①好企画!未完成作品の断片も多数収録!モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集!②録音時は14歳!天才少女チェリスト、ミリアム・K.スミスのデビューCD!/他、新譜13タイトル

MSRレーベル(アメリカ)

好企画!未完成作品の断片も多数収録!
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集!
MS 1800(6CD, 5枚価格)
「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集 +断章集」
 ハ長調 K.6 (第1番)/ニ長調 K.7 (第2番)/変ロ長調 K.8 (第3番)
 ト長調 K.9 (第4番)/変ホ長調 K.26 (第11番)/ト長調 K.27 (第12番)
 ハ長調 K.28 (第13番)/ニ長調 K.29 (第14番)/ヘ長調 K.30 (第15番)
 変ロ長調 K.31 (第16番)/ハ長調 K.296 (第24番)/
 ト長調 K.301 (第25番)/変ホ長調 K.302 (第26番)/
 ハ長調 K.303 (第27番)/ホ短調 K.304 (第28番)/
 イ長調 K.305 (第29番)/ニ長調 K.306 (第30番)/
 ヘ長調 K.376 (第32番)/ヘ長調 K.377 (第33番)/
 変ロ長調 K.378 (第34番)/ト長調 K.379 (第35番)/
 変ホ長調 K.380 (第36番)/変ロ長調 K.454 (第40番)/
 変ホ長調 K.481 (第41番)/イ長調 K.526 (第42番)/
 ヘ長調 K.547 (第43番)/
 ソナタ断片 ト長調 K.Anh.47/ソナタ断片 イ長調 K.Anh.48/
 ソナタ断片(アンダンテとアレグレット) K.404/
 ソナタ断片(第37番) イ長調 K.402/ソナタ断片(アレグロ) 変ロ長調 K.372/
 幻想曲(ソナタ断章) ハ短調 K.396/
 ソナタ断章(第38番)(アンダンテとアレグレット) ハ長調 K.403

アンドルー・スミス(ヴァイオリン)
ジョシュア・ピアース(ピアノ)
録音:2019年1月27日,2月12,13,24日,3月19日,24日,4月14日,5月19日,6月16日
米国 コネチカット州 フェアフィールド(ライヴ録音)、DDD、6h55m
※MSRがモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全集を出した。しかも演奏、企画とも秀逸なもの。ヴァイオリンのアンドルー・スミスは英国出身で、英米を中心に活動している。一般的なヴァイオリンのレパートリーに加え、現代音楽を積極的に取り上げることでも知られている。ピアノのジョシュア・ピアースはMSRにかなりの録音をしており、その中にはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン(ピアノ協奏曲全集)、シューベルトなどから、ロシアのピアノ協奏曲集、さらにはケージ作品集まで実に広範囲を手掛けるピアニスト。そんな方向性の近い二人が生み出すモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、明快でサッパリとした感触のキリッとしたモーツァルト。加えてここには未完成作の録音がいろいろ。断章ではあるもののいずれもモーツァルトならではの生き生きとした音楽なので、マニアには嬉しいもの。
この録音は米国、コネチカット州フェアフィールドの放送局WSHUの公開放送でのもの(会場は同放送局のザ・ストーン・ファミリー・アセンブリー・ホール)で、ジャケットにはライヴ・レコーディングとあるものの拍手はまったく入っていない。

録音時は14歳!
天才少女チェリスト、ミリアム・K.スミスのデビューCD!
MS 1780
「天賦の才能」
ピアソラ:ル・グラン・タンゴ
ファリャ(マレシャル編):スペイン民謡組曲
バーバー:チェロ・ソナタ Op.6
チャイコフスキー:奇想曲集 Op.62

