ミュリエル・シュマンの何と2度目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音!/他、新譜4タイトル

ODRADEK RECORDSレーベル(アメリカ)

ミュリエル・シュマンの何と2度目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音!
ODRCD 361(10CD, 3枚価格)(日本語オビ・解説付き)
「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」
第1番 ヘ短調 Op.2-1/第2番 イ長調 Op.2-2/第3番 ハ長調 Op.2-3/
第4番 変ホ長調 Op.7/第5番 ハ短調 Op.10-1/第6番 ヘ長調 Op.10-2/
第7番 ニ長調 Op.10-3/第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」/
第9番 ホ長調 Op.14-1/第10番 ト長調 Op.14-2/第11番 変ロ長調 Op.22/
第12番 変イ長調 Op.26 「葬送」/第13番 変ホ長調 Op.27-1/
第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」/第15番 ニ長調 Op.28 「田園」/
第16番 ト長調 Op.31-1/第17番 ニ短調 Op.31-2 「テンペスト」/
第18番 変ホ長調 Op.31-3/第19番 ト短調 Op.49-1/
第20番 ト長調 Op.49-2/第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」/
第22番 ヘ長調 Op.54/第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」/
第24番 嬰ヘ長調 Op.78/第25番 ト長調 Op.79/
第26番 変ホ長調 Op.81a 「告別」/第27番 ホ短調 Op.90/
第28番 イ長調 Op.101/第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィーア」/
第30番 ホ長調 Op.109/第31番 変イ長調 Op.110/第32番 ハ短調 Op.111

ミュリエル・シュマン(ピアノ)
録音:2017年7月4-6,25-28日,12月14-16日,2018年4月27-30日,10月22-24日,2019年1月21-22日,5月20-22日,7月3-4日,11月11-12日,2020年7月15-18日,2021年3月23-27日、イタリア アブルッツォ州 モンテシルヴァーノ、696’56
※フランス出身でイタリアで活動するピアニスト、ミュリエル・シュマンがベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音。彼女は2000年頃にも全曲録音をしている(SOLSTICEレーベル)ので、これが2度目の全集録音となる。 ミュリエル・シェルマンはフランス北西部、港湾都市として名高いル・アーヴルの生まれ。5歳でピアノを学び始め、パリのエコール・ノルマルを修了。その後イタリアでマリア・ティーポに学んでいる。欧米で広く活躍しつつ、2014年からヴェネツィア音楽院で指導にも当たっている。シュマンはイタリアでは特にベートーヴェン弾きとして有名で、2016年にODORADEKにディアベリ変奏曲を録音、好評を得ていた。そしてこのピアノ・ソナタ全集は、ディアベリ変奏曲の翌年2017年から4年近くをかけてじっくり手掛けたもの。長年ベートーヴェンに打ち込んできたピアニストが到達した深い味わいを湛えたベートーヴェンは、強い説得力を持っている。

※その他ODRADEK RECORDSレーベル新譜
ODRCD 425 (日本語オビ・解説付き)
シューマン:
 アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70
 幻想小曲集 Op.73
 民謡風の5つの小品 Op.102
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ D821

アドルフ・グティエレス・アレナス(チェロ)
ホス・デ・ソラウン(ピアノ)
録音:2021年10月26-28日 スペイン バレンシア州 アリカンテ [62:16]
※ミュンヘン生まれのスペイン人チェロ奏者、アドルフ・グティエレス・アレナスのODRADEKへの第2弾。第1弾のベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集(ODRCD 407)が大変素晴らしい演奏で驚かされたが、このシューマンとシューベルトはさらに輪をかけて充実している。 アレナスのチェロはまさにドイツとスペインの美点の融合で、細部をおろそかにしないキッチリした音楽が下地にありつつ、そこから流麗な歌と体の底から突き上げるような情熱が加わっている。有名なシューベルトのアルペジョーナ・ソナタでは、かなり動的に揺らしているにもかかわらずそれがシューベルトらしい慎ましい佇まいを壊すことがない。シューマンではロマンティシズムがよりストレートで、とりわけ幻想小曲集の大きくうなる情感が素晴らしい。ホス・デ・ソラウンはスペインのピアニスト。バレンシア生まれだが、20年以上米国で暮らして米国籍も持っている。2014年にジョルジュ・エネスク国際コンクールで第1位を獲得。現在はマドリッド在住。

