「アリス」シリーズでお馴染み!デル・トレディチ(b.1937):ピアノ作品集第2弾3枚組!/他、新譜9タイトル

ALBANYレーベル(アメリカ)

「アリス」シリーズでお馴染み!デル・トレディチ(b.1937):ピアノ作品集第2弾3枚組!
TROY 1928(3CD)
「メニー・ハンズ」
~デイヴィッド・デル・トレディチ(b.1937):ピアノ作品集Vol.2~4
CD1)
カリオカの少年=タンゴ(2004)⋆/3つのジムノペディ(2003)/独り言(1958)/マンダンゴ(2008)
CD2)
メニー・ハンズ(2008)/音楽への頌歌(2015)/ウェディング・ソング(2001)/
相反するものは惹きあう(1996)/ワイルド・ウッド・エチュード(1996)/
大切な名前によるファンタジー(2010)
CD3)
後半戦(2012)/幻想的小品集(1959-60)/レイのバースデイ組曲(2008)

マーク・ポロキン(Pf)
デイヴィッド・デル・トレディチ(Pf)⋆
録音:
2014年4月10-12日ニューヨーク、アメリカン・アカデミー・オブ・アーツ
2019年6月28-30日/2019年8月12-13日コネチカット、ウェスタン・コネチカット・ステイト大学
[71:26]/[69:53]/[67:30]
※童話「不思議の国のアリス」にインスパイアされた一連の作品で不動の地位を築いたデル・トレディチのピアノ作品集第2弾。彼は明確な調性とロマン的な情緒、様々な音楽スタイルを折衷したネオ・ロマン主義の作曲家として知られている。ここに収録された作品もおおよそ調性に基づいたロマンティックもしくはポピュラー音楽の要素を取り入れた親しみ易い作品だが、初期の作品(独り言など)は無調で書かれている。トレディチは初期に無調、セリエリズムで作曲していたが、ある時期から明確な調性とロマン主義的姿勢を取るようになった。収められた作品の作曲年代は多岐に渡るため、彼の作風と思考の変遷を辿る事ができ、その点でも興味深い。

※その他、ALBANYレーベル新譜
TROY 1923
「リメンバー」~喪失と慰めの音楽
ジョージ・チャドウィック:聖なる死への挨拶
ジョージ・ホワイティング:ミサ へ短調~ベネディクトゥス
チャールズ・マーティン・ローフラー:戦死者のために
マリアン・バウアー:死はその優しい翼を枯らす
エディス・ラング:「汝の声を聞く」「神よ、汝の助けあらんことを」
ダドリー・バック:「ドン・ムニオの伝説/レクイエム・エテルナム」
J.C.D.パーカー:「聖ヨハネ、そして彼らは君臨するであろう」「バビロンの水辺のほとりで」

デイヴィッド・P.デヴェニー(指揮)
ウェスト・チェスター大学コンサート合唱団
アーロン・ハンガーフォード(Pf)
ジョナサン・クリーマー(Pf)
シャンドール・カダール(Org、Pf)
リチャード・アモローソ(Vc)、ほか
録音:2019-2022年ウェスト・チェスター大学ウィング・アドラー劇場 [48:12]
※副題に「喪失と慰め」あるように神に救済と慰めを求める混声合唱のための宗教曲が収められている。作曲家たちの生年は記載されていないが、いずれも20~21世紀のアメリカの作曲家と思われる。無伴奏、ピアノ伴奏、曲によってはチェロが入るなど、ヴァラエティのある構成となっている。いずれの曲も調性で書かれた穏やかで親しみ易い作風。

TROY 1925
ジャスティン・ヘルマン(b.1980):
弦楽四重奏曲第1番「ゲルガナ四重奏曲」
弦楽四重奏曲第2番「コロラド四重奏曲」

フリクション四重奏団
録音:2022年4月16、17日カリフォルニア・ニカシーソ、スカイ・ウォーカーサウンド [57:17]
※ジャスティン・ヘルマンはシカゴ出身で当初、コントラバスを学び、サン・フランシスコ響の奏者として活動。後にソロ活動そして作曲を手掛けるようになり、ジャズの世界でも活躍している。このアルバムは彼の弦楽四重奏曲が収められているが、いわゆる現代音楽ではなく、明確な調性による古典派からロマン派の様式で書かれた穏健な音楽。時にシューマンやブラームスを思い起こさせる。

TROY 1926
ヤクブ・ポラチク(b.1983)作品集
①オリンパスのコンビネーションズ(2007)~トロンボーンのための
②《Ginkyo-ya”Pendula”》(2021)~弦楽四重奏のための
③オジベウェイ(2019)~フルート、アコーディオンとピアノのための
④3つの地球の詩(2020)~バスとピアノのための
⑤マズルカ・ファンタジー(2018)~ピアノのための
⑥ハルニー・ファンタジー(2019)~クラリネットのための
⑦道化師(2011)~フルート(ピッコロ)とピアノのための
⑧夕暮れのユニオン・スクエア(2017)~打楽器アンサンブルのための
⑨「Yoolcoo-Yoolcu-Yoolcou」(2022)~フルートとハープのための

パヴェウ・チエスラク(Trb)
アーガス四重奏団(S.Q)
レナータ・グジク(Fl)
パヴェウ・クビカ(Pf)
マチェイ・ジムカ(Accord)
コフィ・ヘイフォード(Bass)
ヤクブ・ポラチク(Pf)
ブロウ・アップ・パーカッション・ローマ
ほか
録音:2021年5月-2022年9月ニューヨーク、クラクフ、ワルシャワ [76:41]
※ヤクブ・ポラチクはポーランドの作曲家。ペンデレツキ音楽アカデミーを卒業後、アメリカに渡り、カーネギー・メロン大学ほかで研鑽を積んだ。現在はニューヨークを拠点に活動している。作風はクラシカルなもの(3つの地球の詩など)からヘンリー・カウエルやジョン・ケージを思わせる実験的なもの(夕暮れのユニオン・スクエアなど)まで、大変多様である。ピアノのための「マズルカ・ファンタジー」では母国ポーランドの伝統への愛と敬意が感じられる。

