①フィンランドの若手ピアニスト、サンナ・ヴァールニによる武満徹&メシアン:ピアノ作品集!②ハンガリーの重要な作曲家フェレンツ・ファルカシュのピアノ作品集第2集!/他、新譜11タイトル

STRADIVARIUSレーベル(イタリア)

フィンランドの若手ピアニスト、サンナ・ヴァールニによる
武満徹&メシアン:ピアノ作品集!
STR 37304
「閉じた眼」~武満とメシアンのピアノ作品集
武満徹(1930-96):閉じた眼
メシアン(1908-92):火の島I&火の島II
武満徹:雨の樹素描
メシアン:ロンド
武満徹:フォー・アウェイ
メシアン:「幼子イエスに注がれる20の眼差し」~「降誕祭」「幼子イエスの接吻」
武満徹:リタニ
メシアン:「幼子イエスに注がれる20の眼差し」より「全能の言葉」「聖母の初聖体」
武満徹:「雨の樹II/オリヴィエ・メシアンの追憶に」

サンナ・ヴァールニ(Pf)
録音:2024年3月25,26日、4月22日、フィンランド [68:12]
※20世紀後半の最重要な二人の作曲家のピアノ作品を収録。武満はメシアンの影響を多大に受けているので二人の作風、音楽思想の共通点と相違点を探る意味でも興味深い企画。ピアノを弾いているサンナ・ヴァールニはフィンランドのシベリウス音楽院で学んだ後、国内外のコンクールで優勝、国際的に活躍している若手。武満作品では日本のピアニストの演奏とは一味も二味も違った、乾いた抒情性とでも言おうか、武満が影響を受けたもう一人の作曲家ドビュッシーを思わせるクリスタルのようなリリシズムがとても印象的で美しい。新しい武満像の登場と言ってよいだろう。

ハンガリーの重要な作曲家
フェレンツ・ファルカシュのピアノ作品集第2集!
STR 37312
フェレンツ・ファルカシュ(1905-2000):ピアノ作品集Vol.2
 ジャーナル1986/
 左手のための2つの素描/
 バラード/コレスポンダンス/
 2つの水彩画/ピアノ・ソナタ第2番/
 左手のための小組曲/
 ジャーナル1987

ステファーノ・カシオーリ(Pf)
録音:2023年5月14日、9月16日、2024年1月21日エアフルト劇場 [72:55]
※フェレンツ・ファルカシュ(1905-2000)のピアノ作品集第2集(第1集「ピアノ・ソナタ第1番、他」は品番:STR 37261)
ファルカシュはハンガリーの作曲家。地元ブタペスト音楽院で学んだ後、サンタ・チェチーリア音楽院でレスピーギに師事した。1936年以降はハンガリーに戻り、1949年からはリスト音楽院の教授としてクルターグやリゲティを育てた。彼は多作家として知られ、作品は700曲に上る。このアルバムには彼の主要なピアノ曲が収められている。彼は12音技法から民族音楽的な様式まで多岐に渡るピアノ曲を残している。彼の音楽を端的に知る上で最適な一枚。

※その他STRADIVARIUSレーベル新譜
STR 37268
マルコ・ディ・バリ(b.1958)作品集
《ガラスを傷つける雫への驚き》(2019)/
《天国の子守歌》(1997)/《頭の中の音》(2021)/
《海の窓》(2011)/《エッシャーの階段の上で》(2019)/
《そして電波は歌う》(2015)/
《高周波数における自己相似性》(1992)/
《月はゆっくりと》(2015)

マリア・ペロッタ(Pf)
アルダ・カイエロ(Sop)
クリストフェ・ボー(Vc)
アンサンブル・ヘリオス(Fl, Vn, Va, Vc)
録音:2022年6月29-30日、9月23日パリ、セクエンツァ・スタジオ[64:27]
※マルコ・ディ・バリはイタリアの作曲家。作曲をルカ・ロンバルディに師事し、ミラノのヴェルディ音楽院で電子音楽のディプロマを取得。現在はイモラの国際ピアノ・アカデミーIncontri con il Maestroで作曲の教授を務めている。このアルバムはおそらく彼の最初のまとまった形での作品集。ピアノのクラスターの嵐にソプラノ歌手の雄叫びが加わる「ガラスを傷つける雫への驚き」など典型的な1960年代の前衛音楽のスタイルを取っている。

