ODRADEK RECORDSレーベル(アメリカ)
ピナ・ナポリターノのブラームス・ザ・プログレッシヴ第3弾!
今回はヴァイオリン・ソナタ+新ウィーン楽派!
ODRCD 485
「ブラームス・ザ・プログレッシヴVol.3」
①シェーンベルク:ヴァイオリンとピアノのための断章
②ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.100
③シェーンベルク:ピアノ・ソロ付き、ヴァイオリンのための幻想曲 Op. 47
④ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 Op.108
⑤ウェーベルン:ヴァイオリンとピアノのための4つの小品
ピナ・ナポリターノ(Pf)
フランコ・メッツェーナ(Vn)
録音 : 2024年3月4〜6日 スタジオ・オドラデク ”スフィア” 、DDD、59’28
※ピナ・ナポリターノの「ブラームス・ザ・プログレッシヴ」シリーズの第3弾。今回はヴァイオリンとピアノのための作品集。新ウィーン楽派の3人は、ブラームスに深く傾倒し影響を受けていた。ブラームスの作品と対比させることで、古典主義的と思われているブラームスの先進性を明らかにしていく好企画である。
ピナ・ナポリターノはナポリ近郊のカゼルタ出身。ペスカーラ音楽院でミケランジェリの弟子であったブルーノ・メッツェーナ(今回共演のフランコ・メッツェーナの父)に師事。リスト、バルトーク、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンなど得意にしている。20世紀音楽を中心としたCDもリリースされている。また、演奏活動以外に古典・東欧文化、言語学の研究で多くの表彰を受けている。フランコ・メッツェーナは1953年トレント出身。アッカルド、ダマーリオ、リッチ、カニーノ等の多くのアーティストと共演している。イタリア内外でマスタークラスを開催。ブルーノ・メッツェーナ音楽院で後進の指導にあたっている。80以上のCDをリリースしており、ヨーロッパの主要オーケストラとの共演も多い。
現代音楽ファン必聴!アーヴィン・アルディッティのリーム!
ODRCD 456
ヴォルフガング・リーム:
①見知らぬ土地の情景(Ⅰ~Ⅲ)
②肖像
アーヴィン・アルディッティ(Vn)
ロベルタ・パンドルフィ(Pf)
ジャンルーカ・ピリージ(Vc)
録音:2023年10月9-11日スタジオ・オドラデク、DDD、65’59
※現代音楽ファン必聴!アーヴィン・アルディッティらによるヴォルフガング・リーム作品集。明快な演奏と録音のおかげで、ある種の様式美が感じられる。シューマンへの愛情、リスペクトがこの曲を書かせたというのも頷ける録音である。ヴォルフガング・リームは高校卒業前から、カールスルーエ音楽大学で、オイゲン・ヴェルナー・フェルテに作曲を師事する。卒業後、フライブルグ音楽大学で、クラウス・フーバーに師事。これら師事した作曲家の他にも、ヘルムート・ラッヘルマン、モートン・フェルドマン、ルイージ・ノーノなどを手本としていて指向は多種多様である。大変な多作家で、出版されたものだけでも400曲を超えると思われる。
アルディッティ四重奏団のリーダーとしても有名なアーヴィン・アルディッティは1953年イギリス出身。王立音楽院で、クラレンス・マイヤースコー、マヌーグ・パリキアンに師事。ロンドン交響楽団のコンサート・マスターを務めるが、学生時代に結成した「アルディッティ弦楽四重奏団」に専念するために同楽団を退団。現代音楽を中心としたレパートリーで、広く世界で活躍する。200以上のCDをリリースしている。
ピアノのロベルタ・パンドルフィは現代音楽のソリスト、室内楽奏者として世界的に活躍している。2018年より、女性のみで結成された「オーケストラ・オリンピア」の音楽監督に就任している。チェロのジャンルーカ・ピリージは12歳よりチェロを始める。イタリアの有名音楽祭や、アムステルダム、パリ、草津、ミュンヘン、ワルシャワ他の音楽祭に数多く参加している。意外なキャリアとして、ファビオ・ビオンディの「エウロパ・ガランテ」で古楽演奏にも携わっている。
バレンボイム義娘による好企画!ピアノによるロマンス集!
