ジョシュア・ピアースのブラームス:ピアノ協奏曲第2番!+フランク、ウェーバー/他、新譜4タイトル

MSRレーベル(アメリカ)

ジョシュア・ピアースのブラームス:ピアノ協奏曲第2番!
+フランク、ウェーバー
MS 1844
①ブラームス(1833-1897):ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83
②フランク(1822-1890):交響詩「鬼神」M.45
③ウェーバー(1786-1826):コンチェルト・シュトゥック ヘ短調Op.79

ジョシュア・ピアース(ピアノ)
①②カーク・トレヴァー(指揮)ボフスラフ・マルティヌー・フィルハーモニー管弦楽団
③ビストリーク・レジュハ(指揮)スロヴァキア国立フィルハーモニー管弦楽団
録音:
①1999年5月28-29日チェコ・BMFホール、②1999年12月10-11日、チェコ・BMFホール
③2003年9月18日スロヴァキア・ドム・ウメニア(コシツェ) [73:56]
(①②はMS1148で発売されていたもの)
※ジョシュア・ピアースはニューヨーク出身。1960年代にジュリアード音楽院で学んだ後、ウォルター・ピストン、ヴィンセント・パーシケッティ、カルロス・チャベス、ヘンリー・カウエルのマスタークラスにも参加し、現代音楽についても研鑽を積んだ(実際彼の演奏によるジョン・ケージのプリペアード・ピアノのための作品集の独WergoのCDは定評がある)。このディスクではブラームスの協奏曲にフランクのピアノ独奏つき交響詩とウェーバーの小協奏曲という重厚なプログラム。ピアースのピアノは強靭な打鍵と繊細なタッチが融合した見事なもの。ブラームスのピアノ独奏つき交響曲ともいうべき第2協奏曲を圧倒的なパッションで弾き切り聴きごたえ充分。カーク・トレヴァー指揮によるマルティヌー・フィル、レジュハ指揮によるスロヴァキア国立フィルも熱演。

※その他MSRレーベル新譜
MS 1781
「プリズマティック・サウンズ」
 ~無伴奏クラリネットのための現代作品集
ジャン・リヴィエ(1896-1987):「3つのS」(1972)
エバーハルト・ウェルディン(1911-91):「印象」(1987)
カール・マリア・クビツェク(1925-95):カプリッチョ~6つの小品(1969)
ダロン・ハーゲン(b.1961):イカロス(2007)
ジェームズ・リー3世(b.1975):プリンシパル・ブラザーズ第3番(2020)
※全作品世界初録音

ジェレミー・レイノルズ(Cl)
録音:2022年6月12-15日コロラド州デンバー、ハミルトン・リサイタル・ホール [48:54]
※20~21世紀に書かれた無伴奏クラリネットのための作品を収録。作風はやや新古典主義的なジャン・リヴィエの「3つのS」から軽妙洒脱なクビツェクの「カプリッチョ」、新ロマン主義的なリー3世の「プリンシパル・ブラザーズ第3番まで多種多彩。20世紀後半から21世紀までの現代音楽史をたったクラリネット1本で俯瞰しようとするチャレンジングなアルバム。クラリネットのジェレミー・レイノルズはツーソン交響楽団、コロラド・スプリングス・フィルハーモニーの首席奏者を務める傍ら、ソリストとしても活動している。

MS 1818
「ナイト・ソングズ」~トランペット・インプレッションズ
①ジャン・フランセ(1912-1997):ソナチネ
②カール・ヘーネ(1871-1939):スラヴ幻想曲
③マヌエル・デ・ファリャ(1876-1946):7つのスペイン民謡
④武満徹(1930-1996):径
⑤リチャード・ピーズリー(1930-2016):ナイト・ソングズ
⑥J.S.バッハ:バディネリ~管弦楽組曲第2番より
⑦ピーター・マクスウェル・デイヴィス(1934-2016):ストロームネスからの告別
⑧バーン・レイノルズ(1926-2011):呼びかけとこだま

マックス・オットー・マッゼン(トランペット、②コルネット、⑤フリューゲル・ホルン)
①②⑤⑦マユミ・マッゼン(Pf)
③チラーリ・ヒューゴ(Hrp)
⑧ブレット・ロング(Trp)
録音:2022年5月-2023年12月[59:02]
※トランペットにピアノ、ハープを伴った作品またはトランペット独奏のための作品を収めたアルバム。作品はJ.S.バッハからジャン・フランセ、武満までと幅広い。フランセのソナチネにおける都会的で洒脱、洗練された味わい、ファリャの7つのスペイン民謡のラテン的で歌謡性溢れる美しい音楽、ヴィトルト・ルトスワフスキの追憶に捧げられた武満の「径」の祈りに満ちた音楽など聴きどころ満載。トランペットのマックス・オットー・マッゼンはアメリカのベテラン奏者でソロ活動の他、エメラルド金管五重奏団のメンバーを務め、ジャズ・プレイヤーとしても活躍している。

MS 1857
「不死鳥は飛び立つ」~ロス・サルヴォサ、ピアノ・リサイタル
アントニオ・モリーナ(1894-1980):マリクマータ(変容)
ラモン・タパレス(1906-1995):ミンダナオの蘭
ルチオ・サン・ペドロ(1913-2002):サラミシム(回想)
ショパン:練習曲集Op.10(全10曲)
ストラヴィンスキー(グイード・アゴスティ編):「火の鳥」より「カスチェイの地獄の踊り」「子守歌」「終曲」

ロス・サルヴォサ(Pf)
録音:2023年8月29日-9月1日ワシントン大学音楽学部リサイタル・ホール [51:59]
※フィリピン出身の若手ピアニスト、ロス・サルヴォサのデビュー盤。このアルバムの最初に収録されている3人の作曲家モリーナ、タパレス、サン・ペドロはいずれもフィリピンの作曲家で20世紀前半に生を受けたフィリピンの近現代作曲家の作風を知る上で大変興味深い。3人ともフィリピン民謡を素材にしつつドビュッシーを始めとするフランス近代音楽の影響を受けている。この3人の作曲家の愛すべき色彩的な作品を聴くだけでもこのアルバムの価値は高いが、それに輪をかけて驚かされるのがピアニスト、ロス・サルヴォサのピアノの腕前である。ショパンの練習曲は見事と言うしかない驚愕すべきテクニックと音楽性を備えた名演。サルヴォサはシアトル国際ピアノ・コンクール、スタインウェイ・カナダ・ヤング・アーティスト・コンペティションで入賞、これからの活躍が大いに期待されている。最後に収められた「火の鳥」からの3つのピアノ曲は編曲、演奏ともに見事。

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