ミリアム・K.スミス(チェロ)
ジェイコブ・ミラー(ピアノ)
録音:2020年9月 米国 オハイオ州 シンシナティ、DDD、69’52
※米国の天才少女チェリスト、ミリアム・K.スミスの国際販売でのデビューCD。題名はずばり「天賦の才能」。ミリアム・K.スミスは2006年の生まれ。8歳でハイドンのチェロ協奏曲第1番を弾いて協奏曲デビューを果たす。以来米国各地で演奏活動を行っている。数年前に「着火 ignite」と題されたCDを発表して好評を得た。この時のジャケット写真はまだあどけない少女だったが、2020年録音のこのCDでは既に大人の雰囲気を醸し始め、それは演奏にも反映されている。瑞々しい音色と迷いのないボーイングはいかにも若々しい一方で、バーバーのチェロ・ソナタのような渋めの音楽での深みは到底10代半ばの少女の演奏とは思えない。ファリャのスペイン民謡組曲のような演奏効果の高い曲でも彼女はむしろ抑え気味に弾いて内省的な美を追い求めている。もちろんまだ成長途中で技術的な課題がないわけではないが、それでもスミスはこの時点で非常に強い魅力を持ったチェリストであり、このCDを聞けば将来を期待しないわけにはいかないだろう。ジェイコブ・スミスの伴奏もたいへん見事。

※その他MSRレーベル新譜
MS 1520
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番ホ短調Op.38
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調Op.19

メアリー・コスタンツァ(チェロ)
レイ・ピアポント(ピアノ)
録音:2016年3月16-18日米国 コネチカット州 レイクヴィル、DDD、64’37
※米国のチェロ奏者、メアリー・コスタンツァの弾くブラームスとラフマニノフのソナタ。メアリー・コスタンツァはニューヨーク州フェアポートの生まれ。カーティス音楽院を修了後、ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団などで活動。現在はコネチカット州のグリニッチ交響楽団の副首席奏者を務めている。軽めで柔らかい音色で温かく弾いている。伴奏のレイ・ピアポントはコネチカット州のピアニスト。

MS 1701
「1919年のヴィオラ・ソナタ集」
リロント:ヴィオラ・ソナタ Op.73
スラージュ:ヴィオラ・ソナタ Op.25
フート:ヴィオラ・ソナタ Op.78a
バントック:ヴィオラ・ソナタ ヘ長調~第3楽章

ヒラリー・ハーンドン(ヴィオラ)
ウェイ=チャン・バーナデット・ロ(ピアノ)
録音:2020年8月13―15日 米国 テネシー州 ノックスビル、DDD、64’42
※「1919」と題されたヴィオラ・ソナタ集。いずれの曲も1919年に関わるものばかりである。
ジョゼフ・リロント Joseph Ryelandt(1870-1965) はベルギーの作曲家。日本ではジョセフ・ライラントやリエラント、さらにはベルギー人なのにドイツ語読みでヨーゼフ・リエラントなどと様々なカナ表記があるが、生地ブルッヘでの発音はジョゼフ・リロント。ヴィオラ・ソナタは1919年に書き上げられた。後期ロマン派的作風。
マルセル・スラージュ(1894-1970)はペルーのリマの生まれだが彼女が生まれて5年ほどで一家はフランスに引き上げる。ヴィオラ・ソナタは1919年の作。ほんのりフランス風味の作風。
アーサー・フート(1853-1937)は米国、マサチューセッツ州セイラムの生まれ。ボストンを拠点に活動した。ヴィオラ・ソナタは、1912年から1918年に書かれたチェロ・ソナタから1919年に書き改められたもの。ロマンティシズムの濃さと端正な作りが両立している隠れた佳作。
グランヴィル・バントック(1868―1946)はこのCDでは最も有名な作曲家だろう。英国、ロンドンの生まれ。ヴィオラ・ソナタは1919年7、8月に書かれた。4つのヴィオラ・ソナタの中では最も近代的な作風である。
ヒラリー・ハーンドンは米国を代表するヴィオラ奏者の一人。アメリカ・ヴィオラ協会の会長。埋もれたヴィオラ作品の発掘に力を入れ居ている。ウェイ=チャン・バーナデット・ロ(ロが本来の姓)は台湾出身のピアニスト。二人ともテネシー州を拠点に活動している。

MS 1712(2CD)
「サックス・スペクトラム3」~アルトおよびソプラノ・サキソフォンのための新しい音楽
グレン・ギリス(b.1956):逸脱
リチャード・ギリス(b.1955):永遠にとこれまでに
バーバラ・ヨーク(1949-2020):3つの奇妙な踊り
グレン・ギリス:敬意/漫画二重奏曲
デイヴィッド・キャプラン(1923-2015):格言
グレン・ギリス:組曲
グレン・ギリス&ジェイムズ・カニンガム(b.1954):
ファンファーレ/お忍び旅行/宇宙の組曲
ポール・スチャン:時の鐘
グレン・ギリス:嘆き/カプリッチョ