ODRCD 446
「ロマンス」~ピアノのためのロマンス集
①シベリウス:ロマンス Op.24-9
②‐④R.シューマン:3つのロマンス Op.28
⑤‐⑦C.シューマン:3つのロマンス Op.21
⑧ブラームス:ロマンス Op.118-5
⑨リスト:ロマンス S.169
⑩リスト:忘れられたロマンス S.527
⑪チャイコフスキー:ロマンス へ短調 Op.5
⑫モシュコフスキー:ロマンスとスケルツォ Op.62~Ⅰ.ロマンス
⑬シャミナード:6つの無言歌(ロマンス)Op.76~Ⅵ.瞑想曲
⑭チェルニー:ロマンス Op.70
ナタリア・ペガルコヴァ=バレンボイム(ピアノ)
録音 : 2023年10月18-20日スタジオ・オドラデク、DDD、68’14
※ピアノのためのロマンスを集めた1枚。穏やかな雰囲気のアルバムだが、それでも9人の作曲家の個性が感じ取れる。選曲も、ピアニストの活動姿勢が現れていて興味深い。1曲目のシベリウスからはフィンランディアのモチーフが聴かれたり、終曲のチェルニーは練習曲以外のコンサート・ピースが聴けたりと、聴く人それぞれに発見のある面白さがある好企画である。
ナタリア・ペガルコヴァ=バレンボイムは、ロシア出身。女性作曲家の作品、忘れられたり見落とされたりした作曲家の作品を積極的に取り上げ紹介する活動をしている。現在は、ベルリンを拠点に活躍している。ダニエル・バレンボイムの息子であるマイケル・バレンボイム(ウエスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラのコンサート・マスター)の夫人でもある。
※その他ODRADEK RECORDS新譜
ODRCD 445
ベートーヴェン:ラスト・ソナタ(後期三大ソナタ集)
ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109
ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op. 110
ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op. 111
レオポルド・エリセ(ピアノ)
録音 : 2022年5月17-20日 オタワ大学 フレイマン・ホールにて収録、DDD、65’31
※レオポルド・エリセはスペイン出身。2021年よりオタワを拠点に活躍中。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカで様々なコンサートに出演する。チェロの堤剛、クラリネットのジェームス・キャンベル等とリサイタルを開催する。他にも室内楽やオーケストラとの共演も多い。オタワ大学音楽学校准教授、ウィルフレッド・ローリエ大学研究所のメンバーである。
「ベートーヴェン:芸術の海」という一文をジャケット裏に載せるほど、リスペクトが全面に出ている演奏内容である。幼少期に両親と夏を過ごした、スペイン北西部のリバデオの海の大きさをベートーヴェンの偉大さに重ねているようだ。ライナーに掲載されている海の写真も全て自ら撮影したもので、これがとても美しい。後期三大ソナタに取り組む意気込みが、こんな所からも感じられた。よくコントロールされたピアノが非常に好ましい。
ODRCD 449
「ミシェル・ソニー(b.1947):ピアノ作品集」
①ハンガリー風の3つの小品(1986)
②「仄かなる幻影」~ピアノのための12の小品(2006)
③ハンガリー風の練習曲集 第1巻(全12曲)
④ハンガリー風の練習曲集 第2巻(全12曲)
⑤ハンガリー風の練習曲集 第3巻(全12曲)
⑥ハンガリー風の練習曲集 第4巻(全12曲)
タマー・ベライア(ピアノ)
録音:2023年11月14〜15日 スタジオ・オドラデク スフィア、DDD、62’15
※ミシェル・ソニー(Michel Sogny)はエコール・ノルマル音楽院で主に作曲を学ぶ。1974年、自ら音楽学校を設立し、新しいピアノ教授法を用いて多くの学生を指導した。ピアノ指導のために多くのエチュードを作曲するが、エチュードの枠を超えた充実した内容の作品を残している。フランス国内に留まらず、東ヨーロッパにも音楽教育のために資金援助をするなど、世界的に活躍している。このアルバムに収められた作品も、ハンガリー風のスタイルで躍動感のあるものばかりである。
