)~Vn, Vc, Ens
⑤メルシーナは水鳥に呼びかける(2001/2021)~無伴奏Vn
⑥円筒形の髭(2019)~Vn, Vc, Ens
⑦聴くところによると、、、(詞:ウェンデル・ベリー)(2016) ~Chor, Trb, Perc, Pf
カペラ・クローシュラ(合唱)
ジュベンタス・ニュー・ミュージック・アンサンブル
ほか
録音:2019-2021年 [54:38]
※リビー・メイヤーの生年は公表されていないが、ブックレットの写真から若手から中堅世代にかけての作曲家と思われる。彼女の音楽は調性、ミニマリスティックな技法を使い現代的なロマンティシズムを表現しようとしているところにジョン・アダムスの影響が感じられる。アルバム・タイトル「聴くところによると、、、」は合唱と室内アンサンブルのための大作。
TROY 1888
「ヒプノシス」~近現代のロマンティックなフルートとハープのための音楽
①ジャック・イベール(1890-1962):間奏曲
②ハーマン・ベーフティンク(b.1953):《四季》
③ベンジャミン・ゴダール(1849-1895):組曲よりアレグレット
④イアン・クラーク(b.1964):《ヒプノシス》
⑤クロード・ドビュッシー(1862-1918):亜麻色の髪の乙女
⑥ロンダ・ラーソン(b.1962):スウィート・シンプリシティ
⑦パスカル・プルースト(b.1959):前奏曲と舞曲
⑧ジョセフ・ジョンゲン(1873-1953):ダンス・レント
⑨ジョン・ラター(b.1945):ワルツ
⑩ガブリエル・フォーレ(1845-1924):シシリエンヌ
⑪ハーマン・ベーフティンク:トワイライト
⑫アラン・ホヴァネス(1911-2000):《アドニスの庭》
⑬ジョン・マーソン(1932-2007):春の花
ドン・ベイリー(Fl)
ローラ・ローガン・ブランデンバーグ(Hrp)
⑥カーラ・ワイルドマン(バウロン)
録音:2021年6月1-3日 [70:36]
※19世紀後半から今世紀までのロマンティックで美しいフルートとハープのための作品を収録。イベールの間奏曲はフルート奏者の間ではよく知られた甘美な小品。ドビュッシーのピアノ曲「亜麻色の髪の乙女」はまるでこの編成のために書かれたような編曲で見事。合唱音楽で有名なラターのワルツは粋な小品。多作家で知られたホヴァネスの「アドニスの庭」はフランス印象派と神秘主義が融合した独特の雰囲気を持った佳品。
TROY 1889
ダニエル・パルコフスキの音楽
①《夏の組曲》~ピアノのための
②《さやえんどう》~中国琵琶のための
③カノン的ベクトル
④ピアノと室内管弦楽のためのコンチェルティーノ
①③シリン・シー(Pf)
②ウ・マン(中国琵琶)
④エレーナ・アタナソフスカ(Pf)
オレグ・コントラテンコ(指揮)F.A.M.E.スタジオ管弦楽団
[60:26]
※ダニエル・パルコフスキの生年は公表されていないが、ネット上の写真から中堅以上の世代と思われる。「夏の組曲」は4つの小品からなる無調の作品でクルシェネクあたりの作品を思わせる。「さやえんどう」は中国琵琶が特殊奏法を含む超絶技巧で聴かせ、ハード・ロックを思わせる激しい作品。ピアノと室内管弦楽のためのコンチェルティーノは自由な無調で書かれたエネルギッシュな音楽。
TROY 1890
「ペルーのお宿」~アンデス先住民の旋律、リズム、伝統にインスパイアされた音楽集
①クロティルデ・アリアス(1901-1959):ウイラコチャ
②パブロ・チャベス・アギラ(1898-1950):インカの前奏曲
③テオドロ・バルカセル(1900-1942):ラメロス族の踊り
④ロドルフォ・ホルツマン(1910-1992):田園前奏曲
⑤ロドルフォ・ホルツマン:ジリッシュ・ジャンカ
⑥アンドレス・サス(1900-1967):ソナチネ・ファンタジア
⑦エンリケ・イトゥリアーガ(1918-2019):プレゴンと踊り
