ALBANYレーベル(アメリカ)
面白い?不快?喋る現代アメリカの実験音楽
TROY 1900
「トリガー(引き金)」
~現代アメリカの実験音楽
①ジョン・レーン&アレン・オッテ:《消費者市場》
②ボニー・ホワイティング:《名を連ねる》
③ニック・ランツ:《隠れ蓑》
④エリザベス・A・ベイカー:《ビフォー・アフター》
⑤ニック・ランツ:《15エーカー》
⑥アマンダ・スクーフス:《激情》
⑦ニック・ランツ:《祖父の遺言では終わらない詩》
⑧ダニー・クレイ:《コピング(対処)》
⑨アレン・オッテ:《3つのコントラファクタ(矛盾)》
ジョン・レーン(①フィックスド・メディア、音響彫刻、③⑤⑦語り、④⑥⑧Perc, Voice、④エレクトロニクス、⑥フィールド・レコーディング)
①⑨アレン・オッテ(①エレクトロニクスを伴う音響彫刻、⑨プリペアド・ピアノ、エレクトロニクス、声)
②トーチ・カルテット(Trp, Cl, Cb, Perc, Voice)
②ボニー・ホワイティング(Perc, Voice)
録音:2022年1月-2月[49:16]
※現在のアメリカ実験音楽シーンの一部が垣間見える一枚。全体に音響彫刻によるノイズ、電子音響、朗読を融合したミクスド・メディアあるいはサウンド・インスタレーデョンとも取れるアンビエント・ミュージック風の作品が並ぶ。いずれも語りが入っているが、ただ話しているだけのトラックや妙にシンプルな歌があったりと雑多な印象。
アルバム制作の中心人物であるジョン・レーンはマルチ・パフォーマー、パーカッショニストとしてアメリカ、オーストラリアそして日本でも活動する。アレン・オッテはパーカッショニストとしてシンシナティ・パーカッション・グループに所属し活動している。
※その他ALBANYレーベル新譜
TROY 1893
「タニア・レオン(b.1945):ピアノ作品集」
賛辞、墓、モーメンタム、クリオラ風ロンド、儀式、
プロコフィエフへの讃歌、神秘、前奏曲第1番「驚き」、
前奏曲第2番「金魚鉢」、ゴーイング・ゴーン、変奏曲
アダム・ケント(Pf)
録音:2018年6月17-19日アメリカン・アカデミー、ニューヨーク [53:19]
※タニア・レオンはキューバ出身の作曲家、指揮者。彼女のオーケストラ作品は2021年度のピューリッツァー賞音楽部門を受賞している。このアルバムは大小様々なピアノ曲が収められており、彼女の作風をおおよそ俯瞰できる内容となっている。キューバ出身の作曲家らしくラテン的なリズムが無調など現代的な語法と融合されたユニークな作風。現代版ラヴェル、ガーシュウィンといった雰囲気。
TROY 1894
「夢に見た風景」
ダニエル・テムキン(b.1986):「夢に見た風景」
モーリス・ラヴェル:ソナチネ
トマス・アデス(b.1971):マズルカOp.27
レオシュ・ヤナーチェク:「霧のなかで」
モーリス・ラヴェル:「水の戯れ」
イサーク・アルベニス:「イベリア」第1集
キン・ジャン(Qing Jiang,Pf)
録音:2021年9月7-9日バックネル大学ペンシルヴェニア[68:09]
※20~21世紀の国籍も様々な作曲家のピアノ曲を収録。テムキンはアメリカの若手で無調の激しい音楽。トマス・アデス(b.1971)はいまやイギリスを代表する中堅作曲家。ショパンのそれとは似ても似つかぬ凝りに凝った無調と印象主義が折衷されたようなマズルカが大変面白い。ラヴェル、ヤナーチェク、アルベニスはそれぞれを代表するピアノ作品を収録。キン・ジャンは中国系アメリカ人のピアニスト。ニューヨーク・タイムズ紙で「炎のような音楽家」を絶賛されたが、このアルバムでは炎というより、クリスタルのように硬質で澄み切ったピアノのタッチと音色に魅了される。
TROY 1898
「ドン・ウォーカー(b.1941):女性詩人の詩による歌曲集」
《アンネ・ブラッドストリートの詩による歌曲集》
《フィリス・フィートリーの詩による歌曲集》
《エミリー・ディキンソンの詩による歌曲集》
《ヘレン・ハント・ジャクソンの詩による歌曲集》
《ガートルード・スタインの詩による歌曲集》
《エドナ・セント・ビンセント・ミレイの詩による歌曲》
《ハリー・アレイの詩による歌曲集》
アン・モス(Sop)
カレン・ローズナック(Pf)
録音:2018年、2020年オークランド第25通りスタジオ、カリフォルニア [49:27]
※ドン・ウォーカーはカリフォルニアを拠点に活動する作曲家。多作家で10曲の交響曲を始め、3つのオペラ、14曲の弦楽四重奏曲など総数200曲を作曲している。このディスクはアメリカの女性詩人の詩に作曲した歌曲で、いずれも調性によって書かれた、穏健な作風。エミリー・ディキンソンとガートルード・スタインは邦訳もあるほど世界的に著名な詩人。
TROY 1899
「パリを気取るニューヨーク」~エリック・ショール歌曲集
歌曲集《花々》~詩:シンシア・ザンリン
