バッハは人種や国籍の壁を越える!バッハとアフリカ系作曲家のピアノ曲を組み合わせた画期的なアルバム第2弾!/他、新譜11タイトル

ALBANYレーベル(アメリカ)

バッハは人種や国籍の壁を越える!
バッハとアフリカ系作曲家のピアノ曲を組み合わせた画期的なアルバム第2弾!
TROY 1910/12(3CD, 2枚価格)
「バッハ・トゥ・ブラック(Bach to Black)Vol.2」
 ~バッハ:パルティータ(全曲)+アフリカ系アメリカ人のピアノ作品集
CD1)
J.S.バッハ(1685-1750):パルティータ第3番イ短調BWV827
ユリシーズ・シンプソン・ケイ(1917-1995):8つのインヴェンション(1946)
J.S.バッハ:パルティータ第4番ニ長調BWV828
ハリー・サッカー・バーリー(1866-1949):「サウスランド」組曲より(1907)
CD2)
J.S.バッハ:パルティータ第2番ハ短調BWV826
フローレンス・ベアトリス・プライス(1887-1953):7つの叙事的小品
J.S.バッハ:パルティータ第5番ト長調BWV829
モンタギュー・リング(1866-1956):「謝肉祭」~5つのダンス組曲(1924)
CD3)
J.S.バッハ:パルティータ第6番ホ短調BWV830
ジョイス・ソロモン・ムーアマン(b.1946):ピアノ組曲(1974)
J.S.バッハ:パルティータ第1番変ロ長調BWV825
ジョージ・テオフィラス・ウォーカー(1922-2018):5つの小品

ロシェル・セネット(ピアノ)
録音:2022年1-2月イリノイ大学クラナート・センター・オブ・パフォーミング・アーツ
[78:45] [69:08] [64:13]
※アフリカ系作曲家のピアノ曲とバッハのイギリス組曲(全6曲)を収録した第1弾(TROY 1869)に続くシリーズ第2弾。ここではバッハの6つのパルティータを主軸にしつつ、その曲間にアフリカ系作曲家のピアノ曲を収録している。
19世紀半ば頃より早くもアフリカ系の人々は白系人種の西洋音楽を学び、作曲を行っていたことに驚かされるが(時代背景を考えると当然のことである)それら作品の完成度には更に驚かされる。彼らはバッハを模範としつつ、自分たちの民族性、出自を模索しつつ創作していたことが分かる。ピアノのロシェル・セネットの清潔で凛としたピアノは大変素晴らしく、バッハ演奏の新しいスタンダードの登場と言っても言い過ぎではない。この人のモーツァルトやベートーヴェンもぜひ聴いてみたいと思わせるアルバム。

※その他ALBANYレーベル新譜
TROY 1913
ミゲル・デル・アギラ(b.1957)管弦楽作品集
①ジャイアント・ギターOp.91
②サロン・ブエノス・アイレスOp.102
③ヴァイオリン協奏曲Op.94
④緊張Op.126
⑤クスコ陥落Op.98

ダーク・メイヤー(指揮)
オーガスタ交響楽団
③ギジェルモ・フィゲロア(Vn)
録音:2020年1月18日、2021年5月23日 [76:45]
※ミゲル・デル・アギラはウルグアイ出身の作曲家で現在はアメリカで活動、グラミー賞にも何回かノミネートされている。非常に多作家で既に130曲以上の作品を発表、作風はラテン・アメリカ出身の作曲家らしく明朗快活、ヴィラ・ロボスやチャベス、レブエルタスあるいはコープランドを思わせ楽しめる。ヴァイオリン協奏曲はラテン情緒あふれる情熱的でねっとり(?)としたメロディがたっぷり歌い込まれた秀作。

TROY 1914
マット・カタルディ:
ショパンによるポピュラー・スタイルの24の前奏曲
(24 Preludes in Popular Style after Chopin)

マット・カタルディ(Pf)
録音:2022年8月 [47:36]
※ショパンの有名な24の前奏曲を20~21世紀のポップ・ミュージックのスタイルでアレンジあるいはリコンポーズしたユーモアあふれるアルバム。スイング調、サンバ風、ヒップホップ、タンゴ、ラグタイム、ボサ・ノバ・スタイルなど多種多様。一種の冗談音楽とも取れるが、良質のBGMとして最適。