⑧セルソ・ガリード=レッカ(b.1926):ソリロキオ
⑨ホルヘ・ビリャビセンシオ・グロスマン(b.1973):アンタラ
⑩ガブリエラ・レナ・フランク(b.1972):チャンビの夢
オルランド・セラ(Pf,⑧以外)
①⑧⑨⑩カルメン・ロドリゲス=ペラルタ(Fl)
録音:2021年8月 [52:17]
※ペルーのクラシック、現代音楽の歴史を辿る珍しいアルバム。ペルーの作曲家たちも西洋音楽と自分たちが本来持っている伝統をどう融合するか、どう折り合いを付けるかということに悩み、試行錯誤したと思われ、そういった思考と創作の歴史をこの一枚で辿れる。初期の音楽は五音階中心で中国かアイルランド民謡を思わせる平易な旋律に新しい和声をつける試みがなされ、次第にペルー人作曲家としてのアイデンティティが確立、やがて1970年代生まれの作曲家たち(グロスマン、フランク)はヨーロッパの前衛的な様式と自分たちの伝統を融合する方向に向かう。ペルー音楽の現在を知る上で興味深いディスク。
TROY 1891
「フィルタリング」~メリーランド大学ボルティモア校ウィンド・アンサンブル
①ブラッド・エリス:マクガフィのリード
②サミュエル・ウィニー:ロスローリエンの夕暮れ
③アンナ・ルービン:キアロスクーロ
④ジャニス・マッコーリー:万華鏡
⑤ダニエル・バーナード・ルーメイン:ブードゥー・ヴァイオリン協奏曲
ブライアン・カウフマン(指揮)
メリーランド大学ボルティモア校ウィンド・アンサンブル
①トレヴァー・モーリー(Ob)
①ブラッド・エリス(Pf)
⑤ダニエル・バーナード・ルーメイン(Vn)
[54:21]
※メリーランド大学ボルティモア校ウィンド・アンサンブルはアメリカ東部を代表するウィンド・アンサンブル。作曲家ブラッド・エリスを音楽監督として新作、ポップスの吹奏楽編曲の演奏を行っている。収録曲はいずれも親しみ易いものばかりで、音楽監督エリスの作品はスイング・ジャズの要素を取り入れた軽快な音楽。ルーメインの「ブードゥー・ヴァイオリン協奏曲」はヴァイオリンと吹奏楽のための協奏曲でジャズ、ロック、エスニックな音楽が闇鍋状態でミックスされた面白い作品。
TROY 1892
「ピアノによる祈り」~賛美歌・聖歌集
イギリス賛美歌メドレー/アメリカの賛美歌より/
ウェールズ地方の聖歌/黒人霊歌メドレー/
J.S.バッハ:オルガン・ソナタ第4番BWV528より/
アイルランド民謡より/スウェーデン民謡より/
他全17曲
ホセ・ルイス・ヘルナンデス(Pf)
録音:2021年8月ボストン・WGBHフレーザー・ホール [54:25]
※アメリカ、ヨーロッパの賛美歌、聖歌、民間伝承歌をピアノ・ソロ用に編曲して聴く一枚。バッハから黒人霊歌までヴァラエティに富んだ内容。キリスト教音楽に慣れ親しんでいる人にお薦め。なかにラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲の中の有名な旋律(第18変奏)が現れることから、この旋律に宗教的な歌詞が付けられて広く歌われていることがわかる。
TROY 1895
「私が歌を歌った時」
~アーネスト・チャールズ(1895-1984)歌曲集
私の淑女が歩く、もしあなたが知ったなら、雲、白鳥、伝言、夜、昔々の甘い歌、三日月、私が歌を歌った時、ほか全24曲
ニコラス・プロベンザーリ(Br)
テリー・クラインフェルター(Pf)
録音:2022年1月29日 [59:12]
※アーネスト・チャールズはアメリカの作曲家で1930年代から50年代にかけて多くの芸術歌曲を作曲した。今日ではその多くが忘れられてしまったが、キルステン・フラグスタートやトマス・ハンプソンが好んで取り上げている。作風は明朗な形式と流麗なメロディが特色でR.シュトラウスの歌曲にアメリカ的なポピュラリティを加えたような美しく聴きやすい音楽。