ピアノのタマー・ベライアは1987年ジョージア出身。ザカリア・パリアシヴィリ音楽学校、トビリシ音楽院で学ぶ。姉のナティア・ベライアとピアノ・デュオの活動もしている。
ODRCD 452
「ルードゥス」~20・21世紀クラリネット作品集
①-④プロコフィエフ(1891-1953):フルート・ソナタ ニ長調 Op.94(ダニエル・モリーナ編曲クラリネット版)
⑤⑥パブロ・ディアス・サンチェス(b.1997):クラリネット・ソナタ Op.9b
⑦⑧サルバドール・ブロントス(b.1959):クラリネット・ソナタ Op.46
⑨アルマンド・アルフォンソ(b.1931):ヴァイオリンとピアノのための叙情的小品(作曲者編曲による、クラリネット・ピアノ版)
⑩-⑭ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913-1994):舞踏前奏曲
ダニエル・モリーナ(クラリネット)
ハビエル・ネグリン(ピアノ)
録音 : 2024年1月22〜24日 スタジオ・オドラデク、DDD、64’58
※全て20世紀半ばから21世紀にかけての作品で構成されている。プロコフィエフ作品は、ヴァイオリン・ソナタ第2番としても知られているが、大変耳に新しく聴こえて面白い。スペインの現役の作曲家たちの作品も、先進的で新しいクラリネットの音楽が聴いてとれる。ダイナミックな躍動感と瞑想的な静寂感が混在していて、クラリネットの様々な空気感が楽しめる仕上がりとなっている。
ダニエル・モリーナはスペイン領テネリフェ島出身。室内アンサンブル「アグエーレ・アンサンブル」創立メンバー(2021年)、2023年、アグエーレ国際室内楽フェスティヴァルの芸術監督に就任している。このCDが ODRADEK初録音である。
ODRCD 453
「凪」~インギビョルグ・アジマ(b.1973):歌曲集
①-③スノッリ・ハーターソンの詩から(ソプラノ、ピアノ、バス・クラリネット)
(夏の夜/休息/牧草地の春)
④⑤ゲルズル・クリストニの詩から(ソプラノ、ピアノ、チェロ)
(凪/静寂)
⑥-⑧セルヴィ・ビョルン・シグルスソンの詩から(ソプラノ、ピアノ、フルート)
(君の涙が水だったら/ソネット/鳥)
⑨-⑪クリスティン・ヨンスドッティルの詩から(ソプラノ、ピアノ、トロンボーン)
(門の所に/夜に/夜の旅)
アジマ・アンサンブル:
【マルガレト・フラフンスドッティル(S)
フレン・プレインスドッティル(Pf)
アルマン・ヘルガソン(バスCl)
オロフ・シグルスヴェインスドッティル(Vc)
ビョルグ・ブリャンスドッティル(⑦Fl、⑥⑧アルトFl)
インギビョルグ・アジマ(作曲、Trb)】
録音 : 2022年夏アイスランド、DDD、40’28
※インギビョルグ・アジマの声楽と室内楽のための作品集。アジマはアイスランドの作曲家、トロンボーン奏者。1999年エーテボリ音楽アカデミーを卒業。2000年、コペンハーゲン音楽院で学び、ウプサラ大学で合唱指揮を学ぶ。2015年に、ファーストアルバムをリリース。多くのアーティスト、グループのために、作品や編曲を提供している。作品は民謡のような素朴で美しいものばかり。
ソプラノのマルガレト・フラフンスドッティルはレイキャヴィーク音楽院、シュトゥットガルト高等音楽院で学ぶ。フランシスコ・アライサ他に師事した。
ODRCD 457
「セヴン」
~アンドレア・カサルビオス(b.1988)作品集
①セヴン(チェロ・ソロ)
②鎧(チェロ・ソロ)
③24の少女たち(チェロ・ピアノ)
④水のメッセージ(チェロ・ピアノ)
⑤シルボ(チェロ・ピアノ)
⑥研磨師(クラリネット・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ)
⑦ピアノ五重奏曲
(Ⅰ.豊富/Ⅱ.子守唄/Ⅲ.日没前/Ⅳ.サスカ!)
