タイ出身の作曲家プランチャルーンの管弦楽曲集第2弾!南方系伊福部昭とでもいうべきダイナミックな民族的現代音楽!/他、新譜11タイトル

ALBANYレーベル(アメリカ)

タイ出身の作曲家プランチャルーンの管弦楽曲集第2弾!
南方系伊福部昭とでもいうべきダイナミックな民族的現代音楽!
TROY 1958
ナローン・プランチャルーン(b.1973):
①「陸と海の彼方」
②「烈火」
③「音、こだま、そして沈黙」

アルフォンソ・スカラーノ(指揮)
タイ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2022年タイ、マヒドル大学[66:10]
※「イルミネーションズ(TROY1934)」に続くナローン・プランチャルーンの管弦楽作品集第2弾。
プランチャルーンはタイ北部の出身で後に渡米、イリノイ州立大学で学び、アレクサンダー・ツェムリンスキー国際作曲コンクールで優勝している。第1集に収録されている「フェノメノン」は2004年武満徹賞第2位。現在はタイのマヒドル大学音楽学部の学部長を務める傍ら、タイ・フィルハーモニー管弦楽団、パシフィック交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを務めている。彼の作風は現代音楽の要素とタイの民族音楽、伝統音楽を融合したものでアジア的、オリエンタリズム、エキゾチシズムがあふれた魅力的なもの。アジア風コープランド、南方系の伊福部昭といった感じの様々なイディオムが混在した雰囲気で大いに楽しめる。

※好評発売中! ナローン・プランチャルーン管弦楽作品集
TROY 1934
「イルミネーションズ」
~ナローン・プランチャルーン(b.1973)の音楽
フェノメノン/新しい地平線/ナマスカー/
失われた魂の移行/光り輝く旅路/
プッバニミッタ/イルミネーションズ

ジェフリー・マイヤー(指揮)
タイ・フィルハーモニック管弦楽団
録音:2017年タイ、マヒドル大学、マヒドル王子ホール [74:24]
※タイ出身の作曲家プランチャルーン(b.1973)は既に多くの賞を受賞し、アジア、アメリカ国内では確固たる地位を築いている。このアルバムには彼の近年のオーケストラ作品が収められているが(武満徹作曲賞受賞作品「フェノメノン」も含まれている)、いずれも確かな作曲技術と管弦楽法に支えられた聴きごたえのある作品揃い。ハリウッドで活躍したミクロス・ローザやジェリー・ゴールドスミスを思わせるブラス重視の筋肉質な音楽はこれまでのタイ人の芸術家のイメージを刷新する。ジェフリー・マイヤー指揮のタイ・フィル好演。

※その他ALBANYレーベル新譜
TROY 1950
「エクスチェンジ」~現代のチェロ作品集
デイヴィッド・ゴンパー:stella celi extirpavit(2022)
ゾーイ・マートリュー:オンディーヌ(2022)
ジャン=フランソワ・シャルル:ペトリファイド(2021)
ジェレミー・サーロウ:屋根伝いに(2019)
ザック・スタントン:安息日の賛歌の名残り
リチャード・コーストン:深淵より(2014)
ダーレン・ブルーム:蝶々

ティム・ギル(Vc)
デイヴィッド・ゴンパー(Pf)
録音:2022年9月17-18日、22-24日、アイオワ大学 [77:57]
※様々な世代の作曲家によるチェロとピアノのための作品集。作曲家はいずれも何らかの形でアイオワ大学において教鞭を執るなどアイオワと関わりがある。作風は様々だが、アイデアも豊富でメロディアスな作品が多く、聴きごたえ充分。チェロのための新しい音楽として一聴の価値がある一枚。チェロ奏者のティム・ギルはベートーヴェンからクセナキスまでをレパートリーとする使い手でソリストとしてロイヤル・フィル、ロンドン・シンフォニエッタなどと多く共演している。