グレン・ギリス(アルトおよびソプラノ・サクソフォン)
ジェイムズ・カニンガム(ディジュリドゥ,ほら貝,打楽器)
ゲイリー・ゲーブル(歌)
ウェイン・ギースブレクト(エレクトロ=アコースティックス)
リチャード・ギリス(トランペット,フリューゲルホルン)
ボニー・ニコルソン(ピアノ)
サトラム・ラムゴトラ(タブラ,ドラムセット)
録音:2020-2021年 カナダ サスカチュワン州 サスカトゥーン、DDD、56’10/58’01
※第1集(MS 1328)、第2集(MS 1524)に続くサックス・スペクトラムの第3集。今回もサキソフォン奏者のグレン・ギリスが中心となって、ジャズ風、ポップス風、クラシック風の様々な作品を演奏している。ディジュリドゥはオーストラリアの先住民アボリジニが用いる管楽器。

MS 1714
「バーバラ・ハーバック作品集VOL.15」
~ハーバック(b.1946):管弦楽曲集Vol.6
①-③ヒルデガルトの幻視(2018)
④-⑧人生の不運(2018)
⑨-⑪星々が空に押し寄せる響(2018)
⑫月食(2017)
⑬スペインタンゴ―タンゴ・カプリス(2018)

デイヴィット・アンガス(指揮)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2019年8月13-14日ヘンリー・ウッド・ホール,ロンドン、DDD、70’10
※米国の作曲家、バーバラ・ハーバックの管弦楽作品集、これが第6集。「ヒルデガルトの幻視」(2018年)は、12世紀の修道女で作曲家でもあるビンゲンのヒルデガルトの幻視に触発された作品。「人生の不運」は、彼女のオペラなどの作品の中の曲から採られたもの。ハーバックは作曲家としてはMSRから作品集が14集まで発売されている他、チェンバロ奏者としてアントニオ・ソレールのチェンバロ・ソナタ全集14CD(MS1300)という偉業を成し遂げたり、オルガン演奏もあったりと、幅広い活動をしている。そのためかいずれの曲も近代的でありつつ前衛的な要素は皆無の聞きやすい音楽である。
デイヴィット・アンガスは英国出身の指揮者。ボストン・リリック・オペラの音楽監督を務めている。

MS 1729
「熟慮」~アリッサ・モリス:オーボエのための室内楽作品集
4つの個性(オーボエとピアノのための)
天気予報(オーボエと4つの打楽器奏者のための)
熟慮(無伴奏オーボエのための)
嵐の海の寓話(2つのオーボエとイングリッシュ・ホルンのための)
「27-72」(オーボエとピアノのための)

アリッサ・モリス(オーボエ)
アマンダ・アーリントン(ピアノ)
ヘザー・バクスター(オーボエ)
サラ・レンナー(イングリッシュ・ホルン)
録音:2020年2月10日,2021年3月6,13,24日,5月20,21日、米国 カンサス州立大学、DDD、78’54
※米国のオーボエ奏者、作曲家のアリッサ・モリスの自作自演集。アリッサ・モリスは現在、カンザス州のトピカ交響楽団の首席オーボエ奏者を務めている。「27-72」という奇妙な題は、引き算ではなくて、米国テキサス州のベイラー大学で1972年から2018年までオーボエを教えていたドリス・デローチの在籍期間が彼女の27歳から72歳だったことを示している。

MS 1732
「ピアノ・デュオのためのフランス音楽」
サン=サーンス:ベートーヴェンの主題に基づく変奏曲Op.35
サン=サーンス:死の舞踊Op.40(作曲者編2台ピアノ版)
ドビュッシー:牧神午後への前奏曲(作曲者編2台ピアノ版)
プーランク:2台ピアノのための協奏曲 ニ短調(作曲者編2台ピアノ版)
ラヴェル:マ・メール・ロワ