STR 37293
W.A.モーツァルト(1756-1791):
 ピアノ協奏曲第19番KV.459
 ピアノ協奏曲第9番KV.271

アレッサンドラ・ジェンティーレ(Pf)
クリスティアン・シュミット(指揮)
ペルージャ室内管弦楽団
録音:2022年3月5-7日イタリア、ピエーヴ市 [58:06]
※モーツァルトの後期と前期のピアノ協奏曲を収録。ピアノのアレッサンドラ・ジェンティーレはイタリアの中堅ピアニスト。ゲルハルト・オピッツらに師事し、ソリスト、室内楽の分野で活躍している。端正なスタイルと透き通った音色がモーツァルトの美しさを際立たせる。STRADIVARIUSの録音技術も優秀。

STR 37307
「LJUST」
~マウロ・モンタルベッティ(b.1969):フルートを中心とした作品集

①「・・・薔薇と風の」(2003)~フルート独奏のための
②「百合(Yuri)」(1998)~フルートとハープのための
③ロンド「・・・私は・・・」(2004)~ハープ、クラリネットとヴァイオリンのための
④落ち葉(2002)~フルート独奏のための
⑤「・・・そして見られることはない」(2009)~フルートとピアノのための
⑥「LJUST(左寄せ)」(2018)~フルートとアンサンブルのための

ラウラ・ベルサーニ(Fl)
カルロ・ボッカドーロ(指揮)
アルトレヴォーチ・アンサンブル
録音:2020年9月-2022年12月ミラノ トランクィーロ・スタジオ [44:55]
※マウロ・モンタルベッティはアントニオ・ジャコメッティ、ジェラール・グリゼイ、フランコ・ドナトーニ、マグヌス・リンドベルイら、それぞれ作風が著しく異なる作曲家に師事した後、若手作曲家の登竜門であるヴァレンティノ・ブッキ作曲コンクールに入賞、その後、オペラやオーケストラ、室内楽の分野で目覚ましい活躍をしているイタリアの作曲家。このディスクには彼のフルートを中心とした作品が集められているが、フルートという楽器の性質からなのか、近代フランス音楽にジョリヴェなどの呪術性を思わせる要素が加わったような新ロマン主義的な作品に仕上がっている。

STR 37309
ダニエレ・ヴェントゥーリ(b.1971):ピアノ作品集
「ナン(否)」(2019)~ピアノのための
「アケルナル」(2014-24)~空間化されたピアノのための
「ナン(否)」(2019)~空間化されたピアノのための
「アケルナル」(2014-2024)~ピアノと架空のオーケストラのための

ミリアム・ガラニャーニ(Pf)
2024年2月12、16日モデナ [60:27]
※ヴェントゥーリはボローニャ出身のイタリアの中堅作曲家。作曲をジェラール・グリゼイ、ジャコモ・マンツォーニ、フランコ・ドナトーニ、ルイス・デ・パブロら、それぞれ著しく作風の異なる作曲家たちに師事した。このアルバムには彼の最近のピアノ作品が収められているが、《ナン(否)》と《アケルナー》のそれぞれ異なるヴァージョンが収録されている。彼の作風は沈黙の中に点在する不規則で激しい音塊の連鎖で構成されており、ポスト・ウェーベルンの影響を感じ取ることが出来る。

STR 37313
スティーヴン・デイヴィスムーン(b.1964):フルート作品集
イル・グイド(2024)~フルートとライヴ・エレクトロニクスのための
「・・・霧」(2004)~ピッコロ独奏のための
「・・・白い空に映える枝」(2004)~ピッコロ独奏のための
無限の塔(2006)~フルートとライヴ・エレクトロニクスのための
(これは既に)過ぎてしまった(1996-98)~バス・フルートのための
呼吸(1993)~フルート独奏のための

ロベルト・ファブリチアーニ(Fl, ピッコロ, バスFl)
録音:2023年12月6日、23日、2024年1月15日フィレンツェ・スタジオGRS [48:04]

※スティーヴン・デイヴィスムーンはイギリスの作曲家。オーケストラから声楽作品、室内楽まで多くの作品を発表している。この作品は全てイタリアの巨匠的フルーティスト、ロベルト・ファブリチアーニのために書かれたもので、フルートの機能の限界が追及されている。作品によってはライヴ・エレクトロニクスが併用され、幻想的な効果が美しい。

STR 37315
ジャコモ・スザーニ・プレイズ・ジャコモ・スザーニ(スザーニ:作曲&編曲集)
ヘンデル(1685-1759):ヴォランタリー第10番よりフーガ
スザーニ(b.1995):対話~ラウロへのオマージュ
ピエール・ロード(1774-1830):カプリス第4番
スザーニ:イントレッチ~パガニーニへのオマージュ
チャイコフスキー(1840-1893):「6月/舟歌」~四季より
スザーニ:ジェムズ・ドリーミング
ヘンリー・マンシーニ(1924-1994):ムーン・リバー
スザーニ:レイトン・トリプティーク

