①近代イタリア音楽ファン、ピアノ・ファンに好評のマリピエロ・ピアノ作品全集第3集!②第3のクープラン、アルマン=ルイの珍しい作品集!/他、新譜6タイトル

STRADIVARIUSレーベル(イタリア)

近代イタリア音楽ファン、ピアノ・ファンに好評の
マリピエロ・ピアノ作品全集第3集!
STR 37243
「ジャン・フランチェスコ・マリピエロ(1882-1973):ピアノ作品全集 Vol.3」
前奏曲(1901-02)/サラバンダ(1901-02)/
6つの小品(1905)/アーゾロの詩(3曲)(1916)/
午睡(1920)/ドビュッシーに(1920)/
乗馬(3曲)(1921)/木を喰う虫(4曲)(1922)/
リチェルカール・トッカンド(1959)

アルド・オルヴィエート(ピアノ)
録音:2021年6月7-10日 イタリア ヴェネト州 ヴェネツィア、DDD、60’47
※第1集(STR 37133)、第2集(STR 37164)に続く、アルド・オリヴィエーロによるジャン・フランチェスコ・マリピエロ(1882-1973)のピアノ作品集の第3集。マリピエロ没後50周年を記念するCDでもある。今回は20歳頃の作品から、1959年の作品まで、マリピエロのモダニズムの面が強く出た作品が集められている。マリピエロは日本ではイタリアのバロック音楽を現代に蘇らせた立役者として良く知られているだろうが、ここに収録された曲を聞くと印象がガラリと変わるだろう。アルド・オルヴィエートはヴェネツィア音楽院出身のベテランのピアニスト。マリピエロへの深い共感に満ちた見事な演奏を聞かせてくれる。

第3のクープラン、アルマン=ルイの珍しい作品集!
STR 37270
「アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):
ヴァイオリンの自由な伴奏を伴ったクラヴサン小品のソナタ集」
ソナタ第1番/ソナタ第2番/
ソナタ第3番/ソナタ第4番/
ソナタ第5番/ソナタ第6番

リアナ・モスカ(ヴァイオリン)
ピエール・ゴワ(チェンバロ)
DDD、79’12
※アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789)は、クープラン一族の中ではフランソワ・クープラン(1668-1733 いわゆる 大クープラン)、ルイ・クープラン(1626-1661)に次いで有名な人物。ルイは彼の祖父の兄、大クープランは彼の祖父の弟の子。アルマン=ルイ・クープランは優れたオルガン、クラヴサン奏者で、その名前はよく知られているものの、録音となるとクープラン一族の作品集に含まれることが多く、単独のCDはもっぱらクラヴサン曲のみ。しかし18世紀に生まれ生きたアルマン=ルイはハイドンより5歳だけ年上で、古典派直前の作風を備えおり、それはクラヴサン曲よりもこのヴァイオリン伴奏つきのクラヴサン・ソナタに良く表れているだろう。ヴァイオリンが決して前に出ることなく、クラヴサンに寄り添って引き立て役に徹する音楽はたいへん素晴らしい。 リアナ・モスカはチューリヒ生まれのヴァイオリン奏者。ミラノ、ウィーンで学び、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラで活動したのち、1998年からジャルディーノ・アルモニコのメンバーとなり活躍した。現在はバロック・ヴァイオリン奏者として広く活動している。1760年、ルイ・ゲルサン製作のヴァイオリンを使用。ピエール・ゴワはスイスを中心に活動するチェンバロ、フォルテピアノ奏者。1777年、リヨンのジャコブ・スティルヌマン製作のクラヴサンを使用。

※その他STRADIVARIUSレーベル新譜
STR 37211
「バッハ:ギター演奏による無伴奏チェロ組曲集」
①組曲第2番 ニ短調 BWV1008
②組曲第4番 変ホ長調 BWV1010
③組曲第1番 ト長調 BWV1007

①アレッシア・マッティアッツィ(ギター)
②ロベルト・ザドラ(ギター)
③マルコ・エンマヌエーレ(ギター)
録音:2020年1月 イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州 ボツツァーノ、DDD、65’01
※バッハの無伴奏チェロ組曲集から3曲をそれぞれ若いギター奏者が演奏したCD。3人はいずれもボルツァーノ音楽院の出身者。アレッシア・マッティアッツィは1995年の生まれ。北イタリアを中心に活動している。ロベルト・ザドラは1998年、地元ボルツァーノの生まれ。ミュンヘンに留学していたのでドイツ語圏でも活動している。マルコ・エンマヌエーレは1996年、トレヴィーゾの生まれ。室内楽での活動も目立つ。演奏は、しっとりと美しいマッティアッツィ、明るく伸びやかなザドラ、穏やかに深みのあるエンマヌエーレと三者三様、いずれも楽しめる。