TROY 1927(Blu-ray)
ジャオジャオ・ジョー(周佼佼):歌劇「Ms.バタフライ」

シャウウェン・ティン(指揮)、ウー・ダンシア(エレクトーン)、
マ・インイン(エレクトーン)、ジン・タオ(Perc)、
レベッカ・モリツキ(エレクトリックHrp)、デレック・サンプマン(エレクトリックVc)、
ジュリアン・オルソン(Sop)、パング・ケドゥム(Ten)、
ダンサーズ・ワンダーバウンド(ダンス)、他
収録:デニス・ロウ・センター・オブ・アーツ・アンド・テクノロジー
※プッチーニの有名な歌劇「蝶々夫人」からインスパイアされたシアター・ピース。Msとは30年ほど前から提唱されたMissやMadam、Mrsに変わる女性への敬称。プッチーニの「蝶々夫人」の人物関係、結末がここでは逆転されており、西洋社会に赴任した東洋人の男が西洋の女性に恋をし、最後はハッピー・エンドとなる内容。

TROY 1929
「ファンタジーとラプソディ」
C.P.E.バッハ(1714-1788):
 ファンタジア 変ロ長調Wq.61:3,H.289
 ファンタジア ハ長調Wq.61:6,H291
ジョン・マッケイブ(1939-2015):リストの主題によるファンタジー
シューベルト(1797-1828):幻想曲ハ長調「グラーツ」D605A
エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877-1960):4つのラプソディOp.11

ジェフリー・デュース(ピアノ)
録音:2022年7月19-22日イリノイ大学クラナート・センター・フォー・ザ・パフォーミング・センター[65:19] ※C.P.E.バッハからシューベルト、ドホナーニそしてアメリカの現代作曲家マッケイブまで彼らのファンタジアとラプソディを題されたピアノ曲を収めた一枚。ファンタジーもラプソディも形式に制約のない自由な楽曲で、そういう意味でいずれも自由奔放な曲である。C.P.E.バッハの作品は父、大バッハとはかなり異なる作風で後期バロック時代から古典派へと変わりつつあることを感じさせる。ドホナーニのラプソディは作曲者の母国ハンガリーの民族性とロマン派のヴィルトゥオジティが融合した華麗な作品。

TROY 1930
「ザ・リヴィング・アメリカン」
 ~現代アメリカのヴァイオリン音楽
スティーヴン・サメッツ(b.1954):ラマ・バッダ・ヤタサナによるファンタジア
ジェニファー・ヒグドン(b.1962):ストリング・ポエティック
ジェシー・モンゴメリー(b.1981):無伴奏ヴァイオリンのためのラプソディ第2番
ジョセフ・グッドリッチ(b.1969):ハ短調のジャム/ラクリモサ/マシーン
アヴナー・ドーマン(b.1975):ヴァイオリン・ソナタ第1番
リーナ・エスメイル(b.1983):ダーシャン
デニス・ディブラシオ(b.1954):オーストラリアのスケッチ~ヴァイオリン、ピアノ、ダブル・ベースとドラムのための

ティモシー・シュウォーツ(Vn)
チャールズ・アブラモヴィク(Pf)
ダグラス・マップ(Db)
ダグ・ハーリンガー(ドラムス)
録音:2022年8-10月デラウェア大学 [70:17]
※アメリカの世代も作風も様々な作曲家のヴァイオリン作品を収録。バルトークやブロッホを思わせる民族的な作品(ラマ・バッダ・ヤタサナによるファンタジア)からジャズ(オーストラリアのスケッチ)を思わせる作品までヴァラエティに富んでいる。いずれも現代音楽臭は皆無で親しみ易い内容。

TROY 1931
スティーヴン・ガーバー(b.1948):弦楽四重奏作品集
 弦楽四重奏曲第1番
 弦楽四重奏曲第2番
 弦楽四重奏曲第3番
 「スピリチュアルズ」

アマーネット弦楽四重奏団
録音:2021年12月13日 [71:59]
※スティーヴン・ガーバーの弦楽四重奏曲集第2弾(第1集は弦楽四重奏曲第4~6番 他、品番:TROY1570)。
ガーバーはプリンストン大学、ハーバード・カレッジで学び、作品はウラディミール・アシュケナージ指揮のサン・フランシスコ交響楽団で演奏されるなど、アメリカ国内を中心に広く演奏されている。彼の作風は無調、12音技法が中心で弦楽四重奏曲第1番ではウェーベルン、第2、3番ではベルクの影響が感じられる。「スピリチュアルズ」は10曲からなる小品集で、ここでは一転、黒人霊歌のアメージング・グレイスや民謡などをモティーフにした親しみやすい作風に転じている。

TROY 1933
ジョセフ・サマー:
《海は変わるI》~弦楽四重奏のための
《海は変わるII》~弦楽四重奏のための

ユリシーズ四重奏団
録音:2020年7月15-16日[72:01]
※作曲者のジョセフ・サマーの生年は公表されていないが、ブックレットに掲載された写真からベテラン世代と思われる。なお、作品の標題「海は変わる」(原題:Sea change)には大きな変化、という、もうひとつの意味が含まれている。2つの弦楽四重奏の作風は表現主義からバルトークの後期弦楽四重奏曲に似た、表出力の激しい無調様式で書かれている。ユリシーズ四重奏団の渾身の演奏で聴きごたえ充分。