TROY 1915
デイヴィッド・デル・トレディチ(b.1937):
①ポップ=プリ
②アドヴェンチャー・アンダーグラウンド

デイヴィッド・アラン・ミラー(指揮)
オールバニー交響楽団
①ヒラ・プリットマン(Sop)、アメリカン・ミュージック・フェスティバル合唱団、ロックバンド
録音:①2019年6月2日、②2018年6月3日 [55:34]
※アメリカのネオ・ロマン主義の作曲家デル・トレディチの最新オーケストラ集。「ポップ=プリ」は彼の出世作となった「不思議の国のアリス」シリーズのひとつで独唱、合唱、語りとオーケストラのためのカンタータ。「アドヴェンチャー・アンダーグラウンド」は18世紀のイギリスの賛美歌作家アイザック・ウォッツの詩に基づくオーケストラ作品。いずれもデル・トレディチらしい、明快な調性と様々なスタイルが折衷したユーモア溢れる不可思議な世界が拡がる秀作。

TROY 1916
ラリー・ベル(b.1952)の音楽
①エレジー第3番《K.E.Oの追憶に》
②ハルシオンの歌
③9つの変奏曲
④ニュータウン変奏曲
⑤「祈祷」第1集
⑥フィクルディの日曜日
⑦ウクライナからの手紙

①④⑤⑥⑦ラリー・ベル(Pf)
②⑥ジェニファー・レイチェル・ウェッブ(MS)
③デボラ・ネムコ(Pf)
④⑥デイヴィッド・ウォーレス(Va)
録音:2021年9月2日、2022年1月6日、2022年6月6日 [61:48]
※ラリー・ベルはパーシケッティ、ロジャー・セッションズらに学んだアメリカの作曲家。このディスクにはピアノ曲と歌曲が収録されており、いずれも調性に基づく新ロマン主義とも新古典主義ともとれる穏健な作風。作曲者みずから卓越したピアノを披露している。

TROY 1917/18(2CD)
ラリー・ベル(b.1952):24の前奏曲とフーガOp.156
CD1) 第1番-第12番
CD2) 第13-第24番

第1-6番:カーメン・ロドリゲス=ペラルタ(Pf)
第7-12番:マヤ・トレミゼフスカ(Pf)
第13-18番:ジェニファー・エロウスキー=フォックス(Pf)
第19-24番:ジョン・マクドナルド(Pf)
録音:2022年6月9-10日、[58:14] [60:00]
※上述の作曲家ラリー・ベルのピアノのための24の前奏曲とフーガ全曲。前奏曲とフーガを作曲した作曲家は数多くいるが、24の調全てのために作曲したJ.S.バッハの偉業に挑戦した作曲家はこれまでショスタコーヴィチと日本の原博(1933-2002)くらいである。しかしここに新たな24の前奏曲とフーガが加わった。ラリー・ベルはもともと調性に基づく穏健な作風の作曲家であるらしいため、概ね伝統的なフーガの様式を踏襲しているが、より自由度の高い前奏曲ではアメリカ人作曲家らしくジャズ、ポップスの要素も取り入れている。

TROY 1919
「合流」~アンシア・サクソフォン四重奏団
アストル・ピアソラ(ジャック・シャレッツ編):タンゴ組曲
リビー・ラーセン:合流
クリス・ルトコフスキ:ダルビッシュ(修道士)
レイモン・リッカー:3つのジャズ・セット
ジェリー・ドージョン:サンキュー

アンシア・サクソフォン四重奏団:
【マシュー・シンチャク(Sop.Sax)
 ジョン・ハットン(Alt.Sax)
 デイヴィッド・ミルン(Ten.Sax)
 アンジャラ・ワイアット(Bar.Sax)】
録音:2016年6月13-16日 [69:07]
※ピアソラのタンゴ組曲をメインにアメリカの若手、中堅世代の作曲家によるサックス四重奏のための作品集。ジャズ、ロック、ポップスの要素を程よく取り入れたノリのよい都会的なセンスを持った洗練された作品揃い。