TROY 1951
「女性作曲家によるヴァイオリン作品集」
イヴ・ハンガーフォード(1900-1965):古いメヌエット
イヴ・ハンガーフォード:ローマのヴァイオリン弾き
ミヌエッタ・ケスラー(1914-2002):ピーナッツ・バターとゼリーのワルツ
エディス・L・ウィン(1867-1933):「カロライナの丘」より(6曲)
ゲイル・リッジウェイ・ブラウン(1884-1955):つま先ダンス
アンナ・プリシラ・リッシャー(1873-1945):まるはな蜂
イヴ・ハンガーフォード:マリオネット
ハンナ・バーテル=グローニング:「カンザスの記憶」組曲
シャーロット・ルイーズ・ウッドブリッジ(1887-1980):ノーム達の踊り
ジョセフィーヌ・トロット(1874-1950):2つの調子のよいスケッチ
エセル・バーンズ(1874-1948):アリア
イルマ・ザイデル(1896-?):メヌエット
フローレンス・モーリー(1879-1968):もつれ足の狂気の追跡
エセル・ハラーデン・グローヴァー(1857-1916):黄昏に
エセル・ハラーデン・グローヴァー:ガヴォット
イルマ・ザイデル:美女のメヌエット
グレース・ホワイト(1896-?):即興曲
グレース・ホワイト:雪の上で
ジュリア・クランプキー(1870-1961):妖怪に捕まる
ゲイル・リッジウェイ・ブラウン(1884-1955):田舎風マズルカ
メアリー・オハラ(1885-1980):日没のダンス

モーリーン・ユエン(Vn)
エリック・ルプル(Pf)
録音:2022年6月[47:55]
※19世紀後半から20世紀初頭に生を受けた女性の作曲家たちのヴァイオリンとピアノのための作品を収録。国籍はアメリカ、イギリス、オーストラリア、ロシアと様々。今でこそ女性の作曲家の活躍は目覚ましいものがあるが19世紀~20世紀前半における女性の社会的地位は今日では考えられないほど低く、音楽はあくまで貴婦人の趣味、嗜み程度としか見做されていなかった。そんな中でも果敢に作曲を続けた女性作曲家の作品が世に出ることは意味のあることである。作品は19世紀から20世紀初頭のものだけあって、彼女たちが生きた時代の様式から逸脱するものではないが、時にシューマン、スティーヴン・フォスター、またはロシア民謡を思わせる楽しい曲ばかり。

TROY 1953
「ジェシカ・ジョンソン、現代ピアノ作品を弾く」
①ミッシー・マッツォーリ:イザベル・エーベルハルトの夢
②レジーナ・ハリス・バイオッキ:アズレッタ
③サラ・カークランド・スナイダー:潮流
④エレーナ・ルーアー:109のインプロヴィゼーション
⑤ローレン・ブリアンナ・ウェア:イタリアの肖像
⑥セラ・ファン:サークル・∆・スクェア
⑦セラ・ファン:滞留
⑧ローラ・シュウェディンガー:オン・ビーイング
⑨ローラ・シュウェディンガー:赤道上のジャングル

ジェシカ・ジョンソン(Pf)
⑦⑨アンソニー・ディ・サンザ(Perc)
[66:51]
※アメリカで活躍する様々な世代の作曲家のピアノ作品を収録。セラ・ファンは韓国出身で彼女の「滞留」は打楽器を伴う、ややアジアの神秘的な儀式を思わせる佳作。他にハロルド・バッドやギャヴィン・ブライヤーズを思わせるややミニマル風の美しい、環境音楽的なマッツォーリの「イザベル・エーベルハートの夢」、アンリ・ルソーの同名の絵画からインスパイアされ打楽器が入るシュウェディンガーの幻想的な「赤道上のジャングル」までバラエティ豊かで聴き手を飽きさせない。ピアニストのジェシカ・ジョンソンは現代音楽のスペシャリストとして北米、南米、ヨーロッパで活躍する若手。

TROY 1954
「光へと昇る~無伴奏ヴァイオリン作品集」
ポリーナ・ナザイキンスカヤ(b.1987):希望~無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ・ファンタジア(2018)
コールリッジ=テイラー・パーキンソン(1932-2004):ブルース・フォーム(1989)
サルヴァドール・ブロトンス(b.1959):地の平和(2012)
ブルック・ジョイス(b.1973):ユニオン・プロテスト(2012)
ジェシー・モンゴメリー(b.1981):ラプソディ第2番(2020)
アドルファス・ヘイルストーク(b.1941):驚くべきことに~無伴奏ヴァイオリンのためのカプリス(2010)
ディロロム・サイダミノヴァ(b.1943):光へと昇る(2021)

