①イタリアの若手マヌエル・チーニのリスト:超絶技巧練習曲!②中世ルネサンス音楽とアイスランド現代音楽との美しく不思議な邂逅!/他、新譜4タイトル

ODRADEK RECORDSレーベル(アメリカ)

イタリアの若手マヌエル・チーニのリスト:超絶技巧練習曲!
ODRCD 380 (日本語オビ・解説付き)
フランツ・リスト(1811-1886):超絶技巧練習曲S.139,LW.A172(1851)
 1.前奏曲/2.モルト・ヴィヴァーチェ/
 3.風景/4.マゼッパ/5.鬼火/
 6.幻影/7.英雄/8.荒々しき狩/
 9.回想/10.アレグロ・アジタート・モルト/
 11.夕べの調べ/12.雪あらし

マヌエル・チーニ(ピアノ)
録音:2021年11月15-17日スタジオ・オドラデク・ザ・スフィアース [65:47]
※マヌエル・チーニは1998年、当年24歳の若きピアニスト(公式プロフィールに国籍の記載がありませんが経歴からイタリア出身と思われます)。イタリアのフィエーゾレ音楽院で学んだ後、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックで研鑽を積み、審査委員満場一致で演奏部門での音楽修士号を取得。現在はイギリス、サリー大学の博士課程に在籍、第二次大戦中ナチス強制収容所に送られた作曲家の作品の発見とその普及に尽力しています。レパートリーはJ.S.バッハからルチアーノ・ベリオまで幅広いものの、最も得意とするリストがこのほどオドラデクより彼のファースト・アルバムとしてリリース。目の覚めるようなヴィルトゥオジティとラテン的な明晰さ、色彩の豊かさ、歌謡性が一体となった、まったく新しい世代の超絶技巧練習曲の登場です。

中世ルネサンス音楽とアイスランド現代音楽との美しく不思議な邂逅!
ODRCD 374
「コンテンポ・コントラスティ」
①ピエール・サンドラン(1490-1561):《従軍して私の心が凝り固まったとき》
②-⑤アトリ・ヘイミール・スヴェインソン(1938-2019):《ステファン・ホロドゥル・グリムソンの詩による4つの断章》(2000)
⑥フアン・デル・エンシーナ(1468-1529):《可憐な勇気》
⑦ジャコブス・デ・ミラルテ(ca.1500?):《さぁ、食事にゆこう!》
⑧-⑩スヴェイン・ルドヴィク・ビョルンソン(b.1962):《損失?》(1999)
⑪トマス・モーリー(1557-1602):《Sleep Slum’bring Eyes》
⑫ジョン・アンソニー・スペイト(b.1945):《今宵は長し》~中世イギリスの詩による(2000)
⑬アレグザンダー・スコット(ca.1520-1582/3):《Depairte, Depairte》~ビザンティン写本より(ca.1545)
⑭クレマン・ジャヌカン(1485-1558):《昔一人の娘が》

コントラスティ・アンサンブル:
【カミーラ・セーデルベルク(リコーダー)
 マルタ・グドルン・ハルドルスドッティル(Vn, Gamba, Voice)
 オロフ・セセリャ・オスカルスドッティル(Gamba, Vc)
 スノーリ・オルン・スノーラソン(Lute, Guiter)
 ステーフ・ヴァン・オーステルホウト(Perc)】
録音:2001年3月21日/2003年5月7日ヴィジスタザル教会,アイスランド [56:22]
※氷河と火山とオーロラの国アイスランドからユニークなアルバムが登場。アイスランドといえば歌姫ビョークの出身国であり、以前よりポップ・ミュージック・シーンでこの国は注目されていましたが、クラシックの分野でも近年、個性的なアーティストがたくさん輩出されています。2000年に結成されたグループ、コントラスティ・アンサンブルもそのひとつ。リコーダー、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴォーカル、打楽器による5人組でヨーロッパの中世、ルネサンス音楽とアイスランドの現代音楽を組み合わせたユニークなプログラミングで注目を集めています。遠い時を隔てた2種類の音楽が出会う時、そこには不思議な化学反応が生じ、どこにも存在しない異次元の世界へと聴き手を導きます。アイスランドの現代作曲家の作品は現代曲といっても民族音楽のテイストを持ったどこかなつかしいもので中世ルネサンス音楽との相性も抜群。北方の茫漠とした荒野、そこに咲く一凛の小さな花、吹き出す間欠泉とフィヨルド。ひんやりとしたアイスランドの自然が見えてきそうな一枚です。