バロン&ナヴァロ・ピアノ・デュオ:
【マイケル・バロン(ピアノ)
 プリシラ・ナヴァロ(ピアノ)】
録音:2021年8月20-22日 米国 フロリダ州 フォートマイヤーズ,DDD、66’38
※近代フランスの2台ピアノのための作品を集めたCD。いずれもオリジナルか作曲者自身による編曲というのが重要。ドビュッシー自身による2台ピアノの「牧神午後への前奏曲 」は有名だが、これはドビュッシーの様々なピアノ曲と並ぶ傑作だろう。
バロン&ナヴァロ・ピアノ・デュオは2013年結成の米国のピアノ・デュオ。マイケル・バロンは米国のベテラン・ピアニスト。プリシラ・ナヴァロはペルーのワヌコの生まれ。バロンの教え子だという。2台がよく調和しているのはもちろん、とりわけ生命力のある躍動感に優れており、これは特にサン=サーンスの2曲で生きている。

MS 1744
「魂の光景2」~アフリカ(系)の女性作曲家のピアノ曲集
エレノア・アルベルガ(b.1949):ジャマイカの調べ
エマホイ・ツェゲ=マリアム・ゲブルー(b.1923):母の愛
ンケイル・オコイエ(b.1972):アフリカのスケッチ(2曲)
ベティ・ジャクソン・キング(1928-94):季節のスケッチ
ジュリア・ペリー(1924-79):前奏曲
ジョイス・ソロモン・ムーアマン(b.1946):南カロリーナの夏の午後
タニア・レオン(b.1945):儀式
クリスタル・グラント・フォークスタッド(b.1983):私の歩いた川(3曲)
エロリン・ウォレン(b.1958):私はいつもは言わないだろう
メアリー・ルー・ウィリアムズ(1910-81):ナイトライフ(nitelife)
ジュディス・ベイティ(b.1944):問いと答え
シャーリー・トムソン(b.1958):疑わしい(2曲)
マリア・トンプソン・コーリー(b.1966):いたずらな一見~幼稚園のクラスの物語(4曲)
マリア・トンプソン・コーリー:明快な夢
マリア・トンプソン・コーリー:この上なく幸福な無知
マリア・トンプソン・コーリー:頑固な無知
フローレンス・プライス(1887-1953):黒人幻想曲

マリア・トンプソン・コーリー(ピアノ)
録音:2021年6月17日 米国 ペンシルベニア州 ランカスター、DDD,72’38
※アフリカ人もしくはアフリカ系の女性作曲家のピアノ作品を集めた興味深いCD。地域や時代も様々で作風もそれぞれではあるものの、いずれの曲も個性的なものばかりで、面白く聞ける。
マリア・トンプソン・コーリーはジャマイカ生まれ、カナダ育ちのピアニスト。彼女は十数年前にAlbanyから同様のCDを出しており(TROY 857 メーカー品切れ)、これはその第2集となる。

MS 1783
「ガラスの天井」
~ジェイク・ヘギー(b.1961)の連作歌曲集
イヴの歌(8曲)
オフェリアの歌と詩(4曲)
カミーユ・クローデル―炎の中に(8曲)

メリッサ・デイヴィス(ソプラノ)
ジェリー・ウォン(ピアノ)
録音:2021年3月31日,4月1日,5月12-13日 オーストラリア メルボルン、DDD、71’36
※米国の人気作曲家、ジェイク・ヘギー(1961-)の連作歌曲3作を収録。いずれも女性を題材にした詩を元にしている。
メリッサ・デイヴィスは米国生まれで現在はオーストラリアのメルボルンを拠点としているソプラノ。近代米国歌曲を得意としている。ジェリー・ウォンは南カリフォルニアの生まれの中国系米国人。インディアナ大学、ピーボディ音楽院、マンハッタン音楽学校で学び、1999年にバルトーク=カバレフスキー=プロコフィエフ国際ピアノ・コンクールで4人の受賞者の一人に選ばれた。

MS 1790
「踊る夢」
~フランス近代&ピアソラ作品集
ドビュッシー(エスポジト&アキョル編):夢想
フォーレ(ウェブ編):子守歌
ドビュッシー(ノエル編):月の光
ピアソラ(エスポジト&アキョル編):夢/忘却/ミロンガ
フォーレ(モンロー&マスリ=フレッチャー編):夢の後に
ラヴェル(エスポジト&アキョル編):ハバネラ形式の小品
フォーレ(オウェンズ編):シシリエンヌ
ラヴェル(オウェンズ編):亡き王女のためのパヴァーヌ
ピアソラ(ヴェフマネン編):タンゴの歴史