イゴール・カルニン(Vn)
録音:2023年1月 [58:14]
※世代も国籍も様々な作曲家の無伴奏ヴァイオリンのための作品を収録。いずれも前衛色は薄く、ロマンティックであったり、民族風であったりジャズの影響があったりと聴きやすい内容。驚くべきはヴァイオリニストのイゴール・カルニンで、その技巧、音楽性すべてが完璧で、これほどのヴァイオリニストは世界でも数少ないと思われるほどのヴィルトゥオーゾである。彼はロシア出身で現在はアメリカを拠点に活動している中堅ヴァイオリニスト。今後の活躍が大いに期待されている。

TROY 1956
「サロンでの再会」~ソプラノ歌曲集
①スティーヴ・ダニュー:ニューイングランドの民謡
②ロジャー・C・ヴォーゲル:悪魔の歌曲集
③デイヴィッド・ライスナー:4つのイディッシュの歌曲集
④ネッド・ローレム:聖歌集

ナタリー・マン(Sop)
①タリ・タッドモア(Pf)
②アレックス・チェイ(Fg)
②ブルース・マンガム(Pf)
③デイヴィッド・ライスナー(Gtr)
④キャシー・ミラー(Pf)
録音:2022年9月16、17日、2023年5月27日 [59:58]
※アメリカの世代も様々な作曲家による歌曲集を収録。ソプラノのナタリー・マンはメトロポリタン歌劇場を始め、アメリカ各地のオペラ・ハウスで活躍するオペラ歌手で現代アメリカの作曲家の作品を特に得意としている。収録された歌曲集はいずれも調性で書かれた、親しみやすいもの。

TROY 1959
現代中国系作曲家によるヴァイオリンとヴィオラのための作品集
①チェン・イ:ハッピー・チューン~ヴァイオリンとヴィオラのための
②チェン・イ:記憶~ヴァイオリンのための
③ジョウ・ロン:野草~ヴィオラのための
④ク・シャオ=ソン:JI#7動きのない水~ヴァイオリンのための
⑤フン・ラム:モノローグV~ヴァイオリンのための
⑥-⑧エンジェル・ラム:港の霧~ヴァイオリンのための
⑨オースティン・イプ:これがあの怪物の全てだ~ヴァイオリンとエレクトロニクスのための
⑩チャン・カイ=ヤン:マレーのつぶやき~ヴァイオリンのための
⑪チャン・カイ=ヤン:どこにも行かないボート~ヴァイオリンとフィクスト・メディアのための
⑫チャン・カイ=ヤン:探し求めて~ヴァイオリンとフィクスト・メディアのための

パトリック・イム(Vn&Va)
①ボーン・ラウ(Va)
③ジョウ・ロン(語り)
録音:2019-2023年[69:42]
※現代の中国人および中華系アメリカ人の作曲家によるヴァイオリン、ヴィオラおよびその二重奏のための作品を収録。世代は様々だが、中華圏の現代音楽の現在を知る事が出来る貴重な一枚。いずれも中国の伝統文化と西洋もしくは現代性とをどう融合もしくは対峙させるか、ということに作曲家の創意工夫が感じられる。タン・ドゥンのようないかにもアメリカ人が好みそうな絵に描いたようなシノワズリ、エキゾチシズムとは異なるハイブロウな作品が並んでいる。

TROY 1960
ブラッドリー・エリングボー(b.1958):星の歌

ダン・コークウェル(Ten)
ホセ・ダニエル・フローレス=カラバロ(指揮)
アメリカン・モダン・アンサンブル
オルバニー・プロ・ムジカ・コンサート合唱団
録音:2023年3月6-7日 [53:16]
※ブラッドリー・エリングボーは作曲家であると共に自身がバス・バリトン歌手でもある。イーストマン音楽院で学んだ後、「星の歌」はテノール独唱、混声合唱と管弦楽のための大作で彼の代表作。天文学者カール・セーガン、ジョン・ミルトン、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、ウォルト・ホイットマンなど時代も国も異なる様々な人々の詩や文章をテキストとした星を賛美するカンタータ。映画音楽を思わせる色彩的な親しみ易い音楽。

