BMOPサウンド・レーベル(アメリカ)
BMOPサウンド・レーベル取り扱い再開!
エリオット・カーター、ジョン・アダムズ、バーバー、ピストン他
アメリカ音楽ファン注目のラインナップ!
※諸事情により取り扱いが中断しておりましたBMOPサウンド・レーベルですが、この度取り扱い再開することとなりました!新譜15タイトル一挙ご紹介!20世紀以降のアメリカ音楽ファンには見逃せないラインナップです。
BMOP 1077(SACDハイブリッド)
エリオット・カーター(1908-2012):バレエ音楽集
①「ポカホンタス」(1939)
②「ミノタウロス」(1947)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:①2019年5月10日、②2020年1月11日、[65:57]
※アメリカ東海岸の硬派現代音楽作曲家の代表格エリオット・カーターは103歳の長寿を全うし最期の時まで作曲していたという化け物だが、その長寿のゆえ生涯のうちでいくつか大きく作風を変えた。ここに収められた作曲者30代に作曲された2つの作品は彼が書いた数少ないバレエ音楽で、この時代は新古典主義的な作風をとっていた(セリー音楽を書き始めるのは1960年代、作曲者50歳を過ぎてからである)。ディズニー映画にもなった「ポカホンタス」は北米先住民の実在した女性の物語でアメリカのフォルクロアな題材のせいかコープランドを思わせる音楽。ミノタウロスはギリシャ神話に登場する牛頭人身の怪物の物語。映画音楽を思わせる巧みな描写力に溢れた佳品である。
BMOP 1078(SACDハイブリッド)
ジョン・アダムズ(b.1947):
①室内交響曲(1992)
②コモン・トーンズ・イン・シンプル・タイム(1979)
③室内交響曲の息子(2007)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:①③2014年8月15日、②2015年5月10日、[66:35]
※ポスト・ミニマルの代表的作曲家ジョン・アダムズの新旧作品を収録。室内交響曲はシェーンベルクの同名の作品の第1番をアニメ映画のサントラ風に翻案したらどうなるか、という発想で書かれた曲。複雑なポリフォニー(無調、多調、調性が折衷されている)で書かれながらポップでコミカルな楽想が楽しい。コモン・トーンズ・イン・シンプル・タイム(単純な時間のなかの共通音)は作曲者前期の作品でより純粋なミニマリズムで書かれており、輝かしい管弦楽法による協和音の持続が心地よい。「室内交響曲の息子」は前出「室内交響曲」の続編。ポップでコミカル、ジャンキーなサウンドに溢れているのは前作と同じだが、リズム、ハーモニー、対位法はより複雑化している。作曲者の鮮やかな管弦楽法と機知が楽しい秀作。
BMOP 1079(SACDハイブリッド)
サミュエル・バーバー(1910-1981):
①「ノックスヴィル:1915年の夏」(1947)
②バレエ「メデア」(1947)
③「ブリッジ遊び」(1959)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
①クリステン・ワトソン(S)
③アンジェラ・グーチ(S)、クリスタ・リヴァー(MS)
マシュー・ディバッティスタ(T)
デイヴィッド・クラヴィッツ(Br)
録音:①2009年8月29日、②2015年7月16日、③2017年7月19日、[52:50]
※バーバーの代表作で英語の詩による名歌曲「ノックスヴィル:1915年の夏」とバレエ音楽「メデア」の全曲版を収録。1959年に書かれた「ブリッジ遊び」はバーバーの盟友カルロ・メノッティの台本によるショート・オペラでトランプ・ゲームをめぐる男女の駆け引き描いたお洒落な作品。いずれもバーバーの音楽の抒情性がよく出ている内容。20世紀アメリカのロマン主義作曲家バーバー面目躍如の作品集。
BMOP 1080(SACDハイブリッド)
ウォルター・ピストン(1894-1976):
①エドワード・バーリンガム・ヒルの主題による変奏曲(1963)⋆
②9楽器のためのディヴェルティメント(1946)
③クラリネット協奏曲(1967)
④管弦楽のための協奏曲(1933)⋆
⋆世界初録音
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:①2015年6月30日、②2014年8月11日、③④2019年3月6日 [49:41]