ジャコモ・スザーニ(ギター)
録音:2024年 [49:42]
※ジャコモ・スザーニはイタリアの若手ギタリスト、作曲家。このアルバムには彼の自作の他、彼がギター用に編曲した作品が収録されている。彼自身の作品はいわゆる現代音楽ではなく新ロマン主義もしくはポップス寄りの親しみやすい作風。ヘンデルのフーガ、チャイコフスキーの四季からの舟歌、そして映画音楽の巨匠ヘンリー・マンシーニの「ムーン・リバー」の編曲などは、もともとギターのために書かれたのではないかと思われるほど見事な編曲とギターの演奏である。

STR 37316
アントニオ・モリニーニ(1981-2021):8つのスタディ
(アレゴリア/クライマックス/頭韻/
 外来語/パラフレーズ/シナステジア/
 アナコルート/アントノマシア)

ヴィタントニオ・カローリ(Pf)
録音:2023年12月6日、23日、2024年1月15日 [30:17]
※アントニオ・モリニーニは2021年に40歳の若さで世を去った、イタリアの作曲家、編曲家、ピアニスト。主にジャズ、ポップスの世界で活躍した人で彼のピアノ作品の作風はクラシック、ロマ(いわゆるジプシー)、ジャズ、19世紀ロシア音楽、ショパンなどの影響を受けた、親しみやすいもの。ヴィタントニオ・カローリは19世紀のヴィルトゥオーゾ系のドラマティックなピアノ曲を弾くようにモリニーニ作品を弾いており、聴きごたえ充分。

STR 37322
バルティック・プレイヤー(バルトの祈り)
~ヴァイオリン、チェロ、合唱のための宗教音楽集
ペトリス・ヴァスクス(b.1946):平原の風景
アナトリユス・シェンデロヴァス(b.1945):ディアローグII
アルヴォ・ペルト(b.1935):「主よ、平和を与えて下さい」
ユルギス・ユオザパイデス(b.1942):アヴェ・マリア
オラ・イェイロ(b.1978):静けさ
ジョン・タヴナー(1944-2013):スヴャティ(神聖な)
ミロスラフ・スコリク(1938-2020):メロディ

ダリア・デディンスカイテ(Vn)
グレブ・ピシュニアク(Vc)
ヴァクロヴァス・アウグスティナス(指揮)
ヴィリニュス市合唱団「ヤウナ・ムジカ」
録音:2023年6月12-13日リトアニア [57:38]
※バルトの祈りと題されているが、オラ・イェイロはノルウェイ出身で現在アメリカ在住、ジョン・タヴナーはイギリスの作曲家、ミロスラフ・スコリクはウクライナの作曲家である。おそらくはウクライナ紛争におけるロシアの横暴に対する反戦の意志を表明するために企画されたアルバムであろう。ヴァスクスの悲しげな「平原の風景」、ペルトの「主よ、平和を与えて下さい」、ユルギス・ユオザパイデスの「アヴェ・マリア」での真摯で美しい祈りの音楽がそれを象徴している。いずれもニュー・トナリティ、新ロマン主義の語法で書かれた美しい祈りの音楽。

STR 37325
「アナザー・カインド・オヴ・ロッシ」
~ハープとヴァイオリンによるロッシ他の作品集
ミケランジェロ・ロッシ(1601/2-1656):
 トッカータ第3番、トッカータ第2番、
 未出版のトッカータ(ニ短調)、トッカータ第4番、
 トッカータ第1番、未出版のトッカータ(イ短調)、
 ロマネスカによるパルティータ、トッカータ第10番、
 トッカータ第8番、トッカータヘ長調、トッカータ第5番
タルクィニオ・メールラ(1595-1665):ソナタ第2番
マウリツィオ・カッツァーティ(1616-78):ソナタ「ラ・ペッツォーラ」

アルパルラ:
【ダヴィデ・モンティ(Vn)
 マリア・クリスティーナ・クリアリー(Hrp)】
録音:2023年6月22-24日ペサロ、イタリア [73:46]
※17世紀初頭のイタリアのバロック音楽の代表的作曲家ミケランジェロ・ロッシを中心とした作品集。通奏低音をハープで演奏している。ロッシは自らも優れたヴァイオリニストであった。メールラはヴェネツィア楽派に属する作曲家でオルガニスト、ヴァイオリニストとしても活躍した。カッツァーティはこの中では最も知られていない作曲家だが、特に教会音楽の分野で優れた仕事を残した。初期イタリアのバロック音楽は後期バロックにはない、ルネサンスの雅な香りが漂っており、独特の典雅な響きがこの上なく美しい。

STRADIVARIUSレーベル・カタログ