TROY 1961
「亀の心」~ジェレミー・ハラディナ作品集
「亀のこころ」より「カイマン・キングの踊り」(2021)~フィクスト・メディアのための
「アルクセス!」(1997)~ピッコロ、ピアノとフィクスト・メディアのための
ジャガーの詩(1995-96)~ソプラノ、ピアノとフィクスト・メディアのためのより
《淫らな月》(2019)~オーボエ、ピアノとフィクスト・メディアのための
《虹の母》(2019)~コールアングレとピアノのための
《チャルチウィーツ》(2001)~チェロとフィクスト・メディアのための
《ロスト:白い犬》~フルート、リチュエル・ドラム、オルガンとフィクスト・メディアのための
《イザマルの叫び》(1991)~ヴィオラ、ピアノとフィクスト・メディアのための
《ジャガーの詩》(1995-96)より~ソプラノ、ピアノとフィクスト・メディアのための
《亀のこころ》より「墓を開ける」(2021)~フィクスト・メディアのための

フィクスト・メディア作品
ジェレミー・ハラディナ(Pf)
アガサ・カルビナ(Sop)
サラ・ベック(Ob)
アブリゲイル・ステン・グラハム(Fl)
ジェントリー・ヒル・バンディ(Va)
[75:00]
※ジェレミー・ハラディナ(生年不明)はアメリカの作曲家、指揮者、ピアニスト、教育者。この作品にはアコースティックな楽器のための作品、声楽作品、電子音楽作品と彼の様々な作品が収められている。カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ロス・アンゼルス校で教鞭を執る傍ら、盛んに作品を発表している。作風は西海岸の作曲家というより、東海岸の無調を中心としたアカデミックな楽派に近いものが感じられる。なお本ディスクで頻繁に登場する”フィクスト・メディア”とは予め制作された電子音響の一種である。

TROY 1962
クララ・カスリーン・ロジャース(1844-1931):歌曲集
答え/クローバーの花びら/夜明け/薔薇と百合/朝の歌/
幻/私は友達以上のものを持っている/私の星/
ある婦人の失われた言葉/愛の一本道/突然の光/
ほか全24曲

ブリオン・グローハン(Ten)
ピーター・カイロフ(Pf)
ジャッキー・カラスコ(Vn)
録音:2022年ノース・カロライナ [59:31]
※クララ・カスリーン・ロジャースはイギリス出身の作曲家、歌手で結婚とともにアメリカのボストンに移住、その頃より、歌手活動から作曲に専念するようになった。その頃の交友には同じく女性の作曲家であるエイミー・ビーチやジョージ・チャドウィックがいた。彼女は100曲近い歌曲、2つの弦楽四重奏曲など、室内楽と多くの歌曲を残している。作風はこのディスクを聴く限りではロベルト・シューマンの影響を感じさせるものである。

TROY 1963
「サルーン、サロン、サルテーション」
~女性作曲家の歌曲を集めて
リビー・ラーセン(b.1950):「カラミティ・ジェーンからその娘ジェイニーへの手紙1880-1902」
リリ・ブーランジェ(1893-1918):短冊/待っている/帰還
コロナ・シュレーター(1751-1802):宵の明星/男にとって苦しむのは/岸辺の女の子
エイミー・ビーチ(1867-1944):3つのブラウニングの詩による歌曲Op.44
クララ・シューマン(1819-1896):歌曲集Op.12
ライザ・レーマン(1862-1918):私たちの庭の向こう端に妖精がいる

セレーナ・ヒル・ラロッシュ(Sop)
キャスリーン・ガーナー(Pf)
録音:2017年6月イースト・カロライナ[51:31]
※リビー・ラーセンは管弦楽、室内楽、声楽曲などかなり幅広い作品を発表している20世紀の作曲家で無調風の歌曲。リリ・ブーランジェは作曲家、名教師として知られたナーディアの姉でフランス風の抒情的な歌曲が魅力。コロナ・シュレーターはドイツのオペラ歌手で作曲も多く手掛けた。エイミー・ビーチはアメリカの作曲家で最初期の女性の作曲家として有名。ピアノ協奏曲や交響曲なども作曲した。その美しい歌曲は今日でも度々取り上げられている。クララ・シューマンは言わずと知れたロベルトの妻で多くの優れた作品を発表している。ライザ・レーマンはオペラ歌手でもあったが、リリカルな歌曲を多く残している。歴史上、これまであまり顧みられることのなかった女性作曲家たちの貴重な歌曲集。