※ピストンは20世紀前半から戦後にかけてのアメリカを代表するアカデミックな作曲家。名教師としてバーンスタインからエリオット・カーター、ジョン・ハービソン、ルロイ・アンダーソンまで数多くの弟子を育てた。このディスクは世界初録音を含む貴重な作品集。エドワード・バーリンガム・ヒルの主題による変奏曲はピストンの師匠の主題を使ったものでショスタコーヴィチを思わせる。管弦楽のための協奏曲はバルトークの同名作品に及ばないながら、それよりも作曲が10年早いこと(コダーイの同名作品と比べても6年早い)、バロック様式を換骨奪胎したような新古典主義的な作品であること、音の扱い方にバルトーク的な要素があることを鑑みると、なかなか興味深い作品である。
BMOP 1081(SACDハイブリッド2枚組)
アーノルド・ロズナー(1945-2013):歌劇「9日間の記録:王女ジェーンの悲劇」Op.81(1984)
台本:フローレンス・スティーヴンソン
*世界初録音
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
オデッセイ・オペラ
メーガン・パチェカーノ(S)、ジェームズ・デムラー(Br)
デイヴィッド・ソールズベリー・フライ(B)
クリスタ・リヴァー(MS)、エリック・キャリー(T)ほか
録音:2020年2月3-4日マサチューセッツ CD1:[81:36] CD2[49:42]
※アーノルド・ロズナーはニューヨーク出身でこれまでに8つの交響曲、6つの弦楽四重奏曲、多数の管弦楽曲、協奏曲、歌曲、室内楽を作曲している多作家。このオペラは実在の悲劇の女王ジェーン・グレイ(ca1537-1554)を主人公としたもの。ジェーンは10代で王位に就いたが貴族王族間の権力争いに巻き込まれ、王位にいたのはたった9日間。彼女の味方だった貴族たちは次々と処刑され最後は彼女も処刑されてしまった。オペラはその9日間の様子を描いている。フローレンス・スティーヴンソンの同名の小説を原作にし、音楽はヴォーン・ウィリムスを思わせる近代イギリス音楽風のスタイルで書かれている。
BMOP 1082(SACDハイブリッド)
トッド・マコーヴァー(b.1953):室内オペラ「死と権力」(2010)
台本:ロバート・ピンスキー
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
ジェームズ・マッダレーナ(Br)、ジョエル・ハーヴェイ(S)
パトリシア・リスレイ(M.S)、ハル・キャザレット(T) ほか
録音:2011年9月16-19日 [86:25]
※トッド・マコーヴァーはジュリアード音楽院でエリオット・カーター、ロジャー・セッションズに師事した後、パリのIRCAMでディレクターを務め電子音響の研究と制作に励んだ。「死と権力」はアメリカの詩人ロバート・ピンスキーの原作による室内オペラ。電子音楽を学んだ作曲家だけあって、室内オーケストラとサンプリング、声のリアル・タイムでのコンピュータ変調、シンセサイザーを駆使しており、キッチュでポップなサウンドがSF的、近未来的な世界を作り出す。
BMOP 1083(SACDハイブリッド)
ジョン・ハービソン(b.1938):管弦楽曲集
①ディオティマ(1976)
②ミロシュ歌曲集~ソプラノと管弦楽のための(2006)
③交響曲第6番(2011)
ギル・ローズ(指揮)ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
②③ドーン・アップショウ(Sop)
録音:2017年10月29日、2019年4月7日ボストン ジョーダン・ホール [75:22]
※ジョン・ハービソンはアメリカ東海岸を代表する作曲家の一人。多作家で3つのオペラ、6つの交響曲、12の協奏曲ほかこれまでに約300曲を作曲している。ハーバードとプリンストン大学でロジャー・セッションズとウォルター・ピストンに学び、作品はピューリッツァー賞を受賞している。こうした経歴からも想像される通り、彼の作風は12音技法、無調の様式を踏襲しながら、ヨーロッパの伝統的な様式にしたがった堅実な新古典主義といえるだろう。いずれも重厚な形式、管弦楽の機能を活かした聴きごたえのあるものだが、特にドーン・アップショウが参加した「ミロシュ歌曲集」が聴きもの。彼女の伸びやかな美しい歌声は今も健在である。第6交響曲の第1楽章にもアップショウが登場します。
BMOP 1084(SACDハイブリッド2枚組)
マシュー・オーコイン(b.1990):
CD1)
①「トニーのためのエクソドス」(2015/21)
~テノールと管弦楽のための
②ピアノ協奏曲(2016)
