①巨匠ヴィルヘルム・ケンプ若き日1923-25年の録音集!②1910、20年代に活躍したソプラノ、グラツィエラ・パレート(1889-1973)の全録音集+α

MARSTONレーベル(アメリカ)

巨匠ヴィルヘルム・ケンプ若き日1923-25年の録音集!
53025-2(3CD)
「ヴィルヘルム・ケンプ 1923-1925年

ベルリン アコースティック録音全集」

ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)
録音:1923~25年、ADD、404’22

バッハ:
平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第3番 嬰ハ長調 BWV.848
平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第5番 ニ長調 BWV.850
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV.971~第3楽章
バッハ(ケンプ編):カンタータ 「私たちはあなたに感謝する、神よ」 BWV.29~序曲
録音:1923年1月 ドイツ ベルリン
バッハ:フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調 BWV.1031~シシリエンヌ
グルック(ブラームス編):「アウリスのイフェジェニー」―ガヴォット
ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」
 ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 Op.26 「葬送」
 ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」
録音:1924年7月 ドイツ ベルリン
ベートーヴェン:バガテル ハ長調 Op.33-5
録音:1923年1月 ドイツ ベルリン
ベートーヴェン:
 ロンド ト長調 Op.51-2
 ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」
 ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」
 ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81a 「告別」
 ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 Op.90
 ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101
録音:1924年7月 ドイツ ベルリン
ベートーヴェン:エコセーズ 変ホ長調 WoO86
録音:1923年1月 ドイツ ベルリン
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 Op.15
ベルリン国立歌劇場管弦楽団(指揮者不明)
録音:1925年3月 ドイツ ベルリン
メンデルスゾーン:
 スケルツォ ホ短調 Op.16-2
 無言歌 イ長調 Op.102-5
 無言歌 ハ長調 Op.102-6
シューマン:トッカータ ハ長調 Op.7
ブラームス:ラプソディ 変ホ長調 Op.119-4
録音:1924年7月 ドイツ ベルリン
20世紀の偉大なピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプ(1895-1991)の最初期のアコースティック録音全集。ケンプはほぼ20世紀を生き切り、録音活動は実に60年に渡った。戦後はDGの看板ピアニストとして膨大な録音を残し、ステレオ録音も多数。しかしそれがゆえに戦前のケンプ30代40代の録音はあまり顧みられることがなく、復刻があってもほとんどは1940年前後のものばかり。しかしケンプは既に1920年代には極めて優秀なピアニストとして認められていた。今回marstonは1923年から1925年のベルリンでの録音をすべて復刻。そこにはベートーヴェンのピアノ・ソナタが8曲、協奏曲が1曲、その他バッハやメンデルスゾーンなど、ケンプの得意曲が並んでいる。30歳前後のケンプのピアノは喇叭吹き込みの貧弱な音からでも極めて卓越していたことが感じられる。総じて速いテンポで明確かつ集中力のある音楽を奏でており、ケンプが当時としては極めて新鮮なピアニストだったことがよく分かる。アコースティック録音ながらウォード・マーストンのいつもながら丁寧な復刻により十分楽しめるだろう。

1910、20年代に活躍したソプラノ、グラツィエラ・パレート(1889-1973)の全録音集+α
52078-2(2CD)
「グラツィエラ・パレート 全録音集 + エルヴィラ・デ・イダルゴ録音選集」