ニコル・エスポジト(フルート)
チャータイ・アキョル(ハープ)
録音:2021年8月 米国 アイオワ州 アイオワ・シティ、DDD、58’00
※フルートとハープのデュオでフランス近代音楽を弾けば、それは優美さの極み。さらにピアソラが加わって、穏やかな午後に聞こうが、夜静かに聞こうが、極上の愉悦を味わえるCD。
ニコル・エスポジトは米国のフルート奏者。彼女のフルートは音色が非常に美しいのだが、ミヤザワフルートのMZ-10 14金を使用しているとのこと。チャータイ・アキョルはトルコを代表するハープ奏者。1969年、バルケスィルの生まれ。アンカラ、ベルリンで学び、マーラー室内管弦楽団などで活躍した。

MS 1799
「ローレンス・ロウ(b.1956):ヴァイオリンとピアノのための作品集」
①-③ヴァイオリン・ソナタ(2011)
④⑤アダージョとセルティック・ダンス(2017)
⑥…喪失を思い(2017)
⑦悲歌(2020)
⑧エミリーに霊感を与えられ(2021)

オーブリー・スミス・ウッズ(ヴァイオリン)
レックス・ウッズ(ピアノ)
④⑤⑦アレグザンダー・ウッズ(ヴァイオリン)
録音:2018年,2021年 米国 ユタ州 プロヴォ、DDD、46’38
※ローレンス・ロウのヴァイオリンとピアノのための作品を集めたCD。ローレンス・ロウは1956年生まれの米国の作曲家、なのだが作曲を始めたのは何と2003年のこと。それまでロウはホルン奏者、ホルン教師として数十年活動してきた。40代後半になってホルン・ソナタなどを書いたところが非常に好評を得て、作曲家に転身した。
このCDに収録されている5曲はいずれも平明で静けさを湛えた優しい音楽で、それでいて芸術性が高い。技術的には平易で凝ったことはしていないにもかかわらず音楽が魅力的なのは、ロウの感性の良さゆえだろう。なかなかの掘り出し物である。
オーブリー・スミス・ウッズは米国のヴァイオリニスト。21世紀の音楽を得意としている。

MS 1805
「フォルトゥナ・アンティクワ・エ・ウルトラ」
~中世の運命と幸運と恋の歌曲集
作者不詳:王のエスタンピ第7
フィリップ ド・ヴィトリ:部族に
作者不詳:ああ変わりやい運命の危なさよ
ブロンデル・ド・ネスル:私を奮い立たせる愛が
作者不詳;悪口を言う人の企みが不和を生み出す
ギヨーム・ド・マショー:ご婦人よ、私の心はあなたの中に留まっている
作者不詳:運命から多くを得ることを期待する者は誰でも
ガウセルム・ファイディト:愛は決してそのようなことはしなかった
オドフロワ・ル・バスタール:真の愛が希望を吹き込んだ
作者不詳:新しいハマンの運命が
ギヨーム・デュファイ:私の高く良い運勢で
アダン・ド・ラ・アル:私が愛において伴うのは歌だけ
作者不詳:山から石が割れ落ちて
作者不詳:偽善者たち、偽りの司教たちが
作者不詳:成就の部屋、ソロモンの玉座は
ギヨーム・ド・マショー:ご婦人よ、私の喜びはすべてあなたからやって来る
ガス・ブリュレ:私が花の蕾を見る時

コンコーディアン・ドーン:
【クリストファー・プレストン・トンプソン(テノール,中世ハープ,指揮)
 カリン・ウェストン(ソプラノ)
 クリフトン・マシー(カウンターテノール)
 アンドルー・パジェット(バス)
 ニッコロ・セリグマン(ヴィオール)】
録音:2021年6-9月 米国 ニューヨーク州 ウェストチェスター郡 マウント・キスコ、DDD、63’18
※コンコーディアン・ドーンによる中世音楽。ギヨーム・ド・マショーやギヨーム・デュファイといった有名作曲家から作者不詳の曲まで、多様な、しかし胸にジーンと染み入る名曲ばかり。リーダーであるクリストファー・プレストン・トンプソンのハープ弾き語りの歌はまさに吟遊詩人の味わいだろう。
コンコーディアン・ドーンは2012年結成、12世紀から14世紀にかけての音楽を専門としている。