③オルフィック・モーメント(2014)
~カウンター・テナーと管弦楽のための
CD2)
④イッツ・オウン・アコード(2016)
⑤デュアル(2015)
⑥この地球(2015)
⑦ギャラップ(2021)
①-③ギル・ローズ(指揮)ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
①ポール・アップルビー(Ten)
②コナー・ハニック(Pf)
③⑥⑦アンソニー・ロス・コンスタンツォ(CT)
③④キール・ゴグウィルト(Vn)
④⑥⑦マシュー・オーコイン(④⑥Pf、⑦指揮)
⑤⑦コールマン・イッツコフ(Vc)
⑤ダグ・バリエット(CB)
⑦ダヴォーヌ・ティネス(B、Br)
⑦エミ・ファーガソン(Fl)
⑦ジョニー・アレン(Perc)
⑦コナー・ハニック(Pf)
⑦ミランダ・カクソン(Vn)
録音:2017年10月31日ボストン、ジョーダン・ホール、2021年6月17-18日ウォーセスター、メカニクス・ホール [62:20]/[49:01]
※マシュー・オーコインはハーヴァード・カレッジを学び、指揮者としてもその手腕を発揮しているアメリカの若手作曲家。作曲家としてはフィラデルフィア管やチューリヒ・トーンハレ管などから作品を委嘱されている。彼の作風は無調を基本としながら、調性、ロマンティックな旋律などを折衷した新ロマン主義ともいえるものでヨーヨー・マなどからもその作品は支持されている。保守的な作風ながらツボを押さえた聴きごたえのある作品が揃ったアルバム。
BMOP 1085(SACDハイブリッド)
ゲイル・キュービック(1914-1984):
①ディヴェルティメント第1番(1959)
②映画「ジェラルド・マクボイン・ボイン」(1950)
③ディヴェルティメント第2番(1958)
④シンフォニー・コンチェルタンテ(1951-1953)
~トランペット、ヴィオラ、ピアノと管弦楽のための
ギル・ローズ(指揮)ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
②フランク・ケリー(語り)
②ロバート・シュワルツ(Perc)
④ヴィヴィアン・チョイ(Pf)
④テリー・エヴァーソン(Trp)*
④ジン・ペン(Va)*
録音データ不記載 [69:19]
※ゲイル・キュービックはイーストマン音楽院、ハーバード大学でウォルター・ピストン、ナディア・ブーランジェに学び、生前は映画音楽の作曲で生計を立てながらシリアスな作曲を行っていた。世代的にはコープランド、バーンスタインの間に位置し、彼らと師匠をも同じくしていることからコープランド、バーンスタインを思わせる20世紀アメリカ音楽のよき伝統つまり堅実な様式感とアメリカ的なポップの要素(スウィング・ジャズの影響あり)を持っている。それが一番よく表れた作品が2つのディヴェルティメントである。そんな一方、トランペット、ヴィオラ、ピアノと管弦楽のためのシンフォニー・コンチェルタンテではシリアスな一面を見せている。コープランド、バーンスタインの音楽が彼ら独自の個性ではなく、ある時代を象徴する共通のスタイルだったことがわかる興味深い一枚(コープランド、バーンスタインの作品と言われたら信じてしまう)。
BMOP 1086(SACDハイブリッド)
ロジャー・レイノルズ(b.1934):ヴァイオリン作品集
①ペルソナ(1989-90)
~ヴァイオリンと管弦楽のための
②ココロ(1991-92)
~無伴奏ヴァイオリンのための
③アスピレーション(願望)(2004-05)
~ヴァイオリンと管弦楽のための
ガブリエラ・ディアズ(Vn)
①③ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:2013年6月1日、2015年11月9日、2018年6月4日、[83:25]
※ロジャー・レイノルズはアメリカにあって、最もヨーロッパの前衛楽派に近い作風を取る作曲家。ヴィデオ・アートなどミクスト・メディアの作品もあり、武満徹が主宰したMusic Today音楽祭、サントリー国際作曲委嘱シリーズのために来日したこともある。松平頼暁とも親交があり、日本との関りが深い。ここに収められたヴァイオリンのための作品は静かなモノローグと管弦楽の煌びやかな響きが交錯する美しい音楽で前衛音楽ながら日本の静謐の美学に通じるものがある。一聴に値する一枚。
BMOP 1087(SACDハイブリッド)
ジョン・コリリアーノ(b.1938):
①「音楽へ」(1995)
②トゥルバドゥール(吟遊詩人) (1993)