アンドレア・カサルビオス(チェロ)
③④⑤オードリー・アーベラ(Pf)
⑥シカゴ交響楽団員:
【ジョン・ブルース・イェー(Cl)
マトウス・ミハル(Vn)
ダニー・レイ(Va)】
⑦マンハッタン・チェンバー・プレイヤーズ:
【アダム・ゴルカ(Pf)
ルーベン・レンヘル(Vn1)
スリマン・テカリ(Vn2)
ルーク・フレミング(Va)】
録音:①②⑥2024年2月、3月シカゴ、③④⑤⑦2024年3月、4月オクターヴェン・オーディオ、DDD、62’09
※カサルビオスの自作自演集である。作品は、作曲家が実際に見聞きしたものが作曲の動機になっているためか、全てに標題がある。現代音楽というよりも新古典派のような印象の曲で、作曲家のイメージが良く伝わってくる。録音の良さもあって楽しめる仕上がりとなっている。
アンドレア・カサルビオスは1988年、スペイン出身。チェロで数々の国際コンクールで優勝し、カーネギーホール、リンカーン・センターなどでも演奏している。ニューヨークで博士号を取得する過程で、ジョン・コリリアーノに作曲を師事。ジュリアード音楽院、南カリフォルニア大学、イーストマン音楽院他でマスタークラスを担当し、多くの音楽祭に参加して後進の指導にも力を入れている。
ODRCD 460
「インヴェンティオ(バッハ、クープラン、スカルラッティ)」
~アコーディオンによるバロック作品集
①D.スカルラッティ:ソナタ 変ロ長調 K.202
②C.P.E.バッハ:スペインのフォリアによる12の変奏曲Wq.118-9
③D.スカルラッティ:ソナタ ト長調 K.455
④D.スカルラッティ:ソナタ へ短調 K.481
⑤D.スカルラッティ:ソナタ へ短調 K.386
⑥D.スカルラッティ:ソナタ ト長調 K.146
⑦C.P.E.バッハ:幻想曲 嬰へ短調 Wq.67
⑧D.スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.87
⑨D.スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K.397
⑩F.クープラン:タンブラン
⑪F.クープラン:クープラン
⑫F.クープラン:小さな風車
⑬F.クープラン:葦
⑭F.クープラン:ティク=トク=ショック、またはオリーヴ絞り機
⑮C.P.E.バッハ:ヴュルテンベルク・ソナタ第1番イ短調Wq.49-1
(モデラート/アンダンテ/アレグロ・アッサイ)
フィンセント・ファン・アムステルダム(アコーディオン・編曲)
録音:2024年3月13、14、16、29日、アイントホーフェン音楽堂(ムジークヘボウ)小ホールにて収録 DDD、78’14
※フィンセント・ファン・アムステルダムは1989年、オランダのハールレム出身。父親でアコーディオン奏者の、エーフェルト・ファン・アムステルダムから指導を受ける。フォンティス芸術院で、シュテファン・フッソング、ミカ・ヴァユリネン等に師事し優秀な成績を修める。プリンセス・クリスティーナコンクール、オランダ全国コンクール、ハーグ王立音楽院コンクールで優勝。2016年、オランダ・クラシカルタレントアワードを受賞。日本の音楽大学にアコーディオン科は無いのだが、ヨーロッパの音楽大学や音楽院には多数存在する。日本のプロ奏者にも、ヨーロッパで学んだ人が多い。 クラシック音楽とは無縁と思われがちだが、ヨーロッパでは他の楽器と同様にコンサート用の楽器として認識されている。演奏のテクニックも編曲のセンスも非常に良く、更なる活躍を期待したい。