TROY 1920
ロベルト・ハビエル・ロドリゲス(b.1946):
①ハーレクインの虹
②ダブル・ベースのロマンス

①レイチェル・キャロウェイ(M.Sop)
 アマーネット四重奏団(弦楽四重奏)
②ダニエル・ニックス(CB)
 ミハイル・ベレストネフ(Pf)
 メアリー=マーガレット・パイアット(語り)
[56:00]
※ロベルト・ザビエル・ロドリゲスの音楽はレナード・スラットキン、エドゥアルド・マータらによって盛んに演奏されている。彼はサン・アントニオ響、ダラス響のレジデント・コンポーザーを務めたこともあり、アメリカ国内では確固とした地位を築いている作曲家。ここに収められた「ハーレクインの虹」はシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」に影響を受けて書かれたと作曲者は述べているが、いわゆるシュプレッヒシュティンメと言われる語り歌いはここでは採用されておらず、表現主義的というよりは弦楽四重奏と伴奏とした抒情的な歌曲集といった趣きの作品に仕上がって入る。

TROY 1921
①オーリン・ハンナム(b.1985):《傘の海》(2019)⋆
②デイヴィッド・マスランカ(1943-2017):交響曲第4番(1994)
⋆世界初録音

エリック・レオン(指揮)
オレゴン州立大学ウィンド・アンサンブル
[36:57]
※オレゴン州立大学ウィンド・アンサンブルはイーストマン・ウィンド・アンサンブルやノース・テキサス・ウィンド・シンフォニー、イリノイ大学シンフォニック・バンドと並ぶアメリカの吹奏楽団の名門で同大学の学生、OB、OG、教師から構成されている。
ハンナムはホルン奏者でもあり、若手ながら管楽器の機能を熟知したダイナミックな作風で聴きごたえ充分。吹奏楽界の巨匠マスランカの円熟期の交響曲第4番もオレゴン州立大学ウィンド・アンサンブルの可能性をフルに発揮した快演。

TROY 1922
「登山」~トロンボーン・アンサンブル作品集
①アンドリュー・マーケル(b.1994):夢の行為(2021)
②クリストファー・エヴァン・ハス(b.1933):復活(2021)
③ジーナ・ジリー(b.1981):登山(2020)
④ゲリー・クレシャ(b.1954):4つのモーション・スタディ(2021)~5つのトロンボーンのための
⑤クリストファー・シャープ(b.1989):アパラチア幻想曲
⑥デイヴィッド・F・ウィルボーン(b.1961):津波(2021)

ジェレミー・マークス(芸術監督)
カロライナ・トロンボーン・アンサンブル
録音:2022年5月23-26日第1長老派教会コンコード [63:56]
※テナー、バス・トロンボーンによる四重奏によるトロンボーン・アンサンブルのための作品集。いずれもアメリカの若手からベテランまで世代も様々な作曲家による。カロライナ・トロンボーン・アンサンブルはいずれもノース・カロライナ、サウス・カロライナ大学の出身者で現在はそれぞれアメリカの主要オーケストラで首席を務めている名手たちで構成されている。トロンボーン関係者、教育者は必聴。

TROY 1924
「ストリング・コスモロジー」
~弦楽オーケストラ作品集
①カレル・フサ(1921-2016):弦楽のためのディヴェルティメント
②スティーヴン・スタッキー(1949-2016):コルバーン変奏曲
③サミュエル・コールリッジ=テイラー(1875-1912):ノヴェレッテ ハ長調Op.52-No.2
④エルガー(1857-1934):弦楽のためのセレナードOp.20
⑤ブルックナー(1824-1896):弦楽五重奏曲へ長調よりアダージョ(マーク・マンダラーノ編弦楽合奏版)

マーク・マンダラーノ(指揮)
シンフォニエッタ・オブ・リヴァーデール
録音:②2014年、⑤2015年、①2016年、③④2021年、ウェイヴ・ホール、ブロンクス・ニューヨーク [63:48]
※チェコ出身で後にアメリカで活躍したカレル・フサの新古典主義と表現主義を融合したかのような弦楽のためのディヴェルティメントに始まり、アフリカ系の作曲家として初めて成功したコールリッジ=テイラーのエルガーを思わせる優雅で美しいメロディを持つノヴェレッテ、そしてエルガーのセレナードを経てブルックナーの弦楽五重奏曲の弦楽合奏版(第3楽章のみ)まで、いずれもあまり普段知演奏される機会のない、しかし弦楽オーケストラの知られざる名曲を収めた貴重な一枚。