~ギターと室内オーケストラのための変奏曲
③交響曲第2番(2000)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
②エリオット・フィスク(G)
録音:2019年2月24-25日、2021年9月10日 [66:04]
※コリリアーノはアメリカ東海岸を代表する作曲家の一人。メトロポリタン歌劇場のために作曲した「ヴェルサイユの幽霊」は有名。ここに収録された弦楽合奏のための交響曲第2番はピューリッツァー賞を受賞している。彼の作風は現代音楽の諸技法を折衷したながらロマン的な情感を失わないもので広く聴衆から支持されている。
BMOP 1088(SACDハイブリッド2枚組)
アンソニー・デイヴィス(b.1951):
歌劇「X:マルコムXの人生とその時代」
ダヴォーヌ・ティネス(B-Br)
ホイットニー・モリソン(S)
ロニッタ・ミラー」(MS)、ほか
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト、オデッセイ・オペラ
録音データ不記載 [77:59]/[70:56]
※マーティン・ルーサー・キングと並ぶ黒人解放活動家マルコムX(1925-1965)の生涯を描いた異色のオペラ。因みに彼の生涯はスパイク・リーによって映画化もされている。オペラ化はこれが初めて。作曲者のアンソニー・デイヴィスは白人だが、マルコムXに深く共鳴して渾身のオペラに仕上げている。全体に無調の様式で書かれているが、ジャズ、ミニマルのスタイルも折衷されており、聴き手を飽きさせない。「中国のニクソン」や「ドクター・アトミック」など現代史をテーマにしたオペラを数多く手がけているジョン・アダムズがこのテーマでオペラを書いていたら、どうなっていただろうか。
BMOP 1089(SACDハイブリッド)
カルロス・スリナッチ(19151997):
神の曲芸(1960)
フクロウと猫(1978)
荒れ果てた庭(1957)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:2018年11月28日ボストン、フレイザー・ホール、2021年9月7日ウォーセスター、メカニクス・ホール [60:49]
※カルロス・スリナッチはスペイン、バルセロナ出身の作曲家。バルセロナ、デュッセルドルフで学んだ後、アメリカに移住、モダン・ダンスのパイオニア、マーサ・グラハム(1894-1991)と組んで多くのバレエ音楽を手掛けた。このアルバムはそうした作品のひとつ。明快な形式と快活なリズムに溢れた音楽からバレエの情景が目に浮かんでくる。作曲者がバルセロナ出身とあって、スペイン的な要素が強く、ファリャあるいはコープランドの「エル・サロン・メヒコ」を思わせる部分もある楽しい一枚。
BMOP 1090(SACDハイブリッド)
アヴナー・ドーマン(b.1975):管弦楽曲集
シクロン(2015)
占星術(2011)
「ウリア:王が死を望んだ男」(2009)
3つの間奏曲「アフター・ブラームス」(2015)
エレフ交響曲(2000)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
録音:2019年11月24日ボストン、ジョーダン・ホール、2021年11月9日、11月30日ウォーセスター、メカニクス・ホール
[66:14]
アヴナー・ドーマンはズービン・メータ、クリストフ・エッシェンバッハ、リッカルド・シャイーらから支持され、作品がさかんに演奏されている中堅作曲家。しっかりとした構成と手堅い管弦楽法でオーケストラの機能を存分に活かした効果満点の作品である。新ロマン主義、新古典主義的な作風で誰にでも親しめる内容。
BMOP 1091(SACDハイブリッド)
リー・ホイビー(1926-2011):
①ザ・イタリアン・レッスン(1982)
②どうぞ召し上がれ!(ボナペティ!)(1989)
ギル・ローズ(指揮)
ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト
①ジョアンナ・ベイティ(M.Sop)
②ヴァネッサ・シャキス(M.Sop)
録音:2017年7月20日、2021年ボストンフレイザー・ホール [68:08]
※リー・ホイビーはカルロ・メノッティに師事し、オペラを数多く手掛けた作曲家。ここに収められた2つの作品はともにメゾ・ソプラノ独唱のために書かれたモノ・オペラ。いずれも平易な語法で書かれた作品で師匠メノッティを思わせる洒落たオペラ。