島田征夫による戦争体験を綴った貴重な絵本と戦後間もない世情を映した詩に気鋭の若手作曲家・大野瑞季が作曲CD化して世に送るプロジェクト

ヴァカンス・ミュジカル(日本)

島田征夫による戦争体験を綴った貴重な絵本と戦後間もない世情を映した詩に
気鋭の若手作曲家・大野瑞季が作曲CD化して世に送るプロジェクト
VM 0008 1,500円(税込)(¥1,364+税)
「ぼくが見た戦争/思い出の中学校」 詩:島田征夫 作曲:大野瑞季
①「ぼくが見た戦争」~朗読とピアノによる~ [15:04]
②「思い出の中学校」~バリトンとピアノによる~ [3:58]
③「思い出の中学校」(伴奏) [3:50]

詩:島田征夫
作曲・ピアノ:大野瑞季
バリトン:堤 智洋
朗読:横森由衣
録音:2023年3月17日 浦安音楽ホールハーモニーホール(ピアノ/スタンウェイ)
ピアノ調律:和田武志/ディレクション:杉浦菜々子
エンジニア:前田巳代三/プロデュース:高久弦太
「ぼくが見た戦争」~1939年、第2次世界大戦開戦の年生まれのぼく。戦争体験の記憶を綴った同名絵本を朗読と音楽によって新に語り直しました。
「思い出の中学校」~戦後の世情を色濃く反映した中学生時代。その思い出をつづった詩を歌曲で聴いてください。
※CDの制作にあたって:島田征夫
この度CD『ぼくが見た戦争/思い出の中学校』を音楽レーベルVacances Musicalesより発売する運びとなり、うれしく思います。私は第二次世界大戦開戦と共に生を受け、1945年の終戦時に6歳でした。その6歳の夏の「私の戦争体験」を綴った絵本『ぼくが見た戦争~1945年夏』を2016年に文芸社より上梓致しましたが、この時にはまさかこの絵本が音楽作品として生まれ変わるとは夢にも思っていませんでした。作曲を手がけてくださった大野瑞季さんは東京藝術大学音楽学部作曲科で作曲を学び、現在多岐にわたって活躍の幅を広げている気鋭の若手作曲家です。大野さんには戦後間もない世情を色濃く反映した私の中学時代の想い出を綴った詞「思い出の中学校」も歌曲として作曲してくださり、今回のアルバムにも収録されています。  私は戦争体験者ですが、戦争の体験を直に知る者として、自らの体験を世代を超えて語り伝える義務を強く感じています。現在も、世界では戦争が絶えませんが、戦争が起きる原因は様々です。戦争の原因は複雑で多様です。一概にいうことはできませんが、実際に戦争が起きた時、国民が実際どのような立場に置かれるのか、ということは案外忘れられがちです。国のトップが戦争を決断したら逆らえない、という場合がほとんどですし、実際、歴史は常に強者の立場で語られてきました。歴史が主に権力者の視点から語られる場合、代表的でないグループの疎外、真実の歪曲、権力構造の強化といった弊害は不可避的に生じます。どのようなイデオロギーに身を委ねようとも、「戦争をしてはならない」という一点においては思いは一つでしょう。このことを強く決意することが大切であることはすべての方が同意してくださることでしょう。 そして、いずれにしても、「あの戦争は何であったのか」という問いに対して、それが戦勝国であれ敗戦国であれ、為政者の立場からだけでその是非が論じられて良いはずがないでしょう。体験は過酷なものであるだけに、忘れられるものであるならば忘れたいという気持ちも当事者にとっての一つの真実ですが、やはり「決して忘れてはならない」という強い思いも不滅の真実です。本アルバムでは、戦争体験の普遍的真実を苛烈なままに伝える(それはどんな芸術を以てしても不可能でしょう)というよりは、幼少期の私自身の想い出として、私自身が体験し得た限りのことをその時代の雰囲気と共にありのままにお伝えすることを意図しました。  「普通が普通でなくなる決定的瞬間」はある日ある時、突然やってきます。この小さな「歴史の証言」が美しい芸術となって皆さまのもとに届きますように。そして「戦争体験の一つの記憶」が世代を越えて皆様の心の中に生き続けますように。