ベートーヴェンの珍品、ピアノ協奏曲第0番オリジナルのソロ・ヴァージョン世界初録音!/他、新譜4タイトル

CEMBAL D’AMOURレーベル(アメリカ)

ベートーヴェンの珍品、ピアノ協奏曲第0番
オリジナルのソロ・ヴァージョン世界初録音!
CEMBCD 214
「モルデカイ・シェホリ ベートーヴェンを弾く 第10集」
『若き日のベートーヴェン』13~14歳時の全作品
①ロンド ハ長調 WoO.48
②ロンド イ長調 WoO.49
3つの選帝侯ソナタ WoO.47
 ③-⑤ソナタ第1番 変ホ長調
 ⑥-⑧ソナタ第2番 へ短調
 ⑨-⑪ソナタ第3番 ニ長調
⑫-⑭ピアノ協奏曲 変ホ長調 WoO.4(第0番)

モルデカイ・シェホリ(ピアノ)
録音:2024年2月ラスベガスにて収録、DDD、77’36
⑫-⑭オリジナル・ソロ・ヴァージョン世界初録音
※このCDに収録された楽曲はピアノ協奏曲以外は全て、少年時代の恩師ネーフェの尽力によって出版されたものである。ネーフェはベートーヴェンに、ピアノ、オルガン、作曲を指導した人物で『ベートーヴェンは第2のモーツァルト』と高く評価していた。
ロンドの2曲は、共に明るい爽やかさが印象的な小品である。
3つの選帝侯ソナタは、ケルン選帝侯マクシミリアン=フリードリヒに献呈されたことから、この様に呼ばれている。ネーフェから大バッハ、エマヌエル・バッハを教材に教えを受けたベートーヴェンは、良い意味でマンハイム楽派の影響受けている。ギャラントな様式感、ハイドンやモーツァルトがソナタでは使用しなかったへ短調という調性、オーケストラを思わせるピアノの書法など早くもベートーヴェンらしい個性が見られる。
ピアノ協奏曲は、ピアノ・パート譜のみが現存しているが幸いな事に、この楽譜にはピアノが休みの時のオーケストラ・パートの書き込みがされている。今回の録音は、この部分をシェホリが全て弾いていて、この曲の概要を全て知る事が出来る。ピアノ・ソロ版としては、これが世界初録音となる。

※他、モルデカイ・シェホリのベートーヴェン・シリーズ新譜
CEMBCD 211
「モルデカイ・シェホリ ベートーヴェンを弾く 第7集」
①-④大ソナタ(ピアノ・ソナタ第11番)変ロ長調Op.22
⑤-⑦大ソナタ(ピアノ・ソナタ第12番)変イ長調Op.26 『葬送ソナタ』
⑨-⑪ピアノ・ソナタ第16番ト長調 Op.31-1

モルデカイ・シェホリ(ピアノ)
録音:2023年7月 ラスベガスにて収録、77’33
※モルデカイ・シュホリは、イスラエル出身、アメリカで活躍するピアニスト。大変広いレパートリーを持ち、自らが主催するレーベルには既に多くの録音がある。演奏スタイルも風通しが良く耳を疲れさせない。
Op.22は、ブロウネ伯爵に献呈された。現在ではあまり知名度の高い作品ではないが、伝統に即した形式の中で伸びやかさを自由自在に発揮した初期の様式の集大成となる作品である。
Op.26は、第3楽章が葬送行進曲であるため曲全体を『葬送ソナタ』と通称されている。またショパンはベートーヴェンの曲の中でもこのソナタを特に好んでおり、レパートリーとして演奏することもあった。ショパンのピアノ・ソナタ第2番は本作の影響があるものと考えられている。
Op.31-1の作曲された1802年は「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた年である。しかし一方で「今までの作品には満足していないので、新しい道を進みたい』と言う前向きなあったと弟子のチェルニーが伝えている。失意と決意の中で作曲された本作には、古典的な佇まいの中に明るい楽想が散りばめられた曲になった。

CEMBCD 212
「モルデカイ・シェホリ ベートーヴェンを弾く 第8集」
①-③ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
④‐⑥ピアノ・ソナタ第6番 へ長調 Op.10-2
⑦-⑩ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3
⑪-⑬ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 Op.14-1

モルデカイ・シェホリ(ピアノ)
録音:2023年9月ラスベガスにて収録,DDD、73’41
※Op.10の3曲のソナタは1798年に出版され、ブロウネ伯爵夫人アンナ・マルガレーテに献呈された。番号付きのピアノ・ソナタとしては初めて3楽章制でまとめられた。これによりウィーン流の4楽章形式から脱して作品の力と内容の凝縮度を高めることに成功している。
Op.10-1には日本では滅多に呼ばれることは無かったが、同じくハ短調で第8番の『悲愴』と比較して「小悲愴」の愛称で呼ばれることもあった。Op.10-2は、ハイドンの存在が内に秘める豊かなユーモアの由来と言われるが、加えてベートーヴェンの個性も十全に発揮されている。Op.10-3では、他の2曲が3楽章制を取り入れて小規模であるのに対し本作では4楽章制を取っている。Op.10のソナタの中でも特に優れた作品と見做されることが多い。弟子のチェルニーは『壮大にして重要な作品』と評している。
Op.14-1はOp.14-2と共に1799年に出版され、ブラウン男爵夫人ヨゼフィーネに献呈された。『技術的な難所が少なく家庭用だ』と言われる事もあるが、肩の力が抜けた簡潔な形式はソナチネ的な平易さとは一線を画すものであり、内容の豊かな優れた作品である。後にベートーヴェン本人によって『弦楽四重奏曲ヘ長調 Hess 34』に編曲された。

CEMBCD 213
「モルデカイ・シェホリ ベートーヴェンを弾く 第9集」
①②ピアノソナタハ長調 WoO.51 『やさしいソナタ』
(フェルディナンド・リースによる補筆完成版)
③-⑥ピアノ・ソナタ第1番へ短調 Op.2-1
⑦-⑩大ソナタ(ピアノ・ソナタ第4番)変ホ長調 Op.7
⑪-⑬ピアノ・ソナタ第10番ト長調 Op.14-2

モルデカイ・シェホリ(ピアノ)
録音:2023年11月 ラスベガスにて収録,DDD、71’47
※WoO.51 『やさしいソナタ』はピアノ・ソナタとなっているが、本来は『オルフィカ』という非常に小型の(首に掛けられるくらい)鍵盤楽器のために作曲された。この曲を献呈された『エレオノーレ・フォン・ブロイニング』がオルフィカを所有していた為と思われる。2つの楽章は本来個別の小品であったが、フェルディナンド・リースによって『やさしいソナタ』として補完された。
Op.2の3曲のソナタはハイドンに献呈された。このOp.2-1のソナタは三者三様の個性に彩られておりピアノをオーケストラの様に扱う傾向も既に現れている。習熟度も習作時代よりも格段に向上おり、ベートーヴェンの未来を予見させる大きな第一歩と言える。
op.7はケグレヴィチ伯爵令嬢バルバラに献呈された。ベートーヴェンらしい熱のこもったソナタで、Op.2よりも更に進歩したものとなっている。弟子のチェルニーは『熱情』の愛称は、ソナタ第23番ではなくこのソナタが相応しいと述べていると伝えられているくらいである。
Op.14-2はブラウン男爵夫人に献呈された。Op.14の2曲のソナタは人によって評価が分かれているようだ。このソナタは、ベートーヴェンのユーモラスな面が映し出されたものなのがその原因の様である。しかし、男女の対話のような音楽は美しく、演奏も容易で優美な趣を持つ佳曲である。

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