グラツィエラ・パレート(ソプラノ)
エルヴィラ・デ・イダルゴ(ソプラノ)
録音:1907~33年 ADD、152’20

「グラツィエラ・パレート 全録音集」
「1907年 イタリア ミラノ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
ベッリーニ:「夢遊病の女」~私の胸に手を置いて,ああ!私は見るとは思っていなかった,ああ! 人の思いは至らない
ドニゼッティ:「ルチア」~激しい熱情の陶酔の中で,聖なるたいまつが輝き(狂乱の場)
ヴェルディ:「リゴレット」~いとしいお名前
ドリーブ:「ラクメ」~若いインドの娘はどこへ(鐘の歌)(イタリア語)
J.シュトラウス2世:春の声
管弦楽団
「1908年11月 イタリア ミラノ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」~あそこで手を取り合って
ティッタ・ルッフォ(バリトン) 1908年11月21日 イタリア ミラノ
ヴェルディ:「リゴレット」~ああ私のジルダよ/天の上で
ティッタ・ルッフォ(バリトン) 1908年11月23日 イタリア ミラノ
ビゼー:「カルメン」~何で恐れることがありましょう(イタリア語)
カルロ・サバイーノ(指揮)ミラノ・スカラ座管弦楽団
1908年11月18日 イタリア ミラノ
「1918年7月 イタリア ミラノ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
ヴェルディ:「リゴレット」~グアルティエル・マルデ…/いとしいお名前は
1918年7月6日 イタリア ミラノ
ヴェルディ:「リゴレット」~紳士でも王子でもなく/愛は心の太陽
ランベルト・ベルガミーニ(テノール) 1918年7月9日 イタリア ミラノ
ヴェルディ:「リゴレット」~開けろ/そうだ、復讐だ!
マッテオ・ドラゴーニ(バリトン) 1918年7月6日 イタリア ミラノ
ヴェルディ:「トラヴィアータ」~乾杯の歌
ランベルト・ベルガミーニ(テノール) 1918年7月6日 イタリア ミラノ
ヴェルディ:「トラヴィアータ」~美しくて清純なお嬢さんにお伝え下さい
マッテオ・ドラゴーニ(バリトン) 1918年7月6日 イタリア ミラノ
管弦楽団
「1920年5,6月 英国 ロンドン THE GRAMOPHONE COMPANY社」
アルディーティ:口づけ
1920年5月29日
シベッラ:可愛いいとしい人よ
1920年6月10日
モーツァルト:「フィガロの結婚」~ついに時が来た/ああ遅れずに来てちょうだい
1920年6月10日
ドニゼッティ:「ドン・パスクワーレ」~騎士はその眼差しに/私もその不思議な力は知っている
1920年5月29日
ヴェルディ:「トラヴィアータ」~不思議だわ!/ああ、もしかして 彼なのかしら/馬鹿げているわ!/いつでも自由で
1920年6月10日
ビゼー:「真珠採り」~かつてのように夜の闇の中(イタリア語)
1920年5月29日
パーシー・ピット(指揮)管弦楽団
「1924年5月 イタリア ミラノ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
ビゼー:「真珠採り」~あなたの心は私の心を分かっていなかったのか
フェルナンディーノ・チニセッリ(テノール) 1924年5月15日 イタリア ミラノ
ベッリーニ:「夢遊病の女」~私の考えや私の言葉の中で
ジャンルカ・マヌリッタ(テノール) 1924年5月10日 イタリア ミラノ
管弦楽団
「1926年2月 スペイン カタルーニャ州 バルセロナ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
ロンガス:揺り籠の歌/あなたと考える/愛する苦しみ  1926年2月4日
カタルーニャの歌:クリスマスの歌/羊飼いの娘/クリスマスの歌  1926年2月5日
カタルーニャの歌:跡取り息子のリエラ/腕の良い狩人  1926年2月6日
ゲタリ:私のニーナ  1926年2月5日
ロンガス:さくらんぼ/私の愛する人の肌  1926年2月6日
ポンセ:小さな星  1926年2月6日
フレデリコ・ロンガス(ピアノ)
「エルヴィラ・デ・イダルゴ録音選集」
「1924年 英国 ロンドン COLUMBIA PHONOGRAPH COMPANY社」
ヴァルヴェルデ:カーネーション
ルナ:「ユダヤの少年」~私はスペインから来た
ファリャ:あなたの黒い瞳
チャピ:「セベデオの娘たち」~わたしが愛を捧げたあの人のことを思うたび
リムスキー=コルサコフ:「サトコ」~インドの歌(フランス語)
アリャビエフ:夜鳴き鶯(スペイン語)
管弦楽団 録音:1924年3月20日 英国 ロンドン
「1933年11月27日 ギリシャ アテネ THE GRAMOPHONE COMPANY社」
作者不詳:甘美なジプシー女(ギリシャ語)
セラーノ:忘却の歌(ギリシャ語)
管弦楽団
※1910、20年代に活躍したソプラノ、グラツィエラ・パレート(1889-1973)の全録音集。グラツィエラ・パレートは、本名をエングラシア・エンリケタ・アンジェラ・パレート・イ・オムスというバルセロナ生まれのカタルーニャ人。指揮者トマス・ビーチャムはロンドンで共演したパレートについて回想で「記憶にある限り最も魅力的で満足しうる」と評している。当時の歌手としては極めて異例なことに、パレートは1907年と08年、まだ十代の無名時代にまとまった録音を残している。GRAMOPHONE社が彼女の素晴らしい才能に驚いて青田買いしたようである。1910年代にはヨーロッパ広くと南北米でプリマドンナとして活躍、1920年にロンドンのコヴェントガーデン歌劇場にデビューすると大人気となった。パレートはコロラトゥーラを得意とする軽量級のソプラノで、録音もモーツァルトからドニゼッティ、ベッリーニが中心だが、ヴェルディの「リゴレット」のジルダや「トラヴィアータ」のヴィオレッタのようなドラマティックな要素も求められる役でも高い評価を得た。1918年の両作品の名場面の録音はいずれも見事だ。
余白にはパレートと同世代で同じバルセロナ生まれで、同じくコロラトゥーラを得意としたソプラノ、エルヴィラ・デ・イダルゴの録音が収められている。彼女は今日ではマリア・カラスの師匠として高名だ。引退後アテネで歌唱指導に当たっていたイダルゴは、米国から母の祖国に戻ったカラスに出会い、元々ドラマティックな声の持ち主だったカラスに超高音と切れ味の良いアジリタを授けた。ここに聞けるイダルゴの歌声は、極めて高度な歌唱技術に支えられて、圧倒的な情熱を繰り広げている。たとえカラスを育てあげていなくても、イダルゴは名歌手として記憶されたことだろう。