ポマト・プロ(日本)
高揚感を生む躍動的なエロイカ(山之内正)
心が洗われる「英雄」(平林直哉)
浮ヶ谷孝夫(指揮)のベートーヴェン「英雄」
POMA-1001 ¥2,000+税
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
(タイミング 14:19/14:06/5:41/11:51)
浮ヶ谷孝夫(指揮)
ブランデンブルグ国立管弦楽団フランクフルト
録音:2018年2月27-28日カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ・ホール
録音エンジニア:ベルンハルト・ハンケ(トーン・マイスター)
メインマイク:ソニーECM-100N
※本当に久しぶりである。これほど指揮者の人格が素直に、純粋に表れた演奏を聴くことが出来たのは。月並みな言葉ながら、全く心が洗われる気持ちになった。
「英雄」は言うまでもなく超有名曲であり、演奏頻度は高く、CDも多い。近年、ベートーヴェンの交響曲の演奏においては、時代考証に準拠した演奏が大流行である。(中略)浮ヶ谷とてこうした背景は知識として持っているであろう。しかし、この演奏を聴く限りにおいては、彼はそうした流行とは無縁のように思える。つまり浮ヶ谷は長くドイツに暮らし、「ドイツ的な響きとは何か」、「ベートーヴェンの交響曲を理想的に響かせるにはどうしたら良いのか」といった根源的な問いを、長い時間をかけて模索した結果が今回の演奏だと言える。言い換えれば、外国語を、その土地に住む人と同程度に、自然に無理なく話せるように、曲にふさわしい響きが自然と指揮棒から流れ出ているのである。(中略)
ソニーが26年ぶりに開発したプロ用マイクを使用したという録音の素晴らしさにも言及せねばなるまい。教会でオーケストラを録音した場合、たいていは輪郭が丸すぎて、甘口になりがちである。しかし、当ディスクではそのあたりのバランスが見事にまとめられており、典雅で上品な「英雄」がたっぷりと楽しめる。
(平林直哉・ライナーノートから抜粋)
浮ヶ谷孝夫(指揮者) Takao Ukigaya
1953年埼玉県川口市生まれ。世界の最前線でタクトを振る、日本を代表する指揮者の一人。1978年に渡独してベルリン芸術大学指揮科のヘルベルト・アーレンドルフ教授に師事。カラヤン、ハンガリー、両国際指揮コンクールで受賞。1986年にはポメラニアン・フィル(ポーランド)のドイツ演奏旅行の指揮者に抜擢され、欧州でデビューを果たす。1987年より、同オーケストラの専属指揮者に就任。多数のドイツ演奏旅行やCD録音で高い評価を得る。1989年より「北ドイツ放送ラジオフィルハーモニー ハノーファー」と多数のCD録音。「ポーランド国立放送交響楽団」の専属客演指揮者。1996年に「ドイツ・フィルハーモニア・ウンガリカ」日本ツアー。1999年に「北西ドイツ・フィルハーモニー」日本ツアー。2001年、2005年に「ブランデンブルグ国立管弦楽団フランクフルト」日本ツアー。2003年には「ブランデンブルグ国立管弦楽団フランクフルト」の首席客演指揮者に就任。2010年より愛知県豊橋市の「豊橋青少年オーケストラキャンプ」を立上げ、毎年多くの演奏家の育成に尽力。2013年より東京都主催「歴史的建造物保全プロジェクト・マエストロ浮ヶ谷プロデュースコンサート」を担当。現在は日本の交響楽団にも招聘され、多くのファンを持つ指揮者。ドイツ在住。夫人はフルート奏者の浮ヶ谷順子。
ブランデンプルグ国立管弦楽団フランクフルト Brandenburgisches Staatsorchester Frankfurt
ドイツ、ブランデンブルク州オーデル湖畔にある「ブランデンブルグ国立管弦楽団フランクフルト」は、1971年にクライスト歌劇場管弦楽団とフランクフルト管弦楽団が合併して成立。1990年、ニコス・アティネオスが首席指揮者として就任後、同指揮者のもので目を見張るような芸術的飛躍を遂げ、1995年に「フランクフルト国立管弦楽団 Frankfurter Staatsorchester」として国立管弦楽団の地位を獲得しました。
ベルリンのベルリン・フィルハーモニーやコンツェルトハウスを始め、ドイツ国内の各都市やヨーロッパ各国での演奏旅行を成功させており、ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)、アナトール・ウゴルスキ(ピアノ)などの一流アーティストとも共演しています。また19~20世紀にかけて活躍した作曲家の作品を積極的にCD化しており、ボリス・ブラッハーの作品を収めたCDがフランスのレコード賞「ゴールドディアパソン賞」(Diapason D’OR)を受賞して話題を呼びました。
2001年、2005年、2019年と3度の日本公演を果たしており、次世代を担うオーケストラとして世界的に注目を浴びています。
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ・ホール Brandenburgisches Staatsorchester Frankfurt
J.S.バッハの2番目の息子であるカール・フィリップ・エマヌエルの名前を持つコンサートホールは、かつてフランシスコ会修道院付属の教会として1270年頃に建てられました。1735~36年に国王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世のもと、教会の大規模な修繕が行われ、その後の増改築を経て、大戦後、現在のコンサートホールに生まれ変わりました。コンサートホールはその開場依頼、印象深い物語を描き続け、1995年からは、ブランデンブルグ国立管弦楽団フランクフルトの本拠地となっています。数多くの国際的に著名な演奏家達が客演を行ったホールは、音響特性に優れ、とても自然で温かみがある音場を提供してくれています。