STR 37241
「リスボン=ミラノ」~無伴奏アルトサクソフォン作品集
パリジーニ(b.1984):そして海のように叫ぶ叫ぶ叫ぶ(2023)
フランチェスコーニ(b.1956):跡(1988)
ボチマン(b.1950):エッセイ8(2001)
オリヴェイラ(b.1959):統合的な4(1987)
フランチェスコーニ(b.1956):夜想曲(1985-87)
シャリーノ(b.1947):ベルクソンの時計(1999)

マヌエル・テレス(アルトサクソフォン)
録音:2023年4月6、7日 ポルトガル シントラ、DDD、42’13
※「リスボン=ミラノ」と題された20世紀後半以降の無伴奏アルトサクソフォンの作品集。サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-)の他、ヴィンチェンツォ・パリージ(1984-)、ルカ・フランチェスコーニ(1956-)、ジュアン・ペドロ・オリヴェイラ(1959-)、クリストファー・ボチマン(1950-)の作品が並ぶ。
マヌエル・テレスは2002年生まれのポルトガルのサクソフォン奏者。リスボンで学んだ後、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院に進み、それがこのCDの題名に繋がっている。既に若き天才クラシカル・サクソフォン奏者として広く活躍している。

STR 37279
「アリオ・モード」~バッハ:チェンバロ作品集
J.S.バッハ:
デュエット第3番 ト長調 BWV804
平均律クラヴィーア曲集第2巻~前奏曲とフーガ第7番 変ホ長調 BWV876
カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」 BWV992
平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第4番 嬰ハ短調 BWV849
平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第8番 変ホ短調 BWV853
デュエット第4番 イ短調 BWV805
平均律クラヴィーア曲集第2巻~前奏曲とフーガ第20番 イ短調 BWV889
デュエット第1番 ホ短調 BWV802
半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
デュエット第2番 ヘ長調 BWV803
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971

アマヤ・フェルナンデス・ポスエロ(チェンバロ)
録音:2022年10月3―5日 イタリア ロンバルディア州 ミラノ,DDD、74’28
※スペイン出身でイタリアで活動するチェンバロ奏者、アマヤ・フェルナンデス・ポズエロのstradivariusへの2枚目のCDは、全バッハ作品集(1枚目の「D.スカルラッティと同時代の作曲家(STR37197)」はレコード芸術特選盤)。
4つのデュエットに平均律クラヴィーア曲集から4曲などを混ぜ込み、最後をイタリア協奏曲で〆るという意欲的なプログラム。解説(英伊西語)も本人が書いている。演奏は明るく柔らかさのある南欧のバッハでありつつ、潤いと陰りのある情感にも長けていて、心に染み入る。1988年、ミラノのフェルディナンド・グランツィエーラ製作のフランドルスタイルのチェンバロも実に良い音を出している。
簡易紙ケース収納。

STR 37284
「グイド・アルベルト・ファーノ(1875-1961):歌曲集」
ガブリエーレ・ダヌンツィオの詩による6つの歌/
アニーに/乙女の夢(5曲)/ユリ/3つの歌/
歌劇「ユトゥナ」からの2つの場面

シルヴィア・フリガート(ソプラノ)
アルド・オルヴィエート(ピアノ)
録音:2023年3月15-17日 イタリア フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州 サチーレ,DDD、58’22
※大変意義のあるCDが出た。イタリアの作曲家、グイド・アルベルト・ファーノ(1875-1961)の歌曲集。ファーノは日本ではほとんど知名度がないだろうが、ジュゼッペ・マルトゥッチの高弟で、1890年代から1930年代まで様々な作品を発表した。またナポリのサン・ピエトロ・ア・マイエッラ音楽院やパレルモのヴィンチェンツォ・ベッリーニ音楽院の院長を歴任するなど、20世紀前半のイタリアの作曲家でも重要な人物だった。ところが第二次世界大戦中はムッソリーニ政権に弾圧され身を潜めざるを得ず、戦後に復帰するもすぐ1947年に引退した。そのため1961年まで長命したものの、今日ほとんど知られずにいる。しかしこの歌曲集を聞けば、誰でもファーノの素晴らしい音楽性に魅了されるだろう。歌曲に限らずファーノの音楽を初めて聞くと彼がイタリア人作曲家とは信じられないだろう。フランス音楽からの影響の強い繊細で柔らかく色彩に溢れた音楽は、印象派直前のフランス音楽を近代的に発展させたようなもの。イタリア近代歌曲好きならばファーノの歌曲に夢中になることだろう。
シルヴィア・フリガートはバロック音楽で活躍するイタリアのソプラノ。透明で伸びやかな美声の持ち主で、ファーノの歌を素敵に歌い上げている。