《朝帰り》~詩:トマス・マーチ
《フランスの物語》~詩:リッチー・ホフマン
《あなたが行ってしまった後、アパートの一室で》~詩:トマス・マーチ
《小さな街の超能力者のためのエレジー》~詩:モリ・クリーチ
《液体》~詩:アーロン・スミス
《今さらながら》~詩:アーロン・スミス
《謹慎中》~詩:スーザン・キンソルヴィング
《改造》~詩:スーザン・キンソルヴィング
《パリを気取るニューヨーク》~詩:アーロン・スミス
イヴ・ジリオッティ(MS)
ジェシー・ダーデン(T)
マイケル・ケリー(Br)
エリック・ショール(Pf)
エリカ・スウィッツァー(Pf)
クリス・フリスコ(Pf)
19マーサー・アンサンブル
録音:2021年6月-2022年3月[44:44]
※エリック・ショールは主に演劇、テレビ、映画のための音楽の作曲に従事、またブロードウェイの芝居、ミュージカルのためにも音楽を提供している。このディスクにはそうした彼のキャリアを反映してか、ブロードウェイ・ミュージカル風の声楽と室内オーケストラのための歌曲集が収録されている。親しみ易いメロディと暖かなハーモニーに心がなごむ一枚。
TROY 1901
「ナンシー・ヒル・エルトン・プレイズ・ショパン&ラフマニノフ」
フレデリック・ショパン(1810-1849):
バラード第1番ト短調Op.23/
バラード第3番変イ長調Op.47/
子守歌Op.57/舟歌Op.60
セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943):
前奏曲ニ長調Op.23-4/
前奏曲ト短調Op.23-5/
前奏曲変ホ長調Op.23-6/
前奏曲ト長調Op.32-5/
音の絵Op.39-5/
ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調Op.36
ナンシー・ヒル・エルトン(Pf) [74:46]
※ナンシー・ヒル・エルトンのALBANYレーベルへの2枚目のアルバム(第1集はショパン:ソナタ第3番&ドビュッシー:前奏曲集より 品番:TROY1762)
ナンシー・ヒル・エルトンはアメリカ中西部、南部を中心に活動するピアニスト。シェーンベルク、ウェーベルンなど20世紀音楽の研究と演奏で博士号を持つ一方、ロマン派の作品を最も得意としている彼女が満を持してリリースしたアルバム。ショパンのバラードほかラフマニノフの前奏曲やソナタをヴィルトゥオーゾ的で過剰な身振りを一切廃し、端正に弾きあげている。
TROY 1902
As One(一心同体)~現代アメリカの歌曲集
ロバート・オーウェンズ(1925-2017):銀色の雨Op.11
ネッド・ローレム(b.1923):
「若き日、古い世代そして夜」/「雲」/「大いなるハドソン」/
「彼らが私をどれだけ愛しているか」
ザカリー・ワズワース(b.1983):「物語のない場所」~ロビンソン・ジェファーの5つの詩による
スルール・アーヴィング・グリック(1934-2002):2つの風景
リビー・ラーセン(b.1950):私のアントニア
ジョス・ミルトン(T)
メリンダ・コーフェイ・アームステッド(Pf)
録音:2021年9月25-30日ハイデン・バレー・ミュージック・セミナー、カリフォルニア [64:04]
※20~21世紀の様々な世代のアメリカの作曲家による歌曲を収録。全体にバーバーやコープランドを思わせるロマンティックで親しみ易い作風。ジョス・ミルトンはアメリカの地方都市で活躍するテノールだが、その伸びやかで柔らかい声が素晴らしい。
TROY 1903
「Ambiguous Traces(曖昧模糊)」~パン・パシフィック・アンサンブル
ナローン・プランチャルーン:「曖昧模糊」
ケンジ・バンチ:「ブリス・ポイント」
イプ・ホ・クウェン・オースティン:木管五重奏曲「鷲の眼」
チョン・キー・ヨン:「ラビリンスII」
デイヴィッド・ジャーヴィス:「ウィンウッド・プロジェクト」
陳怡(チェン・イー):木管五重奏曲第3番「中国の西からの組曲」
パン・パシフィック・アンサンブル:
【ソフィア・テガート(Fl)
ケリ・E.マッカーシー(Ob)
シャノン・スコット(Cl)
マイケル・ガーザ(Fg)
マーティン・D.キング(Hr)】
録音:2018年12月/2020年1月 [53:09]
※アジア系作曲家の演奏にこだわるパン・パシフィック・アンサンブルのALBANYレーベルへの第3弾(既発売はTROY1768、TROY1772)。今回もタイ、中華系アメリカ人、日系アメリカ人、香港などアジア系の作曲家による木管五重奏曲集。それぞれの出自、民族性を活かした様々な作品が聴ける、さながらアジアのおもちゃ箱といった趣の内容。パン・パシフィック・アンサンブルは中国、東南アジア、アメリカの作曲家に作品を委嘱し、文化の架け橋となるべく結成されたグループ。