※その他ODRADEK RECORDSレーベル新譜
ODRCD 427
「内なる旋風」
ジェームズ・レイ(b.1957):フルートとピアノのためのソナチネ(2007)
ダニエル・サンチェス・ベラスコ(b.1972):ダンス・プレリュード(2020)
ゴンサロ・カシエリェス・カンブロル(1931-2020):運命のワルツ(2014)
エリセンダ・ファブレガス(b.1955):フルート・ソナタ第1番(1995)
ホセ・エリソンド(b.1972):リモンチェッロ(2018)
パブロ・アギーレ(b.1961):フーガ(1997)
パブロ・アギーレ:距離(2002)
パブロ・アギーレ:耳をつんざくような情熱(1991)
マイク・マウアー(b.1958):フルート・ソナタ第3番(2003)

ロベルト・アルバレス(フルート)
クセニーア・ヴォフミアニナ(ピアノ)
録音:2020年9月5、6日スー・トン音楽院レコーディング・スタジオ[66:13]
※ジャズ、ラテンのイディオムを持った20~21世紀のフルートとピアノのための作品を集めた一枚。フルートのロベルト・アルバレスはこれまでにカペラデス国際音楽コンクール、アンヘル・ムニェス・トカ賞、シウタット・デ・マンレサ賞など国際的な賞を受賞し、現在シンガポール交響楽団の団員の傍ら、ソロ奏者として活躍している。ピアノのヴォフミアニナは18歳の時、シンガポールの南洋芸術学院でボリス・クラリェヴィッチに師事の後、英国王立音楽院(ロンドン)で音楽学士号を取得、ウクライナのハリコフ国立教育大学で更に研鑽を積んだ若手。このディスクが彼らのデビュー・アルバムとなる。作品はいずれも20世紀後半から21世紀に書かれたものだが、いわゆる現代音楽ではなく、ジャズ、ラテンの影響を受けものからフランス印象派、新古典主義を思わせる美しく親しみやすいものばかり。フルート・ファンのみならず多くのクラシック・ファンにお薦め。

ODRCD 434
「ミケル・ウルキーサ(b.1988)作品集」
①「アイ・ナルト・ビー・クロード・オン・ザ・フロルト」(2018)
 ~ソプラノと室内アンサンブルのための
②コントラプルマ(2016)~ピアノのための
③5つの小品(2012)
 ~ヴァイオリン、チェロとピアノのための
④「ヘビとはしご(セレナータ)」(2016)
 ~ハープ、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
⑤灯りが輝く(2015)
 ~フルート、クラリネット、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
⑥ジンツィル(2012)
 ~フルート、アコーディオン、ヴィオラ、ギター、チェレスタと打楽器のための

ランスタン・ドンネ(アンサンブル)
①マリオン・タッソー(ソプラノ)
録音:2021年7月5-8日国立音楽創作センター,アルフォールヴィル、フランス[56:25]
※ミケル・ウルキーサはスペイン、バスク地方出身の若手作曲家。パリ高等音楽学校でジュラール・ペッソンに学んだ後、2022年にジーメンス音楽財団の作曲賞を受賞。現在パリを拠点に活動し、ヨーロッパのアンサンブルのために盛んに作品を発表している。彼の作風を一言で語るのは容易ではない。活動拠点がパリということから想像されるスペクトル楽派からの影響はほぼ皆無。楽器の特殊奏法から醸し出される独自のユーモア、ノイズ、人を喰ったようなアイロニカルな音の身振りにユニークな音楽観が感じられ、視覚なしの音だけで聴くシアター・ピースといった趣き。オーストリアのオルガ・ノイヴィルトに継ぐ、新しいアイロニカル、ユーモア世代の作曲家の登場。