ODRCD 429(日本語オビ・解説付き)
「イベリアの印象」
アルマンド・ジョゼ・フェルナンデス(1906-83):ソナティーナ
アルベニス(1860-1909):エスパーニャ Op.165
ペドロ・ブランコ(1883-1919):
カスティーリャ Op.16~レオンの子守歌
ロマンティックな時間 Op.6~子守歌
ガラニアス Op10~ヴェルベナ(祭り)
ジョゼ・ヴィアナ・ダ・モッタ(1868-1948):3つのポルトガルの情景 Op.9
ハビエル・モンサルバーチェ(1912-2002):イヴェットのためのソナティーヌ

パウロ・オリヴェイラ(ピアノ)
録音:2021年11月22-23日イタリア アブルッツォ州 モンテシルヴァーノ DDD,63’37
※ポルトガルのピアニスト、パウロ・オリヴェイラの演奏するスペインとポルトガルの作曲家のピアノ作品集。スペインというと情熱的という印象が強いが、ここでは知的な美しさが光る曲も多い。アルベニスの「エスパーニャ」は言わずと知れた名曲。アルマンド・ジョゼ・フェルナンデス(1906-1983)はポルトガルの作曲家(ポルトガル人なのでJoseはホセでなくジョゼと読む)。20世紀の作曲家だが明快な作風で非常に魅力的。ペドロ・ブランコ(・ロペス)(1883-1919)はスペインの作曲家。北部のレオンの生まれで、マドリッドで学んだ後、ポルトガルに移ってポルトで亡くなっている。ロマンティックな音楽とドビュッシーなどの近代的な響きが混ざるブランコの音楽は優れたものだったが、1918年から1920年に流行したスペイン風邪の犠牲になり35歳で早世した。ここに収録された3曲を聞くだけでも、彼が長命したら、と思わざるを得ないだろう。ジョゼ・ヴィアナ・ダ・モッタ(1868-1948)はポルトガルの作曲家。彼はリストの最後の弟子として有名である。リスボンでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏を成しなどピアニストとして、またピアノ教師としても高名だった。3つのポルトガルの情景は非常に親しみやすい気の利いた曲。カタルーニャの作曲家、ハビエル・モンサルバーチェ(1912-2002)となると一気に近代的な響きが広がる。イヴェットのためのソナティーヌは、娘のために書いたものだという。パウロ・オリヴェイラはリスボン高等音楽院で学んだ後、同郷の出身で米国のカンザス大学でピアノ科教授を務めていたセケイラ・コスタ(1929-2019 ヴィアナ・ダ・モッタの弟子)の高弟になった。癖のない優しい演奏が魅力である。

ODRCD 432
「まるで川が歌っていたように…」~エストニアの新作管弦楽作品集
①アリソン・クルースマー(b.1992):まるで川が歌っていたように…(2020)
②マリア・ケルヴィツ(b.1987):コンクリート~オレフ・シーンマーへのオマージュ(2021)
③ラスムス・プール(b.1991):ヴァイオリン協奏曲(2019)

カスパー・マント(指揮)パルヌ市管弦楽団
①ヨハン・ランドヴェレ(ピアノ)
③リンダ=アネッテ・ヴェルテ(ヴァイオリン)
録音:①2021年5月22-23日、②2021年10月16日、③2021年5月3-5日
エストニア パルヌ、DDD,61’10(日本語オビ・解説はありません)
※1990年前後に生まれたエストニアの3人の若い作曲家の作品を集めたCD。アリソン・クルースマーは1992年の生まれ。「川が歌っていたように…」は2020年に作曲されたピアノ協奏曲で、2021年1月にこのCDと同じヨハン・ランドヴェレのピアノで初演された。マリア・ケルヴィツは1987年の生まれ。「コンクリート」は管弦楽作品。エストニアの建築家、オレフ・シーンマー(1881-1948)の生誕140周年を記念して書かれた。このCDの中では最も前衛的な作風、ラスムス・プールは1991年の生まれ。作曲家、指揮者、アレンジャーなど幅広く活躍している。ヴァイオリン協奏曲は2019年の作。ヴァイオリン独奏のリンダ=アネッテ・ヴェルテの依頼で作曲され、2020年9月に彼女のヴァイオリンで初演されている。いずれも世界初録音。
カスパー・マントはエストニアの指揮者。2019年からパルヌ市管弦楽団の首席指揮者を務め、また2014年からエストニア国立歌劇場の指揮者としても活躍している。