イエス・キリストの最も重要な場面を描いたデュプレの作品をダイナミズムそのままに届ける大オルガンの神秘的空間

コウベレックス(日本)

イエス・キリストの最も重要な場面を描いたデュプレの作品を
ダイナミズムそのままに届ける大オルガンの神秘的空間
KRS 5611 ¥2,970(¥2,700+税)
マルセル・デュプレ(Marcel Dupré1886-1971):
「十字架の道行き」op.29 全曲
「79のコラール」op.28 より
・第12番「キリストは死の縄目につながれたり」
・第25番「聖なるキリストはよみがえり給えり」
・第47番「来たれ聖霊、主なる神」

山田早苗(オルガン)
録音:2022年9月15日所沢市民文化センターミューズ アークホール、58‘54
※カトリック教会で伝統的に行われている”十字架の道行き”(Le Chemin de la Croix)は、イエス・キリストが十字架を担った歩みをたどる祈りで、全部で14の部分(留)からなる。教会では、聖堂の脇に掲げられた一連の絵画や彫刻にむかい、各場面を黙想しながら行う。デュプレは1931年に、ブリュッセル音楽院において、各留の朗読のあとに即興演奏したのがきっかけで翌年「十字架の道行き」を完成し作曲者自身によって初演された。イエスの受難や苦悩の足取り、十字架や慰めなどを表わすテーマや音形が巧みに織り込まれている。作曲者による音色指定は、ロマン派オルガンの香りも引継ぎながら、映像を見るようなドラマティックな展開へと構築されている。 続くデュプレのコラール作品は、J.S. バッハが伝統的な賛美歌を用いて作曲した79のコラールをオルガン学習者に馴染みやすいよう、デュプレがシンプルな作品としてまとめたもの。その中から山田は3曲を選び、”復活”としてアルバムのしめくくりとした。
※山田早苗は、長年、教会祭儀や宗教音楽に携わり、後進を育てながらオルガニストとして活躍。ファーストアルバム「ヨブ」(P.エベン)に続いて、今回も真摯な作品理解と技術の熟達したレコーディングとなった。録音に使用された所沢ミューズのリーガーオルガンは、近代の様式を持つ楽器であり、75ストップで4段の手鍵盤とペダルを持つために、フランス近代作品の様々な特徴を引き出すのにもふさわしく、32フィートを含む地鳴りする超低音から、微細な光の粒のような倍音までが、ダイナミクスの調整もされずにそのまま収録されており、その場に入り込むような没入感と、楽曲への情熱を静かに味わうことができる。

●山田 早苗(オルガン) プロフィール
ドイツ国立レーゲンスブルク教会音楽大学卒業。ドイツの教会音楽家国家資格を取得。オルガンと即興演奏を鈴木雅明、W.ヘーリン、K. シェーファー、F. J .シュトイバーの各氏に師事。チェンバロをK. F.ワーグナー氏に、対位法を G.ラッツィンガー氏に師事。また、ヨーロッパ各地の講習会において、M.C.アラン氏、D.ロート氏らのレッスンを受け、フランス音楽を学ぶ。
レーゲンスブルク三位一体教会オルガニスト、レーゲンスブルク市立劇場オーケストラ鍵盤楽器奏者、聖グレゴリオの家宗教音楽研究所講師などを経て、現在カトリック北浦和教会オルガニスト。 2018年リリースのオルガン組曲「ヨブ」CDが、「レコード芸術」誌などで好評を博す。オルガンと教会音楽を学ぶ会を主宰しオルガニスト養成に尽力する一方、日本とヨーロッパ各地でパイプオルガンの演奏活動を続けている