SOUPIR EDITONSレーベル(フランス)
フランスの偉大なヴァイオリニストジャン=ジャック・カントロフが弾く室内楽と協奏曲!
S 250(2CD)
「フランスのヴァイオリン・ソナタ集」
グロヴレズ(1879-1944):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 Op.108
ジェダルジュ(1856-1926):ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 Op.19
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ イ短調
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ヘ短調 Op.6
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 Op.25
ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
録音:
2019年3月18-19日 フランス イル=ド=フランス地域圏 オルヴィリエ
2004年10月15,16日 日本 横浜(エネスコ)
※フランスの偉大なヴァイオリニスト、ジャン=ジャック・カントロフの弾くフランス近代のヴァイオリン・ソナタほか。カントロフは録音時73歳だが音色の瑞々しさは驚くべきもの。フォーレやラヴェルが素晴らしいのはもちろんだが、録音のほとんどないガブリエル・グロヴレズ(1879-1944)とアンドレ・ジュダルジュ(1856-1926)のヴァイオリン・ソナタがカントロフのヴァイオリンで聞けるのは非常にありがたい。ピアノの上田晴子は、東京藝術大学大学院を修了した後、フランスに渡り、1986年にはロン=ティボー国際コンクールに入賞している。現在はパリ国立高等音楽院室内楽科教授、ピアノ科准教授を務めている。カントロフとの共演も多く、息のピタリとあった、そしてフランスの芳香豊かなピアノを奏でている。
S 256
「アルフレード・ダンブロージョ:ヴァイオリン作品集」
ダンブロージョ(1871-1914):
①ヴァイオリン協奏曲第1番 ロ短調 Op.29
②ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 Op.51
③カンツォネッタ ト長調 Op.28
④ロマンス ニ長調 Op.9
⑤導入とユモレスク イ短調 Op.25
⑥セレナード ニ長調 Op.4
⑦カンツォネッタ ト短調 Op.6
ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
①②アリー・ファン・ベーク(指揮)オー・デ・フランス地域圏ドゥエー管弦楽団
③-⑦上田晴子(ピアノ)
録音:2021年10月22,24日,2022年7月27日 フランス オー・デ・フランス地域圏 ドゥエー、70’51
※偉大なヴァイオリニスト、ジャン=ジャック・カントロフが、今日ではすっかり忘れ去られてしまったイタリアのヴァイオリニスト、作曲家、アルフレード・ダンブロージョ(1871-1914)のヴァイオリン協奏曲2曲と小品を録音。ダンブロージョはナポリの生まれ。生地で学んだ後、1889年から90年にマドリードでパブロ・デ・サラサーテに、1891年から92年にロンドンでアウグスト・ヴィルヘルミに学んだ。その後はパリやニースを拠点にして、演奏、作曲、教育と活躍した。43歳で亡くなってしまったため本人の録音はごく僅かで、そして作品も忘れ去られてしまった。
大演奏家が埋もれた作曲家の作品を取り上げる時は意気込みが強いのが常。ここでもカントロフは特に協奏曲では力の入っており、後期ロマン派的充実感をしっかり聞かせてくれる。オランダの指揮者、アリー・ファン・ベークにも熱が入り、2曲の協奏曲は手本にして至高の演奏である。一方、上田晴子の伴奏で弾く小品はかつてのサロンでの愉悦を蘇らせた素敵なものばかり。この1枚でダンブロージョの概要は掴めるだろう。埋もれた素晴らしい芸術を蘇らせたカントロフの偉業だ。
※その他SOUPIR EDITIONSレーベル新譜
S 251(ジャズ)
「Song for」
プロローグ:始まりの合唱/あなたは今それを感じるべきだ/
星の少年/祖先を忘れてはいけない/
ガーシュイン:エンブレイサブル・ユー/サン・ラファエルその1/
デイビス:マイルストーンズ(オールド)/アンナのための歌/
アーンハイム,ダニエルズ,トビアス:スウィート・アンド・ラヴリー/
ヒップ!/サン・ラファエルその2/エピローグ:終わりの合唱
ノエ・ユシャール(ピアノ)
クレマン・ダルドソ(コントラバス)
エリー・マルタン=シャリエル(ドラム)
録音:2019年3月オー=ド=セーヌ県 マラコフ、59’21
※「ソング・フォー Song for」と題された、フランスの若いジャズ・ピアニスト、ノエ・ユシャールを中心としたジャズ・トリオの演奏。ノエ・ユシャールは1999年、パリ近郊の生まれ。3歳でピアノの練習を始めた時はクラシックを学んでいたが、10代の時にジャズに傾倒。パリ国立高等音楽・舞踊学校でジャズを専攻し、在学中からフランス内外で活躍している。
S 252
「ノアンのショパン」
ショパン:
夜想曲 ロ長調 Op.62-1/子守歌 変ニ長調 Op.57/
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60/夜想曲 変ホ長調 Op.55-2/
バラード ヘ短調 Op.52/幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61/
ワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2/前奏曲 嬰ハ短調 Op.45/
ワルツ 変ニ長調 Op.64-1 「小犬のワルツ」/
夜想曲 ハ短調 Op.48-1
イヴ・アンリ(ピアノ 1839年製プレイエル)
録音:2019年7月15,16日 フランス サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏 ノアン
※フランスのど真ん中に位置するノアンは、作家ジョルジュ・サンドが子供時代から過ごした館があることから、彼女の恋人になったショパンも度々滞在し、いくつも作品を書いた。このCDにはノアンに縁のあるショパンの曲を集めている。さらにショパンの時代の1839年製のプレイエルのピリオドのピアノ(いわゆるフォルテピアノ))を使用。ショパンのピアノ曲は長いこと大ホールでグランドピアノを轟かせる演奏が普通になっているが、本来はサロンのような小規模の空間で当時の楽器で繊細に奏でられるものであることが、このCDから痛感させられる。
イヴ・アンリは1959年生まれのフランスのピアニスト。彼は既に「フレデリック・ショパン ノアンで過ごした年 1839-1846」(S 243 4CD)というショパンのノアンでの活動の集大成といったアルバムを発売しており、また1937年製プレイエルを用いてマズルカ全集(S 249 3CD)や、1848年2月16日のショパンのパリでの最後の演奏会を再現したCD(S 226 2CD)など意欲的なCDをSOUPIR EDITIONSからいくつも発表している。このCDはアンリのこうしたショパンへの取り組みの結実であり、単に時代楽器を用いたという以上の強い説得力と感動が得られるだろう。
S 254
「チェンバロによるモーツァルト作品集」
ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調 K.279/
「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲(キラキラ星変奏曲) ハ長調 K.265/
ピアノ・ソナタ第18番 ヘ長調 K.533, K.494/組曲 ハ短調 K.399/
「リゾンは森で眠っていた」の主題による9つの変奏曲 ハ長調 K.264
コンスタンス・タイヤール(チェンバロ)
録音:2021年6月10,11,12日 フランス イル=ド=フランス地域圏 オルヴィリエ
※フランスのチェンバロ奏者、コンスタンス・タイヤールによるモーツァルト集。モーツァルトの生きた時代は鍵盤楽器の主流がチェンバロから初期のピアノ(いわゆるフォルテピアノ)に移行する頃で、モーツァルトは早くからピアノに可能性を見出して飛び付いたのだが、とはいえ当時はまだまだチェンバロは優勢だったので、モーツァルトの鍵盤作品をチェンバロで演奏することには意義がある。ここでのタイヤールの演奏はチェンバロ演奏によるモーツァルトの可能性を存分に引き出したものだ。20歳前後の作品であるピアノ・ソナタ第1番とキラキラ星変奏曲、9つの変奏曲にはまだチェンバロ的手法があちこちに残っていることがタイヤールによる演奏ではっきりと聞いてとれる。特にモダンピアノでは可愛らしい曲になりがちなキラキラ星変奏曲が素晴らしく華やかに響き渡るのは驚くべき発見だ。ウィーン時代のソナタと組曲もモダンピアノともフォルテピアノとも異なった煌びやかな美しさにうっとりさせられる。
タイヤールはフランス最東部のアルザス地方の出身。パリ音楽院で学んだ後、主としてバロック音楽の独奏また通奏低音に活躍している。1735年、ゴットフリート・ジルバーマン製作のチェンバロに基づいた、1995年、フレデリック・バルとアンソニー・サイディ製作のコピーを使用。
S 257
モンポウ:ひそやかな音楽(全曲)
ひそやかな音楽第1巻(全9曲)
ひそやかな音楽第2巻(全7曲)
ひそやかな音楽第3巻(全5曲)
ひそやかな音楽第4巻(全7曲)
テレーズ・マラングロー(ピアノ)
録音:2020年2月24-25日 フランス パリ
※ここ十数年で人気が急上昇し録音も多々出ているモンポウの「ひそやかな音楽」、その全曲にまた素晴らしい新録音が加わった。フェデリコ・モンポウ(1893―1987)はスペインと言ってもカタルーニャの作曲家。近代フランス音楽の影響を受けつつも、内省的で繊細な、そして時には小節線をとっぱらった自由な音楽を書いた。プーランクに絶賛された歌曲集「夢の戦い」が代表作だが、10年以上かけて少しずつ書き進められたこの「ひそやかな音楽」もモンポウの傑作である。テレーズ・マラングローはベルギーのピアニスト。モンポウ独特の音楽に深い共感を持った、静かで深みのある音楽を紡いでいる。
S 259
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第17番 ニ長調 Op.53 D850
イラクリ・アヴァリアーニ(ピアノ)
録音:2022年6月13-15日,7月1日、46’21
※ジョージア出身のベテランのピアニスト、イラクリ・アヴァリアーニの弾くシューベルトのピアノ・ソナタ第17番。イラクリ・アヴァリアーニは1950年、ジョージアのトビリシの生まれ。ソヴィエトのモスクワ音楽院で学んだ後、ソヴィエトでは不遇だったようで、一時故郷に戻っている。ベルリンの壁が崩壊した1989年にパリに移り、以来ここを拠点に活動している。晩年のシューベルトにありがちなゆったりした演奏ではなく、硬質な響きでカッチリまとめ上げる演奏。ファツィオーリのピアノを使用している。